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【2023年大会】サクラサク! デサフィオが鍛えたテクニックで四国制覇を果たし、決勝大会へ 《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国》

2023.04.06

優勝したDESAFIO CLUB DE FUTBOLの選手たち

 4月1日、2日の2日間にわたり香川県高松市立東部運動公園で行われた『JA全農杯 2023 全国小学生選抜サッカーIN 四国』は、香川県勢同士の対戦となった決勝戦でDESAFIO CLUB DE FUTBOL(デサフィオ・クラブ・デ・フットボール/以下、DESAFIO)が勝利。念願だった日産スタジアム(神奈川県)での決勝大会(5月3日~5日開催)への出場権を初めて獲得した。

 JA全農杯全国小学生選抜サッカー大会は8人制サッカー。12分×3ピリオドで行われ第1ピリオド、第2ピリオドは、完全入れ替え制で、5分間の休憩をはさんで行われる第3ピリオドは途中出場を含め、すべての登録選手に出場権があるというルール(退場、負傷者が出た場合を除く)。全員に一定以上の出場機会が得られやすいと同時に、第1、第2ピリオドの選手配置、疲労具合に合わせた攻守バランス変更など、戦略・戦術の妙が楽しめるようになっている。

 四国4県から各3チームが参加して行われた1日目の順位決定リーグ戦では、視察に訪れた元日本代表選手、北沢豪さんが「年々、大会のレベルが上がってきている」と感想を述べたように好試合が続出。徳島ヴォルティス、FC今治のU-12のチームも簡単には勝たせてもらえない。

 リーグ戦をグループ1位で決勝トーナメントに進んだのは、攻守の切り替えが早く、チャンスとなると確実にものにしに行く「F.C.コーマラントジュニア」、意思統一されたフォアチェックでフィールドカバー力が抜群の「丸亀フットボールクラブ(以下、丸亀)」、密集と散開のバランスが素晴らしかった、「徳島ヴォルティスジュニア」、そして決定力のあるドリブラーがいて粒のそろった選手層が強みの「DESAFIO」、の4チーム。なんと、徳島ヴォルティスジュニア以外は地元香川県から参加したチームとなった。

 2日目は朝から気温が16度と温かく、底山の中腹にあるグラウンドからは讃岐平野と瀬戸内海がかすんで見える春らしい穏やかな気候。これからゲームへ向かう小学生たちには体が動く絶好のコンディションだ。

 準決勝では、自慢のフォアチェックで常に先手を取った丸亀が、ミスを取り返そうと個人技勝負となってしまった徳島ヴォルティスジュニアを封じ3-2で勝利。また、第2ピリオドに猛攻を仕掛けて大量得点を奪ったDESAFIOが、ベースを掴めず実力を出せなかったF.C.コーマラントジュニアを5-0でくだし、それぞれ決勝進出を決めた。その結果、決勝は「県大会で直接対決はなかったですけど、知っている選手が多いから、(お互いの)戦い方は知っている(DESAFIO 村松監督)」という同じ香川県内の「近くて遠い」チーム同士の対戦となった。

 14:10キック・オフ。朝に周囲を覆っていた春霞は徐々に薄れて快晴に。

 第1ピリオドは丸亀のペース。「積極的に声を出してコミュニケーションを取っていきたい」と試合前に語っていたキャプテンの吉田峻が味方選手を鼓舞してどんどん前へ押し上げ、DESAFIO先発選手たちから時間とスペースを奪い、ボールを前へ運んでいく。

 しかし、DESAFIOもボールロストからの帰陣が早い。中を固めてはじき返し、決定機を作らせないだけでなく、あわよくばというプレーで逆襲をかける。7分20秒、福家聡太がキーパーと1対1の状況を作るが、丸亀のGK柴坂奏汰がファインセーブ。ボールは行き来すれどもシュートへつながらない、そんな展開であっという間に12分を使い果たす。

 迎えた第2ピリオド。技術がウリのDESAFIOの攻撃陣が牙をむく。「(1日目の)最初は堅かったけど、みんな調子が上がってきているし、決勝もアグレッシブに行けると思う。(DESAFIO 多田朱希キャプテン)」と丸亀のお株を奪うアグレッシブさで次のプレーを考える時間を奪っていく。

 「前にくるのは分かっていたから、その背後というのを意識させていた」村松監督のプラン通り、DESAFIOの選手たちはフォアチェックの後ろにできた広大なフィールドを使い、嫌が応にもディフェンスと1対1で勝負、というシーンを創っていく。9分55秒、並走してきたディフェンスを振り切った山下士琉が狙いすましたシュートはポスト直撃。しかし、運よくリバウンドはその山下の足元へ。「入ったと思ったのが外れたのに、ラッキー」というシュートは、キーパーも反応しきれず、均衡は崩れた。

 互いに相手の攻勢を耐える1,2ピリオドを終えインターバルをはさんだ第3ピリオド。「前からどんどん奪いに行くのがうちのチームコンセプト」という丸亀・片岡泰昌監督の声を受け、力を振り絞った反撃に、DESAFIOは「技術的には一番。ウチにとっての日本代表でいう、三笘です(笑)(DESAFIO村松監督)」という本間悠仁を中心に、その背後をドリブルで狙う。本間のドリブルは大小のタッチを使い分け、緩急でディフェンスを置き去りにするスタイル。左サイドから何度となくゴールへ迫り、観衆からは感嘆の声が聞こえた。

 陽が傾きかけたころ、丸亀の安江渚翔が左サイドを完全に突破して渾身のクロスを上げるも跳ね返され、1-0でタイムアップ。満開の桜が咲く讃岐平野をバックに、DESAFIOの選手たちの勝利のダンスと笑顔がはじけた。

 「丸亀さんの前からの圧力にどれだけ我慢できるかがポイントでした。1,2ピリとよく我慢してくれました。」と粘り強い守備を勝因に挙げた村松監督。対して、丸亀の吉田峻は本当に悔しそうに「気持ちが足りなかった。走る部分とか、絶対にシュートを打たせない部分でまだ気持ちが足りないと思います。練習から意識をすることが勝つチームになるってことだと思います。」と課題を語った。

 決勝大会へ向けて「強い相手かもしれないけれど、自分のドリブルを見せて勝ち切ります。(本間)」「相手の点取り屋がどれくらいのレベルなのかを見て、自分がその中でどれくらいのレベルなのかを知りたいし、もっと勝ちたい。(山下)」と語り、選手たちは掴んだ自信を携えて全国の強豪と向かい合うことを心待ちにしている様子。その技術とメンタリティでどんな活躍を見せてくれるか? 四国から楽しみなチームが日産スタジアムへ向かう。

 合間で試合会場を歩き回り決勝へ進めなかったチームのミーティングを後ろから聞いていると、「次で勝つために今日頑張ろう」「今日できなかったことは明日やるじゃなく、今日出し切ることが明日につながる」「今日目標は見えたよね。あそこへたどり着くには並の努力じゃ届かない。これからの練習が大事なんだ」などなど、四国の頂点を目指す戦いの号砲はすでにならされているのも感じることができた。

 この様子なら来年はさらにレベルの上がった「JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国」が見られるに違いない。

取材・文=上溝真司

全国9地区で開催される『JA全農杯全国小学生選抜サッカー』の模様は@zennoh_sportsにてTwitter速報を実施中。

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By サッカーキング編集部

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