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3年目で覚醒なるか…浅野拓磨、広島の絶対的エースへ勝負の時

広島でプレーする浅野拓磨(左) [写真]=Getty Images

文=安藤隆人

 入団3年目、20歳になったサンフレッチェ広島FW浅野拓磨が、4月18日のFC東京戦でのJリーグ初ゴールに続き、5月2日のベガルタ仙台戦でも得点を挙げ、調子を上げている。

 3大会連続で高校選手権に出場した四日市中央工時代は、同期の田村翔太(現・福島ユナイテッドFC)とともに“高校ナンバーワンツートップ”と称され、ゴールを量産。高校2年生時には選手権準優勝を果たし、自身も初戦から決勝までの全試合でゴールを決め、得点王に輝いた。2013年に広島に加入するも、佐藤寿人という絶対的なエースを抱えるチームにおいて、出番を掴むことは容易いことではなかった

「FWはゴールを決めて初めて評価されるもの」。

 高校時代から、口癖のように浅野は語っていた。だからこそ、プロに入ってからの自分のプレーに到底納得がいく訳ではなかった。

「厳しかったです。僕は1年目から試合に出て、点を獲って活躍することを想像していましたが、1年目は1試合しか出られなかったし、2年目は試合に出られても、ゴールが遠かった。当然、信頼を得られるはずもなかったですね」

 佐藤寿人の壁は想像以上に高く、厳しい現実が突き付けられた。2年目のゼロックススーパーカップで念願のプロ初ゴールを決めたが、以降はリーグでもカップ戦でもゴールを挙げることができなかった。今年2月のリオデジャネイロ・オリンピックのアジア1次予選を兼ねたAFC U-23 選手権予選でも、U-22日本代表の一員として出場するが、3戦全勝で最終予選進出を決めたチームにおいて、ノーゴールに終わった。

「プロ初ゴール決めてホッとしたと思ったら、そこからこんなに点が取れなくなるとは思いませんでした。リーグ戦でも途中からですが、使ってもらっていたし、U-22は同年代のチーム。言い訳は一切できなかったし、実力が足りないのは歴然でした。でも、自信を無くすことはなかったですね。相手をスピードで振り切ることや、ドリブルで仕掛けることはできていて、シュートまで行くプレーには手応えを感じていましたね。だからこそ、ゴールに対して純粋に貪欲になれました」

 入団してから苦しい時期が続いたことは間違いない。だが、ネガティブになることはなかった。「いつか必ず点が取れる。過ぎたことを悔やむより、点を取るイメージを絶対に消さないようにプレーしました」と、意欲を燃やし、前だけを見ていたのだ。

 迎えた勝負とも言えるプロ3年目。ようやく浅野に結果がついてきた。ヤマザキナビスコカップの湘南ベルマーレ戦で2ゴールを挙げると、FC東京戦での念願のリーグ初ゴールに続き、仙台戦でも得点した。いずれのゴールも、最大の武器であるスピードとドリブルから生まれたものであったが、動き出しの質が格段に向上したからこそ、持っている武器が効力を発揮し、結果に直結したものであった。

 浅野の成長は、常に自らの前を走る、チームの絶対的エースから学んだものだった。

「トレーニング、試合中から寿人さんの動きを見て学んでいます。特にオフザボールの動き、ゴール前での落ち着きは本当にすごいです。ボランチがボールを持ったらどこにどう動けば良いか、見ているだけでイメージが沸くし、本当に参考になります」

 すぐ近くには最高のお手本がいるが、いつまでもお手本のままでは意味がない。浅野がエースとなり得る存在にならないといけないことは、自身が一番分かっている。

「いつかは寿人さんを超えたいです。ポジションを獲得することは入団したときからの目標。ベテラン組を脅かさないと意味が無いし、そのためにはFWとしての一番大事な仕事をして、課題であるボールを失わないことをしっかりとやっていかないといけないです。チーム全体から信頼を得られるように、こだわりを持ってやっていきたいですし、決して口だけじゃないところを示したいですね」

 レギュラーとして、チームを勝利に導くゴールを決めてこそ、真のストライカーと言える。どこまでもゴールを渇望し、その思いをプレーに昇華させる。その積み重ねの先に、エースの称号が待っている。浅野拓磨の下克上は今、始まったばかりだ。

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