2017.09.28

【ライターコラムfrom千葉】今井恭司さん、ファインダー越しの情熱…変わることのないサッカーへの愛

サッカー愛を胸に今日もシャッターを切り続ける [写真]=©JEFUNITED
千葉県在住のフリーライター。Jリーグ(ジュフユナイテッド市原・千葉と浦和レッズ)をメインに取材活動をし、県内アマチュアスポーツも追いかける。

 ジェフユナイテッド市原・千葉のオフィシャルカメラマンであり、サッカーカメラマンの草分けとして、およそ半世紀にわたり日本サッカーの歴史と発展をファインダー越しに見守ってきた今井恭司さんが“日本サッカー殿堂”入りをし、10日に掲額式が行われた。

 写真を通じサッカーの魅力を多くのファンに届けた功績が認められてのことだが、今井さんは謙虚な姿勢を崩さずにこう言う。

「殿堂の撮影は何度か行ったことがありますが、まさか自分が向こう側になるとは思わなかった(笑)。権威あることなので僕でいいのかなという思いもありましたが、後の人につながればうれしいですし、(殿堂入り)だからといって何かを変える訳でも、変えられる訳でもありません。これからも今までのようにやり続けるだけです」

日本サッカーを撮り続けてきた今井さん

 今井さんは、1972年のペレ在籍時のサントスFC対全日本の試合から本格的なカメラマン人生をスタートさせた。当時はサッカーカメラマンなど存在せず、サッカー自体も不遇の時代、“子どもたちのなりたい職業”にサッカー選手が上位にランクインするとは考えられなかった。だが1993年のJリーグ開幕が状況を一変させた。企業スポーツというアマチュア時代からJリーグというプロ化への大きな波が押し寄せサッカー文化が着々と根付いていった。

「広告カメラマンから僕の現在は始まっています。ひょんなことからサッカー専門誌の制作に携わることになりました。当時はサッカーが氷河期というか、難しい時代でした。食べていけるのだろうかと不安にもなりました(笑)。でもね、写真を撮ることが好きだったから続けられてきたのだと思います」とサッカーカメラマンという分野を切り開いた今井さんは懐かしそうに当時を振り返った。

 Jリーグの成長を見続けてきた今井さんが撮影時に強く意識していることは「カメラという道具を使うので、準備だけは怠らないようにしていること」、そして「サッカーは人が主役の競技。選手の気持ちが出ている写真を切り取ること」の2点に注意を払っている。

 ジェフ千葉とのつながりは1991年まで遡る。クラブ創設期であり前身の古河電工時代から関わりを持っていた。今井さんはJリーグ発足時の様子を懐かしそうに口にする。「市原臨海競技場(現:ゼットエーオリプリスタジアム)は、中に入れない人が外に溢れていましたし、チケットがなくて大変な時でしたね」

 開幕以来、なかなか結果を出せずにいたチームは次第に力を付けて行くと、イビチャ・オシム監督のもとで、タイトルを争う力を蓄え、2005年、06年のナビスコカップのタイトルを獲得したが09年に2部に降格。今年もJ2リーグで8年目のシーズンを戦っている。

 現在、ジェフはプレーオフ圏内6位とは8差の12位に位置している。「早く昇格して欲しいという思いはありますが、常に優勝できるようなチームになってもらいたしです。以前のように日本代表に何人も入るようなチームになって欲しいです。一歩一歩、長い目で、みんなで温かく応援しサポートすることが大事だと思っています」と今井さんは厳しい状況に置かれているチームにエールを送る。

山口戦の前にはサポーターからサプライズで表彰された [写真]=©JEFUNITED

 第27節レノファ山口FC戦に「あれはビックリした」と今井さんを驚かせる出来事が待っていた。試合終了後、今井さんの殿堂入りに対して、サポーターから盛大な“今井コール”と割れんばかりの拍手での祝福。そして『殿堂入り おめでとうございます!』と書かれた横断幕がかけられていた。「僕の恩返しは選手が気に入ってくれるような写真を撮るだけ。それしかありませんね」。

 そして最後にベタなことを訊いてみた。半世紀に渡りシャッターを切り続けてきた今井さんのベストショットはありますか、と――。

「皆さんに訊かれるのですが、たくさんあると同時にまったく無いんですよ。それはね、写真を見た人が判断して喜んでくれるのがベストであって、プロのカメラマンとしてその都度その都度が常にベストでなければいけないと思っています。これからも目標を高くもってやって行きたいと思っています」

今井さんはこれからもベストな1枚を追求する

 今井さんは、運命に導かれて出会ったサッカーに感謝をしながら、カメラを片手に今日も撮影現場に向かう。もちろん行き先は愛するサッカーのグランドだ。カメラのファインダー越しに熱いプレーを捉え“最高の一瞬”を追いかけている。

文=石田達也

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