2016.09.20

長いリハビリを乗り越えて1年2カ月ぶりの味スタへ 石川直宏が“真の復帰”へ大きな第一歩を踏み出す

石川直宏
秋田戦で実戦復帰を果たした石川直宏(中央) [写真]=三浦彩乃
サッカー総合情報サイト

 ついに味スタのピッチに“背番号18”が帰ってきた。

 19日に行われた明治安田生命J3リーグ第22節のブラウブリッツ秋田戦。0-0で迎えた63分過ぎ、FC東京U-23の中村忠監督が2人目の交代選手としてMF石川直宏に声を掛けた。試合前日、自身のSNSで「1年2カ月ぶりのメンバー入り」を発信していたこともあり、ホーム・味の素スタジアムには3200人を超えるファン・サポーターが来場。復帰を待ち望んだ彼ら一人ひとりの石川への想いが幾重にも重なり合い、スタジアムはJ1リーグさながらの熱気に満ち溢れていた。そして66分、石川はピッチサイドで深めに頭を下げ、スタジアム中から大きな拍手を受けて昨年7月19日以来となる味スタのピッチへ右足から入っていった。

秋田戦、後半途中からピッチに立った石川直宏 [写真]=三浦彩乃

秋田戦、後半途中からピッチに立った石川直宏 [写真]=三浦彩乃

「いろいろなことを考えてきたけれど、思っていたよりも冷静に入れた。ピッチに立った瞬間、『ここが自分のホームだ』と思ったし、何の不安もなくここに戻ってこれたと思う。それだけの積み重ねもしてきたから」

 こう語る石川だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。振り返れば、昨年8月2日、ドイツ(フランクフルト/コメルツバンク・アレーナ)で行われたフランクフルトとの国際親善試合に後半開始から出場すると、そのわずか20分後に左ひざを負傷。帰国後、チームドクターから突きつけられた診断結果は、「左ひざ前十字じん帯断裂、全治約8カ月」という悪夢のような現実だった。

 これまでも幾度となくケガによる戦線離脱を乗り越えてきた。とはいえ、当時34歳という自身の年齢とリハビリ期間、そしてその先に待ち構える復帰への苦しい道のりを知っているからこそ、この現実から逃げ出したくなるような感覚に襲われていたはずだ。秋田との復帰戦後、「ドイツでケガをした直後は、そこから自分がどうしようかというところでいろいろなことを考えた」と半ばあきらめに似た感情を抱いた当時の心境を口にしている。その言葉を聞けば、今回のリハビリ期間がどれだけ大変だったかは容易に想像がつく。

 しかし、「一度決めたらやり通す」意志の固さも石川の強み。これまでケガをするたびに「誰か待っていてくれる人がいるのであれば……」と話してきたが、今回も「またプレーをする、ピッチに戻ると決めてからはあきらめることはなかった」と“いばらの道”を進むことを決意。その後は8カ月後の自分が必ず強くなっていると信じて、長く、厳しいリハビリにのめり込んでいった。

 ところが全治の予定期間を過ぎても、万全と言えるまでにコンディションは回復してこなかった。5月上旬の実戦復帰を視野に入れ、4月にチームの全体練習に部分合流した際も「ケガをした箇所をかばいながらやってきた」ことで他の部分を傷めてしまったり、自身が「復帰したい試合」と位置づけていたJ3第15節福島ユナイテッドFC戦(7月3日、駒沢)の前にひざを痛めてしまい、プランどおりに進まないリハビリの難しさも味わった。それでも「自分らしい姿で戻るのが一番」だと考え、懸命なリハビリを続けてきた中で迎えた復帰戦だった。

「とにかくチームを勝たせること」を意識して入った秋田戦のピッチ。本人が「まだ抑えているところもある」と語ったとおり、相手との不用意な接触は避けながら慎重なプレーをしている印象もあったが、縦に抜ける一瞬のスプリント能力は相変わらずのもの。87分に生まれた水沼宏太の決勝点も、ドリブルでタメを作った石川のプレーがきっかけとなった。「自分が入ってチーム全体のスイッチも入れられたと思う」と、周囲との連係についても確かな自信をつかんだようだ。

 試合後には「ファン・サポーターに期待してもらえる存在としてピッチに立てる喜びを感じられた」と復帰の喜びを口にした一方で「自分らしさを見せられた部分はあるけど、まだまだ物足りない部分もある。でも、いきなりギアをトップに入れると、あっちこっちに(反動が)出てきちゃうんで…」と時おり笑顔をのぞかせながら、次なるステップに必要なものを感じ取っていた。

「ここ(J3)での活躍がなければ、上(J1)でのプレーもない」

 多くのファン・サポーターが待ち焦がれた復帰戦のスタンドには、「おかえり NAO 18」と書かれた横断幕が掲げられていた。今日の復帰戦はまだまだスタートラインに立ったに過ぎないが、長く、厳しいリハビリを乗り越えた彼にとっては大きな第一歩であったことは確かだろう。しかし、だからと言ってすぐにJ1のピッチに立てる保証はない。これからチームでの激しいポジション争いが待っている、まずはJ3で結果を残し、しかるべきステージへ―。彼が本来立つべきピッチに立った時、その試合こそがファン・サポーター、そして誰より石川自身が望む「おかえり」の舞台になる。

文=奥田明知

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