2016.11.30

【コラム】浦和を救った“笑顔の守護神”…西川のビッグセーブが勝負の“分水嶺”に

西川周作
完封勝利に貢献した浦和GK西川周作 [写真]=Getty Images
サッカーキング編集部。学生時代から全国のスタジアムへ通い続けてきた経験と人脈を生かして、Jリーグを取り巻くピッチ内外のネタを探り続ける。

 スタジアム中が固唾を飲んで見守った決定機。だが、彼は決して焦ることなく、周囲の状況を的確に把握し、じわりとじわりとシュートコースを断った。平常心ですべてを見極めていた守護神の完勝――。このビッグプレーで一気に試合の流れを引き寄せた浦和レッズは、このシーンからわずか4分後に興梠慎三が値千金のPKを獲得。これをキャプテン阿部勇樹がキッチリと沈め、2006シーズン以来10年ぶりとなるリーグ制覇に王手を掛けた。

 まさに勝負の“分水嶺”となった。

 51分、サイドで激しく奪い合ったボールがこぼれ球となり、中央で鹿島アントラーズFW土居聖真の足下へ収まる。すでに中央から金崎夢生が、そして逆サイドから遠藤康が鋭く裏のスペースを狙って走り出していた。だが、すべては浦和GK西川周作の計算どおり。ボールを収めた土居が素早く遠藤にスルーパスを通したが、どちらに出ても対応できるように準備していた西川はコースを消すべくポジションをスライドすると、的確に間合いを詰め、絶体絶命かと思われた大ピンチを鮮やかに救った。

「スルーパスに遠藤選手、(金崎)夢生選手が走っていたことはしっかり確認できていて、慌てることなく間合いを詰めることができた。宇賀神(友弥)選手が戻ってきてくれていたことも遠藤選手にプレッシャーを与えたと思いますし、自分もいいタイミングで寄せることができていたので、彼がゴールを見た時にはコースはなかったんじゃないかな」

 この時、西川はパスに対しての対応だけでなく、戻ってくる味方のポジションとスピードもしっかりと見極めていた。レフティーの遠藤康が得意の左足でシュートするために切り返してボールを持ち直せば、プレスバックしてきた宇賀神がカットできる。そのまま右足で打ってくれれば、間合いを詰めてコースを切った自分がブロックできる。さらにどちらにも倒れずにギリギリまで我慢することで、逆を突かれて流し込まれることも回避した。

「遠藤選手は利き足じゃないほうでしたし、先に飛び込んで逆を取られるよりは、いい姿勢で体を預けた形。いつもどおりにやれたと思います」

 スタジアム中が刮目したプレーで披露したビッグセーブ。本人は「とっさの判断だった」と振り返るが、あらゆる状況を把握した上でのいつもどおりのプレーだった。かくして彼の胸を直撃したボールは勢いを失い、そのまま手の中に収まることになる。

 ピンチのあとにチャンスあり――。「あのあとに必ずチャンスが来ると思っていた」という西川の期待どおり、55分に興梠が倒されてPKを得ると、これを阿部が冷静にど真ん中へ蹴り込む。チームはアウェーで行われた第1戦で貴重な先制点を手にし、リードを守った状態でホームでの第2戦を迎えることとなった。

「こういう緊張感のある試合は、GKの活躍で結果が変わってくると思っていたし、今日は必ず(出番が)一本はあると思って守っていたので、チームを救えて本当に良かった。いい精神状態で落ち着いて90分間を通してやることができました。(アウェーゲームを)勝って終われたことは本当に良かったし、いい緊張感を持って次に臨める。今日よりは間違いなくたくさんのお客さんが来てくると思うので、その雰囲気を楽しみたいと思います。今シーズンはいろいろな試合を経験して自分たちが成長できている感覚があります。YBCルヴァンカップも、セカンドステージもそう。いつもどおりにやれている結果が自信となって表れているので、今日みたいにいつもどおりにハードワークすることができれば、必ずタイトルは取れると思っています」

 殊勲のビッグセーブを見せた直後、西川はトレードマークのスマイルでピンチを感じさせない雰囲気を醸し出した。流れを引き寄せたチームは、貴重なアウェーゴールを手に埼玉スタジアムへ戻る。10年ぶりのリーグ制覇に向けて、着実に一歩前進した浦和レッズ。その最後方に、頼れる“笑顔の守護神”がいる。

文=青山知雄

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