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広島、クラブW杯で3年越しのリベンジへ…アフリカ王者の壁を破れるか

2015.12.13

開幕戦は負傷で3人の交代枠を使い切ったが、総合力で初戦を制した [写真]=ChinaFotoPress via Getty Images

 リベンジへの準備は整った。

 13日のFIFAクラブワールドカップ2015準々決勝でマゼンベ(DRコンゴ)と対戦するサンフレッチェ広島。FW佐藤寿人が「マゼンベをしっかりと倒さなければ意味がない。僕たちはその先を見ている」と語るように、広島にとってアフリカ王者との勝負は3年間の成長を試される一戦でもある。


 初めてJリーグ王者に輝いた2012年、広島は開催国王者としてクラブW杯に出場し、準々決勝でアフリカ王者のアル・アハリ(エジプト)と対戦した。再三のチャンスを作りながらも決定機を生かし切れず、1-2で惜敗。1点ビハインドで迎えた32分に同点ゴールを叩き込んだ佐藤寿は「自分が試合を決める2点目を取れていれば、結果は違っていた」と当時を振り返る。何度も相手DFの背後を突き、あとは“決めるだけ”という場面を作りながら結果を出せず、敗戦の責任を人一倍感じていた。だからこそ今回のマゼンベ戦は「勝利につながるゴールを決めて、次に進みたい」と意気込みを見せる。そして同じくベテランのMF森崎和幸もまたアフリカ王者に敗れ、5位決定戦に回った悔しさが胸に残っているという。「しっかりと勝って、さらにレベルの高いチームと戦いたい。チームのみんなも同じ気持ちだと思うし、どんな形でもいいので勝って先に進みたい」と静かに闘志を燃やした。

 今回対戦するマゼンベについて、佐藤寿は次のように分析する。

「アル・アハリはショートパスをつないでコンビネーションを使うチームでしたが、マゼンベはロングボールをアバウトに入れてくる。フィジカルを生かして、縦に速い動きで前に圧力を掛けてくる印象。(組織的なアル・アハリとは異なり)今回は個の能力でチャンスを作ってくる感じです」

 驚異の身体能力を誇り、スピードとパワーを兼ね備えるマゼンベ。同大会では2010年に南米、ヨーロッパ以外で初めて決勝に進出する快挙を成し遂げた。今シーズンのCAFチャンピオンズリーグでは苦戦しながら、決勝ではUSMアルジェ(アルジェリア)に連勝を収めて、通算5度目となるアフリカ王者の座を獲得した。

 では、大陸屈指の強豪として名を馳せる名門に対して、広島はどう戦うべきなのだろうか。

 キャプテンのMF青山敏弘が「まずは逃げずに戦うこと。相手はハードに来ると思いますが、引いてしまうと相手の思うツボ」と話せば、森保一監督も身体能力の高さを認めた上で「一対一の局面をできるだけ作らないように、作らせないように戦わなければならない」と個の力に警戒心を示した。まずはオークランド・シティ(ニュージーランド)との初戦と同じく、相手にスキを与えることなく守れるかが重要になる。特にカウンター攻撃には細心の注意を払わなければならない。

 そこでカギとなってくるのがセカンドボールへの反応だ。しっかりとボールを収められれば、持ち前の攻撃力を発揮できる。佐藤寿は「映像ではマゼンベのクリアボールがそのままチャンスになるシーンもあったので、後ろからでも自由に蹴らせないことが重要。いかにプレスバックして、セカンドボールをいい形で拾えるかどうか。セカンドボールやルーズボールを拾う回数で相手を上回れるかどうがポイントになってくる」とこぼれ球への反応が勝負の分かれ目になると主張した。

 広島としては初戦で負傷交代したMF野津田岳人とMF柴崎晃誠がともに長期離脱を強いられたことは懸念材料だが、そもそもオークランド・シティ戦では明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ決勝から6人を入れ替え、エース佐藤寿を温存していた。選手たちが「2チーム分の戦力がある」と口をそろえるように、選手層の厚さが今季の強さを支えているのは間違いない。森保監督は「これまでも試練や逆境を乗り越えた時に成長できた。新しい選手が活躍してくれると楽しみにしているし、期待のほうが大きい」とポジティブな姿勢を見せた。平等な競争で大きくレベルアップしたチームは今季、Jリーグで歴代最多勝ち点と最多得点をマークして頂点に立った。その結果は彼らに確固たる自信と手応えをもたらしているはずだ。

 世界の舞台で悔しさを味わった3年前のあの日から二度のJリーグ優勝を達成し、自信も経験も上積みした広島。チームとして新たな歴史を刻むためには、アフリカの壁を破らなければならない。この準々決勝を突破すれば、その先には南米王者のリーベル・プレート、さらには欧州王者のバルセロナとの対決が見えてくる。3年前に成し遂げられなかったベスト4進出を目指し、“最強のJリーグ王者”がアフリカ王者とのリベンジマッチに挑む。

文=高尾太恵子

By 高尾太恵子

サッカーキング編集部

元サッカーキング編集部。FIFAワールドカップロシア2018を現地取材。九州出身。

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