『元祖ニュータンタンメン本舗』が手掛けた森本と田坂の横断幕 [写真]=いしかわごう
昨季まで、川崎フロンターレの試合には大久保嘉人のJ1通算ゴール数をカウントする“YOSHI METER”(ヨシメーター)なる巨大な横断幕が掲示されていた。大久保の得点とともに手動で得点数値が更新されていく光景は、スタジアムでのちょっとした名物にもなっていたほどである。
今年、大久保がFC東京に移籍。
それに伴い、ヨシメーターの掲示されていたエリアには新しく田坂祐介と森本貴幸の横断幕が出現しているのだが、そのデザインが異彩を放っていると密かに話題となっているのをご存知だろうか。
特に田坂の『元祖ニュータサカユウスケ本舗』は一際目を引く横断幕だ。
一見すると、「元祖?」、「ニュータサカユウスケ本舗?」とよくわからないかもしれない。実はこれ、川崎市民にはお馴染みの中華系チェーン店「元祖ニュータンタンメン本舗」をもじった横断幕なのである。
鶏ガラベースのスープに、粗挽きの唐辛子とニンニクとひき肉、ふわふわの溶き卵で調理されたタンタンメンが有名で、その絶妙な辛さに魅了されてリピーターとなるマニアが多数。1号店がオープンされたのは川崎市であり、現在も川崎市周辺に多くの店舗を構えていることから、“川崎市民のソウルフード”とまで言われている。
実際、フロンターレの選手やクラブスタッフにもファンは多い。昨年には、運営本部の全面協力を得て、新商品「まぜタン」を等々力陸上競技場で販売して好評を博している。そんな深い縁もあり、今回は「大」のつくファンであるという田坂と森本のために、会社協力のもとで横断幕が製作されたのだという。
3月某日の練習後、この新しく出来た横断幕とクラブハウスで対面した田坂は、思わず笑顔に。
聞くと、大学時代に食べてからこの味に病みつきになったとのことで、「大辛、にんにくダブル、きくらげ…」と、スラスラとこだわりをトッピングメニューを口にしながら、その愛を語っていた。横断幕には、サインとともに「I LOVE ニュータンタン」と力強く記入。そして今後の野望として「フロンターレのニュータンタン(メン)部を結成したい」と誓っていた。その目は、半分本気である。
そして、その田坂からニュータンタン部の部長として推薦されるほどの愛を持つのが森本だ。
森本は川崎市出身。クラブ公式ページの自身のプロフィール欄では、オススメスポット、オススメグルメ、地元の自慢など多数の項目に「ニュータンタンメン」を挙げており、筋金入りのマニアであることがうかがえる。聞くと、「週一ぐらいで行きますね」とニヤリ。
田坂のものと比べると、横断幕のデザインに奇抜さはないが、よく見ると上部には、好きなトッピングである「にんにくダブル、チャーシュー、たまご」の文字が並んでいる。森本も、サインとともに「ニュータンタン 最高!!」とその愛を横断幕に綴っていた。
そしてこの横弾幕、よく見ると下部にはどんぶりが表示されている。
どんぶりの数は、それぞれのフロンターレでのリーグ戦ゴール数を示すもので、田坂は「15」、森本は「2」。ゴールを決めるとどんぶりが増えていくという「おかわりシステム」となっているのだとか。特にストライカーの森本貴幸には、今年はたくさんの「おかわり」で、横断幕をどんぶりで埋め尽くしてもらいたいところだ。
スタジアムを彩る横断幕には、様々な思いが込められている。
今年から出現した田坂祐介と森本貴幸の横断幕。ヨシメーターに代わる新名物としてぜひ注目して欲しい。
文=いしかわごう