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[湘南で生まれ、紡いでいく思い] 湘南ベルマーレが歩む道③

[写真]=Getty Images

市民クラブとして「湘南ベルマーレ」が歩んできた道は、決して平坦なものではない。多くの喜びと悔しさ、そしてたくさんの涙を乗り越えて、たどり着いた今がある。「夢づくり、人づくり」を使命とするクラブが手にしたものと、これから追い求めていくものとはーー。
文=隈元大吾

Jリーグサッカーキング5月号[湘南ベルマーレ特集]共走-KYOUSOU-

日本サッカーのためにベルマーレができること

湘南ベルマーレ」となって以来クラブとともに歩んでいる「ミスターベルマーレ」は、周囲の変化も肌で感じているようだ。

「ファン・サポーターの方と話していても、昔は自分の好きな選手が移籍したら悲しむばかりだった印象で、活躍した選手を放出したフロントに対して何をやっているんだという声があったことも知っています。もちろん今も厳しい目で見てくださる方はいるけれど、移籍に対して以前のようにネガティブではなく、『いい選手がまた新しく入ってきたね』と言ってくださる方もいる。そのように、うちのファン・サポーターはクラブがどうしていきたいかに理解を深めてくれていて、考え方も成熟しているし、サッカーを見る目も肥えていると感じる。それはすごい財産だと思います。初めて昇格を決めた09年から上がって下がってを繰り返している間に、ファン・サポーターの皆さんも、いろんなことを考えてくれて、様々な気付きがあるのだと思う。だからうちのファン・サポーターはすごく心強いですよ。それもクラブ力だと思うし、クラブ力が上がっていると僕は感じています」

 3月4日、ザスパクサツ群馬を迎えたホーム開幕戦のことだった。あるベルマーレサポーターに試合前、今シーズンの意気込みを訊ねると、こんな答えが返ってきた。

「若い選手が多いので、経験を積み、来年やそれ以降につなげてほしい」

 J1昇格やJ2優勝といった刹那的な目標ではない。まさしく坂本SDが語ったように、クラブに対する理解が深まっていることを思わせる言葉だった。

 アウェイで水戸ホーリーホックを、ホームで群馬を降し、ベルマーレは連勝スタートを切った。だが勝負はいずれも紙一重だ。どのチームもシビアな戦いを演じており、タフなシーズンの予感は色濃い。

 だが向かい風が厳しいほど、降格の決まった昨シーズンの大宮戦後に眞壁会長が語った言葉が脳裏に力強くよみがえる。

「山のような敗戦を力に変えてここまで戦ってきた。私たちは理念を変えることなく一丸となって挑み続ける。それが“湘南ベルマーレ”だと思っている」

 坂本SDも経験を踏まえて言う。

「100年の歴史あるクラブが世界にはある中で、“湘南ベルマーレ”としては20年に満たないけれど、これだけ上がったり下がったりを経験しているチームは珍しいし、経験値では中小クラブの中でも群を抜いていると思う。でもクラブの歴史としてはまだ序章に過ぎません。14年にJ2で優勝し、翌年J1に残ったけど、今、あらためて僕たちがやらなければいけないことを思い出させてもらったと感じている。今後、人が代わってもクラブは変わらないというところを示さなければいけないし、日本サッカー界のためにも中小規模のクラブのモデルケースとしてしっかり自立していかなければいけないと思っています」

 ベルマーレから世界を望み、日本サッカーの未来を思いながら、選手の成長を育み、それぞれの飛躍を願う。関わるすべてと“共に走る”彼らの信念は、メンバーが入れ替わっても揺るがない。クラブカラーのライトグリーンには、数字では計れぬ無形の価値が豊かに息づいている。

うちには有名な選手はいない。ここから有名になるのだから
今できるのはいい選手を育てて面白いサッカーを続けること

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