2017.05.02

【開幕10節・J2診断】大混戦の様相 輝く大卒・高卒フレッシュマンの活躍

杉岡大暉
U20日本代表にも選出されたプロ1年目の湘南DF杉岡 ©J.LEAGUE PHOTOS
株式会社ジェイ・スポーツ制作部第3制作チームプロデューサー。2003年の入社以来、WORLD SOCCER NEWS『Foot!』スタッフを8年間務め、2011年よりJリーグ中継担当プロデューサーに。

 4月29日で第10節までが終了した2017年シーズンの明治安田生命J2リーグ。首位の横浜FC、2位の名古屋グランパス、3位の湘南ベルマーレが勝ち点20で並び、そこから7位の徳島ヴォルティスまでが3ポイント差の中にひしめくなど、早くも大混戦の様相を呈している中、今シーズンは例年以上に明確なスタイルを有したチームが多い印象を受ける。

 例えば、徹底した『ハイライン』を貫き続けているジェフユナイテッド千葉。リーグ2番目に失点数の少ない『堅守』で上位に付けている東京ヴェルディ。もはや『湘南スタイル』と聞くだけでチームの戦い方がイメージできる湘南。あるいはJ1と比べても、より指揮官のスタイルがピッチで具現化されやすいとも言えそうなリーグではあるが、今シーズンのJ2で、その“スタイル”を最も打ち出しているチームの1つとしてFC岐阜の存在は見逃せない。

大木武

大木武監督 ©J.LEAGUE PHOTOS

「岐阜のイメージを変えたい、と言うよりも変える」と言い切る大木武監督に率いられたチームは、どの試合でもボール支配率で相手を圧倒しながら、ショートパスやドリブルを駆使したスタイルを貫き続ける。2分3敗と白星の付いて来なかった最初の5試合から一転して、ここ5試合は4勝1分。第10節のツエーゲン金沢戦では、やや相手に主導権を握られながらも、きっちり1-0で勝利を収めるなど、スタイルを貫くことと勝利を引き寄せることのバランスがマッチしてきた様子も窺える。大木監督の掲げる「90分間プレーし続ける」サッカーを体現している岐阜の今後は、J2全体を考える上でも注視していく必要がありそうだ。

古橋亨梧

古橋亨梧 ©J.LEAGUE PHOTOS

『大混戦』や『明確なスタイル』と並ぶ今シーズンのJ2の特徴として、『ルーキーの活躍』も挙げられる。前述した岐阜では、大卒ルーキーの大本祐槻と古橋亨梧が、開幕から全試合でスタメン出場を続けている。どちらもいわゆるドリブラータイプ。「僕の持ち味をチームみんなが生かしてくれている」と話す古橋は、第9節のカマタマーレ讃岐戦で1ゴール2アシストを記録するなど、攻撃陣の主軸として異彩を放っており、抜群のスピードとトリッキーなボールタッチでたびたび前線まで駆け上がる大本と共に、今後の成長からも目が離せない。

仙頭啓矢

仙頭啓矢 ©J.LEAGUE PHOTOS

 同じ大卒ルーキーではザスパクサツ群馬の高井和馬と岡庭裕貴、京都サンガの仙頭啓矢、讃岐の中島大貴、V・ファーレン長崎の翁長聖も着実に実戦経験を積んでいる。高井は10戦未勝利と苦境が続く群馬の中で、切れ味鋭いドリブルも随所で披露しながら、ここまでチームトップの3ゴール。チームメイトの岡庭も中盤でゲームメイクの才を発揮している。また、アタッカータイプの仙頭はボランチで奮闘中。「守備面はまだまだです」と課題を口にしながら、すでに2ゴールと一定の結果を残してきた。ホームの湘南戦で完封勝利に貢献した中島は、190センチの長身を生かした空中戦の強さに加えて、正確なフィードも武器。翁長は第10節こそ途中出場となったものの、それまでは全試合でスタメンフル出場。彼が見せるサイドの上下動が、長崎の大事なピースになりつつあるのは間違いない。

高橋壱誠

高橋壱晟 ©J.LEAGUE PHOTOS

 一方、高卒ルーキーで強いインパクトを残している3人は、揃って第10節でゴールを記録してみせた。まずは千葉の高橋壱晟。開幕戦でスタメンに抜擢されると、以降も中盤の欠かせない戦力として完全にスタメンへ定着。第7節で手にしたプロ初ゴールに続き、徳島戦でも冷静にGKとの1対1を制し、2ゴール目をマークした。続いて京都の岩崎悠人。やはり開幕戦で途中出場でのデビューを飾り、4戦連続の先発出場となった大分トリニータ戦では、豪快なボレーで見事な初ゴール。躍動感溢れるスピードはプロの舞台でも際立っている。

岩崎悠人

岩崎悠人 ©J.LEAGUE PHOTOS

 そして3人目は杉岡大暉。数々の“ルーキー”の中でも最も輝きを放っている選手として、市立船橋高校から湘南へ加入した杉岡の活躍は語り落とせない。高橋同様に開幕戦でスタメン起用された彼は、早くも第2節でゴールを決めるなど、一躍脚光を浴びる格好となったものの、そのプレーと同じく取材対応も落ち着いている。勝利を決定付けるゴールを挙げた第10節のファジアーノ岡山戦後、自身のここまでのプレーについて尋ねても「前への推進力は出せていますけど、守備の駆け引きの所ではプロのレベルの高さを痛感しています。でも、逆に言えばまだまだ成長できるということなので、そこはポジティブに捉えています」と客観的に自らを語る姿が印象的だったが、そのメンタルの裏には曺貴裁監督の影が見え隠れする。

杉岡大暉

杉岡大暉 ©J.LEAGUE PHOTOS

 岡山戦の試合終盤。湘南はピッチに杉岡、齊藤未月、石原広教と18歳の3人が立っていた。そのことを会見で問われた曺監督はこう答えている。「(若い選手を)使うタイミングというのは、そのチームの浮き沈みによって、ちゃんと勝利の責任を背負わせるタイミングで使ってあげるべきだし、勝利の責任がないのに、ただ単に足が速いとかドリブルができるから使っても、僕は何の意味もないと思っているので、そういったものを植え付けてあげたいなと思っています」。当たり前ではあるが、監督は勝利を掴み取るために選手をピッチヘ送り出す。それがルーキーであろうと、ベテランであろうと、起用された選手は勝利を掴み取るためにプレーすることが求められる。その中で曺監督の言う『勝利の責任を背負わせるタイミング』が、実は“ルーキー”にとって最も大事なポイントなのかもしれないと思うと同時に、杉岡はその『勝利の責任』を確実に意識してプレーしているようにも感じた。

『勝利の責任』を背負う側と背負わせる側のタイミングが一致しているのか。背負う側の準備は整っているのか。背負わせる側の準備は万端なのか。それぞれのクラブを見続けているファン・サポーターならば、それはトレーニングや試合から多少なりとも感じることができるのではないだろうか。その視点で“ルーキー”を見てみることで、また1つサッカーを知る面白さが増すような気がしている。

文=土屋雅史

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