2017.05.26

【ライターコラムfrom福岡】眠れる獅子。福岡の“キング”城後寿が目覚めるとき

城後は2005年に入団以来、福岡一筋で13年間プレーするアビスパの“キング”[写真]=J.LEAGUE PHOTOS
大学卒業後、雑誌編集者を経て2005年よりフリーランスとして活動中。九州を拠点にサッカーほか、陸上など幅広く取材。1児の母としても奮闘中。

 J2リーグ第14節、当時首位を走っていた湘南ベルマーレとの大一番だった。主導権は湘南に握られながらも、アビスパ福岡が2点をリード。75分に、シャドーの位置に入っていたジウシーニョと交代して、城後寿がピッチに入った。今シーズンはボランチで出場することも多かった城後だが、「久しぶりに前(のポジション)で出るからには、ゴールを取ってやろう」と、ピッチに飛び出した。

 城後は福岡一筋、在籍13年目。GK神山竜一に次いで、2番目に長く在籍している福岡の“キング”だ。08年からは背番号“10”を担い、リーグ戦通算357試合に出場する大黒柱。15、16年はキャプテンも務めた。

 その城後が、今シーズンは出場機会に恵まれていない。ここまで、先発出場はわずか1試合のみ。開幕スタメンも逃した。開幕戦で先発できなかったのは、左膝前十字靭帯を負傷してリハビリ中だった10年以来のこと。臀部周辺に痛みを抱えていることも一因ではあると思うが、今シーズンの福岡は下部組織からの昇格を含め攻撃的な選手を6人も補強し、チーム内競争が激しいことも事実。城後はベンチから戦況を見つめながら、闘争心を沸々とさせる日々が続いた。

 湘南戦のピッチに飛び出した城後に、チャンスが巡ってきたのは87分。右サイドの駒野友一から上がったクロスに合わせ、相手DF裏の死角に潜んだ城後が、ヘディングでゴールを流し込んだ。今シーズン自身初ゴール。そして、すぐさまサポーターが待つスタンドへ駆け寄った。「待ってるよ、とたくさんの人に声をかけてもらったんで。ひとつになって喜びたかったというのもありますし、でもまぁ、気づいたら走っていたんですけど(笑)」。照れくさそうに、そう振り返った。

湘南戦で途中出場した城後は勝利を大きく引き寄せる追加点を挙げ、サポーターと喜びを分かち合った[写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 福岡は続く第15節のツエーゲン金沢戦も5-0で勝利し、ついに首位に立った。しかしこの試合では、城後に出番はなかった。「出場機会が巡って来ないからと言って『これくらいでいいだろう』と思うんだったら、プロなんてやめた方がいい」と、真っすぐに城後は言う。そして、「自分の力が必要になるときが必ず来ると信じていますし、そのとき結果を出して、自分でスタメンを掴み取りたいと思ってやっていますよ」と続けた。彼の力が必要になると信じているのは、城後本人だけでなく、ファンやサポーターも同じだ。

「昔からいる選手が活躍すればチームももっと盛り上がると思うし、昔からのファンも盛り上がってくれるはず。チャンスをモノにするために、いい準備をするだけです」。眠れる獅子“キング”城後が再び立ち上がったとき、福岡はJ1昇格という切符を手にするだろう。

文=新甫條利子

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