途中出場から決勝点をマークした遠藤渓太 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
迷いは一切なかった。「いつかここで決めたい」。そう思い描いていた育成組織出身の遠藤渓太が、鹿島アントラーズとの膠着状態にケリを付けた。
2点を先行しながら追い付かれて迎えた74分、「その前に同じようなクロスが来た時に、タイミング良く相手に先に触られてしまっていたので、出足だけは早く行こうと思っていた」と、遠藤が山中亮輔のクロスに斜めに飛び出す。
「ヤマくんはああいうタイミングでパスを出すのがうまいですし、あそこでターンしたのは自分でも感覚的にやった感じ」。山中亮輔からのクロスをゴールマウスと相手DFを背にして受け、右足で左側に反転する。ゴールの位置は全く確認していない。「ここら辺だろうなっていう感じで打った」と滑りながらも右足を振り切ると、相手DFに当たってゴールに吸い込まれた。
今季はプロ初ゴールを含む、3ゴール目。「後ろを見たら誰も付いてきていなかったけど、日産スタジアムでいろいろな選手がゴールしてきたのを自分も見て育ってきて、いつかここで決めたいと思っていた」。遠藤は右手は天高く突き上げ、一目散にゴール裏へ向かった。そして、力強くガッツポーズを決めた。
「三ツ沢だったり、吹田では決めたけど、日産では決めていなかったので、こういう大事な試合で、しかも鹿島相手に決められたことは素直にうれしいし、喜べるかな」
実は、遠藤のこのゴール、得点者が二転三転していた。ゴール直後には遠藤のゴールとされたが、その後、ヒーローインタビュー時にはオウンゴールに変更。これを聞かされた遠藤は、ショックで苦笑いを浮かべた。その時のことを聞かれると、「焦った。一ミリもそんなことを思っていなかったので、OGなんだ……って。あんまり喜べないじゃんって、ドギマギしました(苦笑)」と振り返った。その後、再度訂正され、公式記録では晴れて遠藤のゴールになった。
ここ最近は、立て続けに負傷離脱した金井貢史、松原健に代わり右サイドバックを務めていたが、「サイドハーフで出るためにサイドバックでやってきたつもりだし、それが糧になると思ってやっていた」と久々のサイドハーフでの出場に、内なる思いをぶつけた。「それで結果を残さなかったら、次はないかなと思っていたので、素直に喜べるかな」。遠藤が一つひとつ着実に階段を上がっていく。
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By サッカーキング編集部
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