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クラブユース夏の王者決する大会はベスト8へ…育成の裾野の広がりが顕著に

2014.07.29

昨年のU-17W杯日本代表である千葉U-18のMF仲村京雅(左) [写真]=川端暁彦

 7月24日に群馬県内で開幕した「adidas CUP第38回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」。“高校サッカー部”の夏の王者を決する戦いがインターハイなら、こちらはJリーグのアカデミーを始めとするクラブチームの夏の王者を決定する戦いである。宮本恒靖、稲本潤一、阿部勇樹、佐藤寿人、西川周作、山口蛍、齋藤学、柿谷曜一朗、原口元気、宇佐美貴史など多くのタレントがこの大会から巣立っている。

 32チームによるグループリーグ戦と、その試練を突破した16強による激突を経た28日、大会のベスト8が決定した。勝ち残ったのは、かつて甲府や京都のトップチームを率いた大木武氏を新監督として迎えた磐田U-18、東京都の巣鴨を本拠地として唯一の街クラブとして勝ち名乗りをあげた三菱養和SCユース、日本サッカー協会(JFA)が自ら旗を振り、真のエリート教育を謳い文句に活動を重ね、今年からクラブユース連盟に再加盟して今大会初出場となったJFAアカデミー福島といったチームである。


 広島ユース、名古屋U18、柏U-18といった有力クラブが地域予選で敗退となる一方で、本大会では鳥取U-18のような新興チームが千葉U-18、京都U-18といった実績のあるクラブを土俵際まで追い詰めた。Jリーグ誕生から20年あまりを経て、高校年代のクラブチームの層に厚みが出ていることを実感できる大会となっている。Jリーグや日本代表でもクラブチーム出身選手が出場する頻度は徐々に上がってきているが、それは強化に力を注ぐJクラブの絶対数が増えていることと無縁ではない。アカデミーチームの保有を義務付けるJリーグの規定は時として(主に財政的な側面から)批判の対象となるが、裾野を広げて全体を底上げするという競技面での効用は確実に生んでいる。

 全国のチームが集まるこの大会は、そうした成果を確認する場とも言えるだろう。出場するタレントのアベレージという意味でも同時期のインターハイを確実に上回っているだけに、試合の娯楽性も高い。30日の準々決勝を経て、8月1日からは舞台を横浜へと移す。お近くの方は、ナイトゲームとなる三ツ沢陸上競技場での準決勝(1日)、ニッパツ三ツ沢球技場での決勝(2日)に、ぜひ足を運んでみてほしい。確実に未来のJリーガーを目撃することができるだろう。高校サッカー選手権だけを観て日本サッカーの未来を語ることができた時代は、確実に終わったのだから。

■ベスト8組み合わせ
ジュビロ磐田U-18 vs コンサドーレ札幌U-18
三菱養和SCユース vs 京都サンガF.C. U-18
ガンバ大阪ユース vs JFAアカデミー福島U18
FC東京U-18 vs ジェフユナイテッド千葉U-18

文=川端暁彦

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