2017.09.15

【ライターコラムfrom仙台】東北の地で進化したGKシュミット…難敵の前へ、今立ちはだかる

シュミット・ダニエル
仙台のゴールマウスに立ちはだかるシュミット・ダニエル [写真]=JL/Getty Images for DAZN
ベガルタ仙台を中心に追いかけるライター。書籍に『在る光 3.11からのベガルタ仙台』など。

 ベガルタ仙台は9月16日の明治安田生命J1リーグ第26節で、FC東京と対戦する。

 今季の公式戦においては、JリーグYBCルヴァンカップ第1節では味の素スタジアムで0-6と大敗した。J1では第10節にユアテックスタジアム仙台で対戦したが、ここでもセットプレーのこぼれ球を押しこまれて0-2で敗戦。今度こそ勝利したい、という思いはどの選手も強く胸に抱いている。この2戦では合計21人の選手がピッチに立ったが、特に2戦とも出場した選手は借りを返したい思いが強い。「相手がどう出てくるにしても、しっかりピッチ上で意思統一して戦いたい」とディフェンスラインの中央に構える大岩一貴が意気込めば、元FC東京のMF三田啓貴も「上に行くためには倒さなければいけない相手。自分たちの今の勢いやチーム状態を考えれば、勝たなければいけない」と、言葉に力を込める。

 やはり過去2戦に出場したGKシュミット・ダニエルも、リターンマッチに燃える一人だ。「(FC東京の監督交代によって)相手には読めないところもありますが、今回は借りを返すチャンスだと思っています」。

 今季、松本への期限付き移籍から、仙台に復帰。J2の場で実戦経験を得て、J1での活躍を誓って仙台に戻った彼だが、3月15日に前述のルヴァンカップ第1節で「その時点での自分の現実を思い知らされた」という。仙台復帰後としては初めて公式戦のゴールマウスに立ったのがその試合だった。失点はGKだけが原因ではないし、後半の5失点についてはチームが前掛かりになって守りが薄くなったために取られたものも多い。しかし試合後は「ボールをどこに弾くかなど、課題をもっと修正しなければいけない。あまり気持ちに余裕を持って試合に入れなかった」と、反省することしきりだった。

シュミット・ダニエル

長い手足を存分に活用するシュミット [写真]=Getty Images for DAZN


 それから約6カ月が経った。シュミットはリーグ戦でも先発の座をつかみ、今季3度目のFC東京戦にのぞむ。この間には第10節にホームでFC東京に負けた試合もあり、自らもミスで失点にからみ、悔しい思いをした。しかし、相手のプレッシャーを受けても落ち着いてボールをさばくこと、視野の広さを生かしたフィード、相手のシュートに対する素早い予測など、多くの点で成長を遂げている。中でも相手と一対一になったときに、出るか、止まるか、という判断が磨かれている。相手FWが最終ラインの裏に抜けてきてもシュミットのおかげで失点にならなかった場面は、一度や二度ではない。

 過去の悔しさを晴らし、自身の成長を未来につなげる場として、今節の味の素スタジアムはふさわしい。「これまでの対戦から成長して、チームを勝ちに導く姿を相手にも見せたい。相手の攻撃陣にもGKにも負けたくない」という強い思いとともに、ピッチに立つ。

 勝点差1で追っているFC東京に勝てば、順位は入れ替わる。仙台がJ1に最初に昇格した2002年以来勝ったことがない味の素スタジアムで初めて勝って、歴史を変えるチャンスでもある。監督交代で再スタートを切った相手の勢いを、止めたい試合でもある。

「注目される相手との一戦。いつも自分を見ていない人も見てくれるということも、モチベーションにしたい」。多士済々のFC東京の選手たちの前に、シュミットは闘志とともに立ちはだかる。

文=板垣晴朗

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