2017.09.02

【ライターコラムfrom松本】「まだまだ物足りない」…山本大貴、量産態勢突入で2桁得点狙う

直近4試合で2得点を記録している山本大貴 [写真]=J.LEAGUE
1978年生まれ、東京都出身。長野県内の新聞社で15年まで勤務し、現在はフリーライターとして松本山雅FCを中心に信州スポーツを幅広く取材。クラブ公式有料サイト「松本山雅FCプレミアム」編集長も務める。

「走るのを止めたら、居場所はない」

 ピッチを奔走する山本大貴の背中は、雄弁にそう語っている。無理もない。明治安田生命J2リーグ第27節名古屋グランパス戦から2シャドーの一角として先発しているが、故障で戦列を離れていた石原崇兆が復帰。さらにアルビレックス新潟から鈴木武蔵もレンタル加入してきた。「イシ(石原)も武蔵もいるから、自分は結果を残さないと試合に出続けられない。1試合ごとに結果を出していきたい」。チーム内のライバルに背中を押されるように、先発した直近4試合で2ゴールを挙げるなど獅子奮迅の活躍を見せている。

 山本はまた、チームに躍動感を吹き込む原動力でもある。「裏に抜けるのは自分の持ち味」と語るように、最終ラインの背後に抜けてボールを引き出す。以前はオフサイドの網に掛かってしまうシーンも多かったが、最近はこまめな動き直しや相手との駆け引きなどを体得して頻度が激減。「そこはずっと(反町監督に)言われていて、直さないと成長はないと思っていた。今は相手と味方を見ながら動くようにしている」と明かす。敵陣深くの左右サイドで周囲と連係しながら崩すシーンも目に見えて増えてきた。

 例えば第28節モンテディオ山形戦。37分にセルジーニョが決めた1点目は山本が左サイド方向に斜めのスプリントを掛けて裏を取り、シュートを放ったのが決め手だった。67分には自ら値千金の決勝弾。さらに第30節FC町田ゼルビア戦でも高い最終ラインの背後を突き続け、42分にセットプレーの流れから先制ゴールを奪った。その後も献身的に、ひたすら走る。「タイミングさえよければ出してくれる。自分はもらえるまで何回もチャレンジするだけ」。たとえムダ走りに終わろうとも、その脚を止めることはない。試合後の反町監督も、山本の名前を挙げて働きぶりを称えた。

町田戦で先制点をマーク [写真]=J.LEAGUE

 さらなる成長の兆しも見せている。長らくフィジカルの弱さを課題としていたが、今季は当たり負けしてあっさり転んでしまうシーンがやや減少。日々の練習でも激しく体をぶつけ合い、競り勝つ場面も出てきた。チーム全体で行う筋トレだけでなく週1回の自主トレを課しており、その成果がじわりと出ている格好。ただ本人は「周りの方がそう思ってくれるならうれしいけど、満足したら終わり。自分ではまだまだだと思っているので向上心を持ってやっていきたい」とさらなる成長を期している。

 あとは決定的な仕事をどれだけできるかが、この男の生き残りを左右するだろう。名古屋戦では8分に得た先制のビッグチャンスでシュートを枠に収められず、山形戦の6分には完全にフリーだったゴール前でファーストタッチをミスしてしまった。リーグが残り12試合となったのに対し、シーズン当初に掲げた個人目標は2桁得点。現在3ゴールだからハードルは決して低くないが、目標に近付くほどチームも自ずと浮上していくはずだ。「まだまだ結果も物足りない。(2桁を)目指して頑張りたい」と山本。走るのを止めず量産態勢に入ることこそが、自身の存在証明に他ならない。

文=大枝令

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