2017.08.30

【ライターコラムfrom川崎】先発濃厚のGK新井章太、元同僚・大久保嘉人よりも警戒すべき存在は?

公式戦で初のマッチアップが予想される [写真]=J.LEAGUE
川崎フロンターレの取材を中心に活動。将棋界にも精通。著書に「将棋でサッカーが面白くなる本」(朝日新聞出版)。「川崎フロンターレあるある1&2」、「将棋ファンあるある」(TOブックス)。「サッカー脳を育む」(中村憲剛/ぴあ)では企画&構成も担当。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。

 8月30日、等々力陸上競技場競技場でJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝・FC東京戦(第1戦)を迎える。

 FC東京には去年まで川崎フロンターレに在籍していた大久保嘉人がおり、公式戦で対戦するのは今年3度目となる。

 その対戦を楽しみにしていた選手がいる。

 GK新井章太だ。この試合では、チョン・ソンリョンに代わってゴールマウスを守ることが濃厚で、もし新井が先発すれば、大久保とは公式戦で初めて対戦することになる。
 
 2013年に川崎に移籍してきた2人は、公私ともに親しい間柄として知られていた。

 きっかけは、シーズン前の綾町キャンプ中にテレビで流れていた相撲中継をサウナで見ていた時の会話だというが、親交はプライベートだけではなく、ピッチ上でも密接で全体練習後、居残りでシュート練習に励み続ける大久保に付き合うのは、決まって新井だった。当時の新井はプロ4年間公式戦での出場機会はないGKだったが、大久保との練習をこんな風に軽口を叩いている。

「シュート練習は毎日やっていますね。シュート練習の後、ヨシトさんは俺にもいろいろ聞いてくれるんです。『今のこっちのコースがいいか?』とか。でももし俺が対戦相手のGKだったら、ヨシトさんには入れさせないですよ。別にそんなに大したプレーヤーじゃないのに、なんであんなに点が取れるのか不思議でしょうがないです」

 Jリーグで最もゴールを決めているストライカーのシュートを、2年間、日常的に受け続けていることで、新井が自分を成長させたのは、結果に表れている。フロンターレ加入後3年目になるプロ5年目の2015年には待望のJリーグデビューを飾り、その年はレギュラーとして定着したほどだ。

今季はカップ戦を中心に出場している [写真]=J.LEAGUE

 翌年、現役韓国代表GKチョン・ソンリョンが加入したことでレギュラーの座は譲ったものの、出番が来た時にはしっかりとしたパフォーマンスを見せ、セカンドGKとしての役割を果たし続けていた。

 そして今年は、天皇杯を中心に出場機会を得ており、このルヴァンカップの決勝トーナメントという舞台で出番が巡ってきた。

「もしかしたら、(今回は)チャンスが自分に来ないかもと思っていた。ただどっちになっても良いように準備もしていた。特に構えることもなく、いつも通りにやることですね。リーグ戦でも自分が試合に入っているような気持ちでやっているし、いつも通りを出せれば抑えられると思っている」

 当然、大久保嘉人との対戦は楽しみだろう。ただ注意するのは、大久保嘉人だけではないと警戒する。

「楽しみだけど、そっちのみんな(記者陣)のほうが気になっているんじゃないですか(笑)。FC東京の前線はヨシトさん、前田さん(前田遼一)、ウタカ(ピーター・ウタカ)がいるけど、どっちかといったらヨシトさんよりウタカの方が嫌なんですよ。ヨシトさんなら、こっちに打ちそうだけど、ヨシトさんならこっちかなとか感覚が分かるから。実際、ヨシトさんはシュートを打つ側には回っていない。FC東京に行ってから、パスを出す役目の選手がいないから、そっちになってるけど、そのヨシトさんもすごい。ラストパスを出しているので、そっちのほうが警戒している。スルーパスをめっちゃ出しますよね。神戸戦も浦和戦もそうだった、ああいうボールが嫌。あれは警戒しないといけない。シュートよりもそっちが嫌ですね。ウタカが前にいて、嘉人さんが下にいるので」

FC東京ではストライカーを生かす役割に [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 新井にとってピーター・ウタカは、ウタカが清水エスパルス時代に対戦した時に、2試合連続で複数失点を喫するなど苦い思い出があるストライカーだ。ホームで試合だけに、アウェイゴールを与えずに終えれれば、第2戦はグッと有利になる。

 大久保からウタカに出るパスをいかに絶つか。そして歴代得点王たちを完封できるか。

「チャンスがなかなかない中でチャンスをもらえた。そこは後半戦に向けてアピールしたいし、今週末(第2戦)も自分が出るぐらいのパフォーマンスをして、監督を悩ませたい」

 大久保嘉人から、川崎のゴールマウスを守る新井章太に注目である。

文=いしかわごう

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