ルヴァン杯ですでにトップチームデビューを飾っている山田 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
平均年齢22.2歳の中にあっても、その若さはひと際目立っていた。天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦・FC大阪戦の先発に横浜F・マリノスユース所属の山田康太の名前があった。
すでに2種登録選手として2017JリーグYBCルヴァンカップ2試合に途中出場していた山田だが、プロの公式戦の先発に名を連ねたのはこの試合が始めて。「緊張はしなかった」と笑みをこぼした一方で「プロの試合の雰囲気はユースとは違うし、スタジアムなので声も通りにくかった」と違いを口にした。
プロ3年目の中島賢星とダブルボランチを形成し、86分までプレーした。左太ももを打撲した影響でベンチに下がったが、それまでは堂々たるプレーを披露。エリク・モンバエルツ監督は「将来が有望な選手」と賛辞を惜しまなかった。
ユースと同じボランチで出場したが、役割には少なからず違いがあった。この試合で任されたのはどちらかというと守備的な役割で、攻撃性も持ち味にしている山田の能力が発揮しやすい環境ではなかった。中島のサポートを受けて前へ出る場面もあったが、攻撃で違いを生み出すには至らず。山田自身も「守備で予測が通用した部分はあった。次は攻撃面で違いを出したい」と振り返っている。
その試合でキャプテンマークを巻いたのは先発最年長28歳の下平匠。ガンバ大阪時代には遠藤保仁という稀代のボランチとともにプレーした経験を持つ左SBは、山田に対してこんな感想を抱いていた。
「(山田)康太は違和感なく普通にプレーしていた。17歳という年齢で普通にプレーできていることがすごい。ボールを受けて前を向ける。自分にとっては一緒にプレーしてやりやすい選手の一人」
早くも一流のプロ選手から信頼を得ているようで、今後の活躍からも目が離せない。指揮官は「私が監督であれば、彼をリーグ戦で起用することに躊躇はない」とまで言っている。もちろん高校3年生の山田には学業があり、ユースでの活動も尊重しなければいけない。ただし、それらに弊害を及ばさなければJリーグデビューの日もそう遠くないのではないか。
近年では現在の横浜FMで背番号10を背負う齋藤学や小野裕二(現・サガン鳥栖)がユース所属ながら2種登録選手としてJリーグのピッチに立った。ポジションこそ違えども、山田にはその可能性が十分にある。天皇杯での初先発は、スターダムへの階段を上がっていく序章に過ぎない。
文=藤井雅彦
By 藤井雅彦