マッシモ・フィッカデンティ監督が率いる鳥栖は現在2連敗中。2戦で計7失点とディフェンスに不安を抱える [写真]=J.LEAGUE
■サガン鳥栖 攻撃の“起点”イバルボが好調を維持
【プラス材料】
リーグ前節の仙台戦は1-4と大敗した。チームは大きなダメージを受けているのかと思いきや、マッシモ・フィッカデンティ監督は「ゲームのやり方自体は良かった」と敗戦のなかからポジティブな部分を見つけ出していた。実は選手たちも「自分たちが攻めていたし、ボールも持っていました」と口にしており、失点を反省しながらも内容について悲観することはなかった。
イバルボがゴールを決めただけでなく、要所でキレのある動きを見せるなど好調を維持していることはチームにとってプラス。彼を起点にすることで攻撃はより活性化する。それをゴールにつなげることができれば、リーグ戦連敗脱出への勝利を自分たちの手でつかみ取れる。
【マイナス材料】
今季リーグ戦初の連敗、しかも連敗中の失点は7と鳥栖らしくない。先制を許し、ゴールを奪うためにチームがバランスを崩して失点を重ねるケースが目立っている。同じ轍を踏まないためには、先に失点しないことが大切になる。インサイドハーフの福田晃斗は「失点する時はリスク管理を怠ったり、人数はいるのに守れなかったりしているのでそこはしっかりしたい」と話す。
今週のオフ明けに約1時間半のミーティングを行い、仙台戦での修正点を確認した。鳥栖にとって深刻なのは、ここまでゴールマウスを守り続けてきた守護神・権田修一が戦列から離脱したこと。今節のGKはベテランの赤星拓か、プロ2年目の辻周吾か。いずれにせよ今季リーグ戦初先発となり、辻はプロデビュー戦にもなる。
文:荒木英喜
■ヴァンフォーレ甲府 J1上位レベルの守備力が武器、攻撃面にも改善が見られる
【プラス材料】
甲府は現在15位と残留ラインの辛うじて上に踏み止まっている。今季まだ4勝という結果を見れば苦しんでいることは事実だが、一方で直近の試合内容には大きな改善が見られる。
ここまでの25試合で28失点という守備力はJ1でも上位に入るレベル。今は自陣に引いてブロックを固めるのではなく、前からボールを追い、ショートカウンターにつなげる奪い方をする積極的な守備ができている。
攻撃面もボールを持つ、動かすというところを着実に積み上げており、上位チームを相手にしても主導権をかなり長く取れるようになった。この成長曲線を残り9試合も続けることができれば、内容止まりでなく、内容を勝ち点に結び付けられるチームへと脱皮できるだろう。
【マイナス材料】
目下リーグ戦5戦勝ちなし。勝てる試合を勝てないことで、順位を落としてしまっている。前々節の川崎戦(2-2)、前節の清水戦(0-1)はいずれもチャンスの数で完全に上回ったものの、決め切る力を欠いて勝ち点3を奪えなかった。例えば清水戦は16本のシュートを放ちながら無得点にとどまった。また川崎戦は4本、清水戦は8本のCKを獲得したが、それがゴールにつながっていない。流れの中で取り切れないだけに、セットプレーの不発が尾を引いている。
守備も勝負所で小さな隙を作り、取れる勝ち点を落としてしまっている。狙い通りに試合を運びながら“詰め”を欠いているのがチームの現状だ。
文:大島和人
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