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【ライターコラムfromC大阪】山下達也、先発落ち経験で奮起…仕切り直しの仙台戦で完封誓う

仙台戦完封を目指すC大阪DF山下達也 [写真]=Getty Images for DAZN

 前節の明治安田生命J1リーグ第26節・サンフレッチェ広島戦前日の練習後。その前の節のFC東京戦での先発落ちについて報道陣に問われた山下達也は、「びっくりした、というよりも、もう一回ちゃんとアピールしないといけない。出られることが当たり前とは思っていないし、いつもそういう初心に戻る気持ちを持ってやっているつもりではあるけど、改めてまたそういうところを意識したい。成長できるチャンスでもある。プロの世界なので(競争は)当たり前のこと。しっかり受け止めて、結果を残したい」と努めて平静に答えた。

 この試合で山下に代わってセンターバックの一角として先発したのは木本恭生。今季は山下の負傷欠場時はセンターバックで出場し、結果を残すなど、着実に指揮官の信頼を高めている。ちなみに、今回の先発に関しては、「試合当日、試合前のミーティングでメンバーを見たら、『15番』って書いてあって。びっくりしました。(J1リーグで初めて先発出場した第5節・)横浜F・マリノス戦より緊張しました(笑)」と振り返るほど、サプライズな出来事だった。この采配についてユン・ジョンファン監督は、FC東京の特長も考慮した上での選択であることに触れた後、「(試合の週の)練習を見ていて、(山下が)そこまでいいパフォーマンスではなかった。コンディション面で落ちている選手が入れば崩れてしまう心配もあると思った」と話した上で、「(山下は)コンディションを気にしてやっていく必要がある」と奮起を促した。

 迎えた広島戦。前半途中から相手にボールを持たれる時間こそ長くなったC大阪だが、先発に復帰した山下は、マークに付いたパトリックに仕事をさせず、高い位置で積極的にボールを奪う姿勢を見せるなど、上々のパフォーマンスを見せ、守備陣としても、相手に何もやらせない時間が続いた。ただし、この試合は攻撃陣が低調だった。39分、杉本健勇のシュートがゴール手前で相手DFにクリアされる不運もあり、1点が遠い。後半に入ると、より前掛かりの姿勢で攻め込むも、無理にパスを入れて相手の守備にひっかかる場面も見受けられた。すると、70分。中央でのパス交換を相手に奪われてカウンターを浴び、失点。1点勝負の気配が漂う試合の流れを考えれば痛恨の失点となった。期する思いを持ってこの試合に臨んだ山下にとっても、悔しさが残った。

広島戦は痛い一敗だった [写真]=Getty Images for DAZN

 試合後、「こういういい順位にいて、チャンスがある時に下位に取りこぼしてしまうことは、監督も試合前からずっと気にしていたし、そういうところは一人ひとりがしっかり改善しないといけない」と話した後、「個人としても結果が欲しかったのでは?」と問われると、「そうっすね。それはもう、めっちゃ欲しかったけど、仕方ない。切り替えて、次に臨みます」と気丈に話した。「守備の選手としては、無失点の試合を早くやりたいのでは?」と畳み掛けると、「本当、そうっすよ。なぜか毎試合、失点してしまうので(苦笑)。早く失点ゼロの試合を作りたい」と心の底から振り絞った。

 リーグ戦での失点が続く一方、JリーグYBCルヴァンカップや天皇杯では無失点の試合も多い。そこには、ある一人の選手の存在がクローズアップされる。今季、J1通算300試合出場も達成したベテランの茂庭照幸だ。天皇杯4回戦の名古屋グランパス戦では、ボランチで出場した木本が茂庭について、「最終ラインからの声など、目には見えないところでの貢献がすごい。自分たちがやり易くなるので、そこはものすごく大きいと思います」と実感を込めて語った。似たような言葉は、他の選手からも聞かれる。スコアレスドローで終わった明治安田生命J3リーグ第22節・カターレ富山戦。この試合、茂庭はオーバーエイジとして先発したのだが、同じオーバーエイジとして先発したGK圍謙太朗が試合を振り返って、「モニさんの存在は本当に大きい。周りに対する声がけ、やられているような雰囲気にさせない力。本当は、そういう空気作りやコーチングは僕がしないといけない」と苦笑い混じりで、ベテランの存在の大きさを話した。“ルヴァン組”と呼ばれる、いわゆるBチームは、茂庭と藤本康太のベテランCBの前に、走れて後ろのコーチングの声に忠実に動く秋山大地と木本といった若手が構える。常々、ユン・ジョンファン監督は、「前を動かして自分たちが楽に守れるように」という指示をセンターバックに送っているが、百戦錬磨の茂庭の周りを使う術が、“ルヴァン組”の守備の堅さの一因としてあるのかも知れない。

今季新加入のヨニッチとコンビを組むことが多い [写真]=Getty Images for DAZN

 一方で、リーグ戦の先発メンバーである“レギュラー組”は、山下とマテイ・ヨニッチのセンターバックに加えて、ボランチは山口蛍とソウザが陣取る。個々の力ではそれぞれJ1屈指の能力を持ち、身体能力も高い4人だが、3カ国で構成される編成ゆえに、ポジショニングや細かな連係面で課題は残るのかも知れない。そういった率直な疑問を山下に投げかけると、「ヨニッチとは簡単な英語でコミュニケーションが取れる。それに、互いのプレー(スタイル)も理解している。ただ、ソウザは少し暴走する面もあるから、コミュニケーションは少し苦労する(苦笑)。でも、ソウザも今年は周りも気にしてくれているし、それに、2人とも高い能力を持っているので、それを生かすことが大事。彼らが気持ち良くプレーできるようにさせることが大事」だと話す。

 迎える今節のベガルタ仙台戦。アウェイでの対戦時は4-2で勝利しているC大阪だが、2失点している事実が示すように、仙台の攻撃に翻弄される時間帯もあった。「今回もまったく油断はできない」と山下は気を引き締める。リーグ戦の逆転優勝へ向けて望みをつなげる勝利を、完封とともに達成することが、守備陣としての願いである。

文=小田尚史

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