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【平畠啓史氏はこう見る!】リーグ戦5連勝で2位磐田を猛追…東京Vの暑い夏はまだまだ終わらない

J2で3位に位置する東京V [写真]=Getty Images

 とにかく暑い。都心では猛暑日が8日間も続いたとのこと。ほんの何年か前なら、熱帯夜の日が何日続いたとかで騒いでいたような気もするが、ここ最近は天気予報の晴れマークも、見るだけで嫌気がさすような真っ赤なマークが当たり前のように出没する。何もしなくても暑い。ということは生きているだけで暑い。駅に着くころには汗だくで、「何のために家を出る前にシャワーを浴びたのか」と、電車の中で禅問答のように頭の中で繰り返している。

 生きているだけでも暑いということは、サッカーを見ているだけでも暑い。席についてからでも、汗が噴き出してくる。ナイターといえども、気温が30度以上を記録する時もある。正式名称はわからないけれど、なぜ給水タイムか飲水タイムを取らないんだよ。これでは、選手のパフォーマンスが落ちてしまう。お客さんにも失礼だし、日本サッカーのレベルが云々かんぬん。サッカーを見ていても意識が朦朧とし、頭の中では罵詈雑言が渦巻き、意識のレベルも混濁間近。そんな時、こんな声が聞こえたような気がした。

「おい! そこのおっさんよ! いくら暑くても走れるんだよ。おらよっ!」

 小さな緑の選手はそんなことを今にも言い出しそうな雰囲気で、再び相手ディフェンダーに向かって走り出した。東京ヴェルディの7番、杉本竜士だ。身長は163センチ。根性がありそうないい面構えをしている。そして、その面構えと同様、ボール受ければ前を向き、どんな屈強なディフェンスにも立ち向かっていく。それも玉砕覚悟で立ち向かうのではなく、成功を前提としたチャレンジであるため、期待感が薄れない。一見、相手ディフェンダーの方が有利に見える場面でも、キレとスピードを生かして鋭く体をねじ込む。そしていつの間にか相手よりも半歩、一歩前に出て、置き去りにしていく。

 また、ここ最近はその走力を守備にもフル活用し始めた。とにかく、前線で追いまくる。一度追ったから終わりではなく、二度三度は当たり前。「とりあえずコースを切りましたよ」的な、言い訳がましい寄せ方ではない。獰猛に、果敢に相手ディフェンダーにプレッシャーをかける。そこには、守備という名の受身的な印象は全く受けない。やらされてる感も悲壮感の類も微塵もない。能動的に守備を行う。杉本は守備でも攻めの姿勢を崩さないのだ。

 東京Vはここにきて5連勝。順位も3位で、自動昇格圏内の2位磐田との勝ち点の差も「2」になった。そして、この5連勝中の失点はわずか「1」。しかし、守備を固めていわゆる“ガチガチ”に守っているかというと、まったくそうではない。「綺麗に並び、ラインを整えて守備ブロックを固める」というのではなく、「必要なところに確実にポジションを取って、それぞれが責任を持って仕事をする」という感じだ。

 その責任感がゆえに、先ほど名を挙げた杉本同様、球際が非常にタイトだ。執拗に体を寄せ、相手にプレッシャーをかけ、隙があればどんどんボールを奪っていく。その守備には、やはりやらされている感がまったくない。だからこそ、ここ最近の東京Vから、サッカーの最大の魅力の一つが感じられているのだと思う。それは“パッション”。選手が、そしてチームが発する熱が観客を魅了し、相手を圧倒する。日本の暑い夏を、東京Vの熱いサッカーが制しているのである。彼らの夏はまだまだ終わりそうにない。

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