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C大阪MF山口蛍がフル出場で“再出発”を飾る…「経験の違い」で素早い適応力を披露

2016.07.04

ハノーファーから復帰後初のリーグ戦に臨んだC大阪MF山口蛍 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 セレッソ大阪MF山口蛍がJリーグでの“リスタート”でフル出場。中盤の底で存在感を発揮し、アウェーでロアッソ熊本と対戦したチームを5-1の勝利に導いた。

 キックオフ前の集合写真を撮影した後、自陣ベンチ前でしゃがみ込み、スパイクのひもを左、右と結び直した。C大阪で迎える“再出発”に向けて精神統一するかのようにゆっくり、そしてしっかりと――。


 3日に行われた明治安田生命J2リーグ第21節、ハノーファー(ドイツ)から約半年ぶりにC大阪へ復帰し、2日前にJリーグの追加選手登録を終えたばかりの山口は、41番を背負って4-2-1-3の右ボランチで先発出場。3月24日の日本代表戦で負った鼻骨骨折と左眼窩底骨折の重傷から約3カ月ぶりとなる復帰戦を迎えた。

 開始直後にはマッチアップした熊本FW清武功暉にタッチライン際でドリブル突破を許すシーンがあったものの、大熊清監督は「3カ月間試合に出ていないこともあって最初は攻守にスピードに戸惑いがあったように感じたが、経験があるので試合の中で修正できる」と評価。早い時間に相手が退場者を出して数的有利になったメリットがあったとはいえ、その後は適応力の高さを披露してピッチ中央でビルドアップの起点になった。

 糸を引くような右足の低空フィードを左右に散らしたかと思えば、ワンタッチで縦やナナメ方向にパスを出して攻撃にリズムを作り出す。35分に生まれたチーム3点目は、まさに彼のダイレクトパスを契機に生まれたものだった。出色の内容となった復帰戦のプレーには指揮官も目を細める。

「自信を持って顔を出す回数が非常に多かった。オン・ザ・ボールの部分で自信を持って(ボールを)扱うという意味で変わってきた印象がある。ここから厳しい試合が続く中で攻撃の部分でさらに変わってほしいし、今日は何本かスルーパスを出したように、もっと相手の嫌がるパスにチャレンジしてくれれば、ボランチとしてチームを高みに持っていってくれると思う」

 ただし、当然ながら本人は満足していない。「こういう(蒸し暑い)気候でしんどかったのはありますけど、90分間プレーできたのは収穫。点がたくさん取れたし、いいところもたくさんあった。ただ、無失点に抑えたかったし、10人の相手に押される時間もあったので、そこは締めていかなければいけない。(ホーム再開初戦の)熊本は絶対に気合を入れてくると注意していながら、その勢いに押されて失点してしまった。そこは課題でもあるので、これからうまくやっていきたい」と気を引き締める。

 ようやくC大阪での再デビューを飾った山口。今回のチーム復帰に際して、自身のブログで「心のクラブはセレッソしかない。自分はセレッソの山口蛍として残りのサッカー人生をセレッソに捧げたい」と古巣復帰への覚悟を口にしていた。形としては戻ってきたことになるが、自分の気持ちに正直に向き合った末の大きな決断でもあった。進むべき道は一つ。であれば――。

 5月末からはリハビリを兼ねて日本代表の欧州組合宿に参加している。当然ながらC大阪での活躍がハリルジャパン再招集につながるのは言うまでもない。退路を断った浪速の“金狼”が、確固たる決意を胸に自分の新しい道をしっかりと歩き出した。

文=青山知雄

By サッカーキング編集部

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