2016.05.16

川崎、絆が生んだ“新ホーム”・陸前高田市で「高田スマイルフェス2016」開催へ

小林悠
昨年11月の「陸前高田サッカー教室」で子供たちとふれあう川崎FW小林悠 [写真]=川崎フロンターレ
サッカー総合情報サイト

 東日本大震災から5年が経った今年、川崎フロンターレが “新たなホーム”の岩手県陸前高田市で一大イベント「高田スマイルフェス2016」を開催する。復興支援活動で陸前高田市と繋がってきた川崎だが、今回のイベントは一方的な「支援」としてではなく、「お互いの存在が互いの励み、支えとなり、笑顔を生み出すことができるように」という思いが込められている。

 両者の繋がりは、2011年に被災した陸前高田市の小学校に務める教員からのSOSが始まりだった。「教材が不足している」。その知人だった川崎市の教員を経由して支援要請を受けたフロンターレは震災発生の翌4月、2009年から作成・配布している「川崎フロンターレ算数ドリル」を小学校9校分と、サポーター有志が持ち寄ったサッカーボール260個をクラブスタッフが車に詰め込んで直接被災地へ届けた。これをきっかけに川崎の選手が主催する「陸前高田サッカー教室」や、陸前高田市の子供たちを川崎市に招待する「かわさき修学旅行」が始まり、毎年開催されることになった。

「陸前高田サッカー教室」(上)[写真提供]=川崎フロンターレ/かわさき修学旅行(下)[写真]=Getty Images

「陸前高田サッカー教室」(上)[写真]=川崎フロンターレ/「かわさき修学旅行」(下)[写真]=Getty Images

 支援を続けて約4年半が経った2015年9月、川崎と陸前高田市は「互いの存在が互いの励み、支えとなり笑顔を創出する」ことを目指し、「高田フロンターレスマイルシップ」を締結。「算数ドリル」によって結ばれた繋がりは、いつしか“絆”となり、Jリーグクラブと自治体による異例の友好協定という形となった。それと同時に川崎にとっては“新たなホーム”の誕生でもあった。川崎の代表取締役社長を務める藁科義弘氏は、この記者会見で「川崎フロンターレは勝利を目指して、頂点を目指していくことが第一です。ただもう一つの大きな柱というのが、地域貢献や地元密着。その中の一つの活動としてこの協定があると思っています。支援という形でスタートしましたが、今は交流になってきていると思っております」と語り、協定を「地元密着」の活動として、つまり陸前高田市を“地元”として捉えていた。

 この協定後、川崎はホームゲームで陸前高田市の観光・物産をPRするイベント「陸前高田ランド」を開催し、陸前高田市は「陸前高田フロンターレサポーターず」という民間団体の立ち上げなどを発表。言葉どおり、“被災地”への「支援」という形から、“地元”との「交流」へと舵が切られた。中でも注目されたのは、フロンターレが地元の川崎市とともに歩んできたように、“新たなホーム”である陸前高田市とともに一体となって作り上げていく「高田スマイルフェス2016」だ。

川崎フロンターレ

「高田スマイルフェス」は7月3日に開催される [写真提供]=川崎フロンターレ

 このイベントは今年が川崎にとってクラブ創立20周年、陸前高田市にとっては震災から5年という節目を迎えたことで開催される。

 2016明治安田生命J1リーグ・セカンドステージ開幕節ベガルタ仙台戦の翌日に当たる7月3日、気仙町にある上長部グラウンドに5つのエリアを設け、陸前高田市と川崎フロンターレの特色を生かしたアトラクションや物産販売、ナオト・インティライミさんも登場する特設ステージなどの他、フロンターレ選手や風間八宏監督によるサッカー教室も実施。これまで取り組んできた「陸前高田サッカー教室」や、すでに川崎サポーターにもお馴染みであろう「陸前高田ランド」などがバージョンアップして行われる形だ。

ナオト・インティライミ

スペシャルライブを行う歌手のナオト・インティライミさん [写真提供]=川崎フロンターレ

 そして今回のメインイベントは「川崎フロンターレvsベガルタ仙台」のスマイルドリームマッチ。J1でプレーする選手同士の真剣勝負と、サポーターによる熱い応援を、“新たなホーム”の人たちに直接肌で感じてもらう絶好の機会となる。また、クラブは遠方へ足を運ぶことになる川崎サポーターのためにも、リーグ戦観戦や被災地視察などを含む3つのツアープランを用意。多くの川崎サポーターが陸前高田市を訪れ、ともに盛り上げてくれることを期待している。

[写真]=川崎フロンターレ

昨年行われたサッカー教室の様子[写真提供]=川崎フロンターレ

「震災を風化させない」。イベントにその思いが込められているのは間違いない。だが、今回は被災地の地域住民のためだけでなく、現地を訪れる川崎サポーターもともに楽しみ、お互いの関係を深める「交流」と位置づけられている。そんなクラブや市の思いを実現させるのは、なによりイベントに参加する人たちが楽しみ、笑い合うことだろう。川崎が絆を深めてきた陸前高田市という“新たなホーム”で開催される「高田スマイルフェス2016」は、大きな歓声と笑顔で溢れる多くのサポーターたちを待っている。

「高田スマイルフェス2016」公式サイト(イベンド情報、フェス参加方法、ツアー申し込みはこちら)

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