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【ライターコラムfrom水戸】勝利を呼び込む活躍の影にベテランの一言あり

2017.08.03

東京V戦でラストプレーで勝ち越しに成功した水戸は5試合ぶりに勝利をものにした [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 第25節・東京ヴェルディ戦、終了間際に右CKを頭で合わせて劇的な決勝ゴールを叩き込んだのは、今季初出場となる齊藤隆成だった。「彼は日々しっかりトレーニングをしているから、こういうチャンスが回ってきた」と西ヶ谷隆之監督。出場機会に恵まれない中でも前向きにトレーニングに取り組み、努力してきた姿勢を西ヶ谷監督はしっかり見ていた。だからこその起用であった。

 だが、齊藤には「努力し続ける」ことへのきっかけがあったという。2カ月前の選手同士で食事をしていた際、本間幸司が齊藤に「もっとしっかりやれよ」と厳しい言葉をかけてきた。「それまでもしっかりやってきたとは思っていたのですが、周りから見たら、そうではなかった。なので、もう一度いろんなことを見つめ直して、やり直そうと思ったんです。生活態度や食事面など練習以外のところから意識を変えました」。それによって「練習の疲れが取れるようになりましたし、パフォーマンスも上がっていった」と確かな変化を感じたという。そして、「自分に自信を持てるようになった」時に訪れた出場機会にゴールを決めることができたのだ。

「あの一言があったからこそ」と齊藤は力を込めて語る。「プロで4年間やってきたけど、全然結果を残すことができていなかった。自分で何かを変えないといけないんだと気づかされました。幸司さんの一言が大きかったです」。

 東京V戦で前田大然の同点ゴールをアシストした湯澤洋介は、第24節・大分トリニータ戦からある変化を感じているという。それは相手のギャップでボールを受ける回数が増えていることである。第25節東京V戦では相手ボランチの脇のスペースでボールを引き出してチャンスを作り出していた。以前はバイタルエリアでボールを受ける際、足元でボールを受けたいがためにボールホルダーに寄りすぎてしまい、ボールを受けた時には相手のマークがついている状態になっていることが多かった。それゆえ、前を向くことができず、得意のドリブル突破を仕掛ける場面をなかなか作れなかった。その湯澤の悩みを悟った橋本晃司からの一言が湯澤の扉を開くこととなった。

「止まってみたら」

 非常にシンプルなアドバイスではある。しかし、湯澤にとっては目からうろこが落ちるような一言であった。「ボールを欲しすぎて下がって、ボランチと自分がマークついている選手の間にいると、自分のことが見えちゃう。止まることによって、相手の死角に入ることができるんです。大分戦でそれを試したら上手くいったんですよ。今までは欲しくて、下がっていたので、多分相手も怖くなかったでしょうね」。

 今では「相手のギャップでボールをもらうのが楽しい」と語る湯澤。サイドアタッカーの枠を飛び出し、アタッカーとしてさらに進化を遂げようとしている。

 活躍する選手たちの影にベテランの一言あり。再浮上に向け、チームは好循環を見せつつある。

文=佐藤拓也

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