2017.05.05

【ライターコラムfrom仙台】悔しさを胸に…佐々木匠の意地、仙台U-20の意地

佐々木匠
大宮戦で得点し、喜ぶ佐々木 ©J.LEAGUE PHOTOS
ベガルタ仙台を中心に追いかけるライター。書籍に『在る光 3.11からのベガルタ仙台』など。

 とにかく、走り回った。5月3日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第4節・大宮アルディージャ戦で、ベガルタ仙台の背番号28、佐々木匠は90分間走り回った。

 この試合で先発出場を果たした佐々木は、3-4-2-1のシャドーのポジションに入った。ルヴァンカップで活躍し、リーグ戦でも先発の座をつかんだ場所である。相手守備陣の間に食いこんで味方のパスを受けたり、「練習から(右サイドの)ハチさん(蜂須賀孝治)といい関係が築けていた」という連係でサイドを崩したりと、この日の攻撃で躍動。17分、左右両サイドから相手を揺さぶった仙台の連続攻撃を締めくくったのが佐々木だった。

「僕が相手のSBの選手を引き連れたことでハチさんが空いていたのを分かっていたので、いいかたちでボールが転がってきて、ゴールすることができた」。相手守備陣の人数がそろっていた中でもフリーになっていたことを、佐々木は丁寧に振り返った。

 しかしこの場面を冷静に分析する佐々木は、試合中は燃えさかる闘志とともにピッチに立っていた。「絶対に点を決めることだけを考えて試合にのぞみました。前半から飛ばすつもりでした」。結局、フルタイムをフルスロットルで駆け抜けた。


佐々木匠

©J.LEAGUE PHOTOS

 この試合を前に、大きな悔しさを味わい、それを一度押し殺してピッチに立っていた。5月2日に発表されたU-20W杯の日本代表メンバーの中に、佐々木の名はなかった。昨季は大ケガや体調不良でなかなか試合出場を果たせず、今季ようやく実戦で活躍し始めていたところ。年代別代表で主力として活躍してきた者として、ひとつの大舞台に間に合わなかった悔しさは相当なものだった。

「(発表の)次の日が、試合でしたから。悔しさは表情に表したくなかった」という佐々木は意地を見せ、先制点以外にも、大宮の攻撃を高い位置でブロックする守備でも貢献した。渡邉晋監督は直近のリーグ戦では戦略と試合展開上、佐々木を起用しなかったことに触れたうえで、「本人の調子は悪くないと、おそらく彼も気づいているでしょうし、私も認識していたので、今日に使うにあたっては、思いきってやってくれるだろうという期待をしていました」と試合後に明かし、攻守両面での貢献を評価した。

 一つの結果を出した試合が終わったときに、佐々木は「我慢していたものがあふれ出てしまった」と、涙を見せた。しかし、ここで区切りがつくわけではないことは、本人が一番わかっている。これからの東京五輪やW杯へと世界への目標を切り替えるとともに、まずはチームで結果を出し続けることをあらためて誓った。

 この仙台にも、佐々木を含めたU-20の選手が4人在籍している。この試合ではそのうち3人が先発し、小島雅也や椎橋慧也は大宮の経験豊富なFW陣と渡り合った。

「同期が活躍することは僕にも刺激になりますし、僕が活躍すれば彼らの刺激になって成長していく。4人で切磋琢磨していきます」。

 この日にベンチ入りはなかったものの帯同していた常田克人を含め、仙台のU-20はこれからさらに成長を続け、チームを支える存在となれるか。佐々木はその中で、前を向き走り続ける。

文=板垣晴朗

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