■ヴァンフォーレ甲府 稲垣の負傷で求められる最善の選択
これを弱り目に祟り目と言うのか。ただでさえ負傷者が多い中、リーグ戦前節の柏レイソル戦で橋爪勇樹が左ひざを負傷。本人は29日から全体練習に合流して「正直痛みはあるけど、この試合が終わったあと、リーグ戦がしばらく空くから」と、出場への意欲を強くする。
ところが、この練習中に、稲垣祥が右足首を傷めてしまった。本稿の締め切り時点で、負傷の程度は不明だが、ここまでフィールドプレーヤーで唯一リーグ戦全試合に先発出場。今節も右WBに入って、おそらくはマッチアップとなる横浜F・マリノスの齋藤学を止めることが期待されていただけに、もし欠場となれば、大きな痛手になる。またその際は、田中佑昌が右WBに回る見込みだが、そうなると今度はシャドーの選択が難しくなる。ドゥドゥ、河本明人、吉野峻光が欠場中のため、本職はボランチの黒木聖仁やビリー・セレスキー、ルーキーの森晃太あたりが候補となるだろう。それぞれの選手の得意不得意、相手チームとの兼ね合いなどを熟慮して、最善の選択が求められる。
佐久間悟GM兼監督は「中村俊輔がいる時に較べれば、点を獲るバリエーションや確率は、低下していると言わざるを得ない状況にあると思う。齋藤学とマルティノスが(ドリブルで)運ぶしかなくなった」と、対戦相手を分析する。しかし、自分たちは2ndステージ第11節のG大阪戦の後半からボールを支配される展開が続いている。今節はキックオフ時間の関係で、残留争い直接の対象である名古屋グランパスの結果を確認した上で、試合に臨むことができるだけに、思い切りの良いゲームを期待したい。(渡辺功)
■横浜F・マリノス けが人の多さが不安材料、兵藤の欠場で前田が出場か
リーグ戦前節は年間首位の川崎フロンターレと対戦し、惜しくも2-3で点の取り合いに敗れた。4試合ぶりの2ndステージ2敗目。ステージ首位の浦和レッズとは残り4試合で勝ち点差「8」と広がった。
チャンピオンシップ進出の可能性は極めて低くなった。ただ、選手たちは下を向いてばかりではない。ルヴァン杯と天皇杯は勝ち上がっている。齋藤学は「(リーグ戦で負けて)ずるずるいくと影響する。俺のところでスイッチを上げたい」と気合十分だ。川崎戦では0-2の後半ロスタイムに2得点を奪って追いつく強烈な粘りを見せたことも大きな収穫だろう。
中町公祐は公式戦3戦連続ゴールを記録するなど好調。伊藤翔は先発復帰してリーグ戦4試合で2ゴールと結果を出している。ただ、負傷者が多いことは気掛かりだ。9月22日の天皇杯3回戦、東京ヴェルディ戦でFK弾を決めて戦列復帰したばかりだった中村俊輔が、負傷で再び離脱。29日はブラジル人FWのカイケが全体練習を外れており、兵藤慎剛も練習を欠席した。兵藤は試合当日の復帰も可能性を残すが、欠場となれば代役はエリク・モンバエルツ監督の評価を高めている前田直輝か。思い切りの良いドリブルとシュートを見せたい。
今節の甲府戦は、ボールを長く保持する展開が予想されるが、アウェイでは堅い守備を崩せず、3戦未勝利。終盤へ勢いがつく勝利が欲しい。(totoONE編集部)