2015.12.22

村井チェアマンが2ステージ制とCS導入を含む2015シーズンを総括…「兆しは感じられた」

村井満
メディアブリーフィングで2015シーズンを総括した村井満チェアマン
海外サッカー専門誌の編集を務めた後にフリーとなり、ライター、エディター、スペイン語の翻訳&通訳、フォトグラファーとマルチに活動を展開中。

 Jリーグは22日、JFAハウスで2015シーズン振り返りに関するメディアブリーフィングを実施。村井満チェアマンがシーズンを総括した。

 Jリーグへの一般的な関心は2009年をピークに、2013年頃にかけて低下しており、入場者も減少傾向にあった。この影響もあってクラブ収益、リーグ収益が減少し、デジタルや育成への投資余資が枯渇する恐れもあったという。こうした“負のスパイラル”から脱却するために2015シーズンからの2ステージ制導入を決定し、2014年1月に就任した村井チェアマンの下、様々な調整を進めながら実施にこぎつけた。今回のブリーフィングは、様々な変化にトライした2015シーズンを総括するものである。

 村井チェアマンはまず、2015シーズンのビジネス面の成果について説明。09年をピークになだらかに減少していた入場者数については「2014年に下げ止まり、今年は反転攻勢で上昇に転じています」と語り、明治安田生命J1、J2、J3リーグの全カテゴリーにおいて昨年よりも入場者数が増加したことを明らかにした。

 今シーズンは史上初めてJリーグ公式戦の入場者数が1000万人を突破。「特筆すべきは満員になった試合の数(緩衝地帯を設ける関係で、収容率80パーセント以上で満員と認定)で、昨年度の45試合から68試合に増えています。サッカーの熱気を伝えるためには、満員のスタジアムでの試合がベスト。クラブの運営担当やホームタウン担当の努力の賜物だと思います」と各クラブの取り組みを称えた。

 また、地上波での放送本数や平均視聴率の上昇も報告し、明治安田生命Jリーグチャンピオンシップのファイナル第2戦が10.4パーセントを記録したことについても「最大で見積もって1000万人程度がこの試合を視聴した可能性がある。この価値も受け止めたい」と言及。2015年度のJリーグ全クラブの営業収益については、889億円を見込んでおり、Jリーグの収益130億円と合わせて「1000億円の経済規模になった」と明かした。

 一方、ピッチ内のプレーについては、FIFAクラブワールドカップ2015の3位決定戦でサンフレッチェ広島が広州恒大に劇的な逆転勝利を収めたことを引き合いに出し、「今年のJ1リーグではあのような試合が増えました。逆転勝ち試合は前年度に比べて20パーセント増加し、残り15分でのゴール数も7パーセント増えました。緊張感が続く試合が増えています」と解説。ゴール数、シュート数、空中戦の回数などあらゆる数値がアップしていることも紹介し、「17節でタイトル争いをするので、勝ち点3を取りにいく、シュートを狙いにいく意識がこのような結果につながったのであればいいと思っています」と、2ステージ制への移行が試合における各チームのアグレッシブさに影響を与えた可能性を示唆した。

 2ステージ制とチャンピオンシップの導入に関してはスケジュールの過密化を懸念する声も多く聞かれたが、これについては海外の有力クラブや主要選手の年間スケジュールと比較する資料を紹介。「ガンバ大阪は年間60試合に到達する可能性もありますが、これはレアル・マドリードバルセロナと同等の数字です。サンフレッチェ広島柏レイソルは50試合程度で、こちらはバイエルンマンチェスター・Cと同程度。世界と比べて、特に多いわけではありません。個人を見ても、遠藤保仁選手は52試合に出場し、4700分プレーしていますが、クリスティアーノ・ロナウドも54試合、4600分に出場しています」と語り、現在のスケジュールが「ワールドスタンダード」であることを強調。ただし、その一方で「年間を通じた試合日程の問題と、ここ一番が迫った時の試合間隔などを考えつつ、皆さんと議論をしながら理想的なスケジュールを作り上げていきたい」と今後の改善に意欲を見せた。

 これらを踏まえ、村井チェアマンは「公平性」、「興業」、「強化」という3つの観点から、2ステージ制とチャンピオンシップの是非について言及。Jリーグはファーストステージ終了時点、そして12月5日のチャンピオンシップ終了時点で広くアンケート調査を行っており、その結果を公表。「チャンピオンシップ、2ステージ制について、賛成か反対か」という問いに対し、スタジアム観戦7回以上の対象者については、7月時点で賛成3割、反対6割という状況だったが、12月の時点ではその割合が逆転する傾向も見られた。

 一方で、村井チェアマンはスタジアム観戦がゼロ回という「無関心層」が圧倒的に多いことを懸念。「チャンピオンシップ、2ステージ制とも、まだまだ認識されていない。Jリーグとしては無関心層の数をどうすれば減らせるかが本来、議論すべき点なのかなと思っています」と、一般層、ライト層へのサッカーの普及を今後の目標に掲げた。

 その後、村井チェアマンは2016シーズンに向け、Jリーグの大会形式を一部変更することを公表した。2ステージ制のリーグ戦終了後に行われるチャンピオンシップに出場できるのは、各ステージ王者と年間順位1~3位のチームという大枠に変化はないが、チャンピオンシップのシード権については、分かりやすさを重視して「年間順位を重視する」方法に変更され、年間1位~3位のクラブの優先度が高くなることになった。また、チャンピオンシップの1回戦と準決勝は「90分間で勝敗が決しない場合は年間順位で上位のクラブが勝ち上がり」、決勝は「第2戦の90分間を終えて勝敗が決しない場合は、年間順位が上のチームが優勝。PK戦は実施しない」と年間順位を重視した形式に変更するという。

 質疑応答では、やはり2ステージ制とチャンピオンシップに関する質問が数多く投げ掛けられた。2015シーズンの成果については「ある程度の『兆し』は感じられました。どうしたら多くの方にサッカーに目を向けてもらえるかを考えると、まだまだやることはたくさんあります。成功したと胸を張るつもりはありませんが、少しの兆しを感じることができました」と回答。2016シーズン以降については、「骨格を変えないということは決めていました。いろいろチューニングをしながら、複数年をかけてやってみて、本当に適した形かどうかは次のステージで議論していきたいと思います」と、今後も模索を続けていくことを宣言した。

文・写真=池田敏明

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