2018.01.26

【特別対談】高橋陽一×乾貴士 世界で活躍する両名が説く“継続する”ということ

[写真]=野口岳彦
1984年東京都生まれ。2012年よりWeb『サッカーキング』で編集者として勤務。2019年7月よりWeb『サッカーキング』編集長に就任。

 ドイツからスペインへと渡り、エイバルの地で確実のその地位を高めている日本代表FW乾貴士。日本はもとより、全世界で地位を確立するまでに至ったサッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏。

 違う分野ながらも、ワールドワイドに活躍する両者に、“日本が海外に出ていく上で必要なこと”を聞くとともに、アシックスのスパイク『DS LIGHT®』シリーズが2018年で発売から20周年を迎えるということで、“継続することの重要性”についても答えてもらった。

進行=細江克弥(サッカーライター)、小松春生(サッカーキング編集部)
写真=野口岳彦

■乾選手は「うまい」という言葉がぴったり

―――今回、お二人の対談は初となります。これまで面識はありましたか?

乾貴士(以下、乾) 『やべっちF.C.』のフットサル企画でご一緒しました。それまでは『キャプテン翼』のイメージを持っていたので、「あ、描いていた人がいる」って思いましたね(笑)。

高橋陽一(以下、高橋) その時、知人の息子さんと写真を撮ってくれるなど、すごく明るく対応していただいたことが印象的でした。

―――それ以前で、高橋先生に抱いていたイメージはありましたか?

乾 僕、絵を描くことがめっちゃ苦手で、タイプが完璧に違うと思っていたので、全くイメージができなかったですね。

―――高橋先生から見た、乾選手のサッカー選手としての印象はいかがでしょう。

高橋 やはり「うまいな」という言葉がぴったりですね。特にドリブルを見ていると感じます。試合を見ても、日本人選手は硬くなることが多いんですが、乾選手はすごくリラックスをしていて。力の抜け方が素晴らしいです。

乾 そうですね。昨シーズン終盤、特に最終節のバルセロナ戦では「楽しくやろう」と気持ちの部分で余裕がありました。

■互いに一つのことを“辞めなかった理由”

―――2018年、アシックスの展開するスパイク『DS LIGHT®』シリーズが誕生してから20周年を迎えます。高橋先生は漫画を描くこと、乾選手はサッカーをプレーすることを、ずっと続けてこられました。継続性という点で、お二人が一つのことを続けられた要因は何でしょうか?

乾 辞めそうになったことは、これまでにあったような気はしますけど、辞めようという決断まではできていないんですよね。結局、何かが心に引っかかったんです。辞めようと思う度、自分にとってサッカーが大事だと思って。サッカーしかなかったんですよ。

高橋 振り返れば、僕も「もういいや」と思った時があります。でも、しばらくするとまた描きたくなる欲求が湧いてくる。絵を描くことがそもそも好きですし、長くやっていると、その行為自体が朝起きて、歯を磨くことと同じような感じになるんです。起きて、朝食を取れば自然と机に向かって絵を描く。それが習慣となり、日常になっていますね。

乾 僕も高校くらいからずっとそうですね。休むのも嫌で、サッカーをしていない日が気持ち悪く感じてしまうくらいです。

―――乾選手が「辞めたい」と感じたのはどんな時でしょう。

乾 小学校の時、かなり怒られながらサッカーをやっていたので、サッカー自体は楽しかったんですけど、怒られることが嫌になっちゃったんです。単純に『チームを辞める=サッカーを辞める』と考えていたので。でも、結局チームを辞めたとしても、違うチームですぐに続けたとは思います。

―――周囲には上手くても辞めてしまう子もたくさんいたと思います。乾選手はその中で続ける力があったということでしょうか?

乾 続ける力と言うか、「(普段はやらないけど)やればできる」という言葉がありますけど、僕はそもそも「やらない」ことが無かったので、「やればできる」という感覚はなかったですね。

―――高橋先生は描くことが嫌になる時はありましたか?

高橋 物語を考え、机に向かって描くことに疲れを感じることはあります。ただ、休むことで意欲やアイディアはまた湧いてくるので、その疲れは量的な要素が大きいですね。

―――幼少期、漫画家になるという夢を諦めそうになったことは?

高橋 漫画家を諦めることはなかったですね。賞レースに応募してダメだった時も、「次の作品は大丈夫だろう」という気持ちだったので。さらにダメだとしても、「また次の作品で」と。次に描くものは、今まで描いたものよりも必ず面白くなる、いいものができているというイメージを持っていたので、その繰り返しでした。

■乾選手は岬太郎

―――アシックスは日本発のスポーツブランドですが、お二方とも“日本”を背負って世界に出て勝負をしている、評価されていることが共通点です。世界に身を置いていて、“メイドジャパン”が世界で評価されていると実感する機会はありますか?

乾 例えばアシックスの靴を履いていると、チームメイトやスペイン人選手はめっちゃ食いついてきますね。ランニングシューズを履いている選手もすごく多くて、それを見るだけでもすごさを感じます。もちろん『キャプテン翼』も「すごい」って言われることが多くて。「ツバサ!ツバサ!」とか言ってきますから、世界での認識の広さを感じます。

―――乾選手が「翼!」と呼ばれることは?

乾 新聞でそう表現されていたことはありました。でも、日本でプレーしていた時は岬(太郎)くんと呼ばれていたんですよ。あとは(香川)真司が完全に翼くんタイプだったので、一緒にやった時に「ゴールデンコンビ」と呼んでもらえることは嬉しかったです。

高橋 乾選手は僕も岬くんっぽいと思っています。

乾 (笑)。ありがとうございます。

―――日本人として評価をしてくれていると感じることはありますか?

乾 「日本人はそんなに米、食うんやな!」ってよく言われるくらいですよ(笑)。ピッチでは、よく走ることですね。最近はそういう選手も増えましたし、「日本人っぽい」と言われることはあります。

―――漫画の世界では、海外と日本の作品で絵のタッチのテイストや求められるストーリーなども違うと思います。線の繊細さなどが評価されているといったことはありますか?

高橋 そういったことはないと思います。他国には基本的に漫画文化がなく、日本のように毎週、漫画雑誌が作られていることありません。漫画に関して言えば、日本が世界最高峰のレベルだと思っています。それを海外の方に評価をしていただいていることは嬉しいですね。『キャプテン翼』の場合で言えば、題材が世界で広く親しまれているサッカーだったので、それも広く認めていただいた要因だと思います。

乾 スペインでは漫画を読んでいる姿を街中などで見ることはないですけど、アニメ放送があるので、その影響が大きいと思います。選手も何人か見ているようですし。息子もアニメは見ていますね。僕もよく見ていたし、今でも見ますよ。結構テレビっ子で。

■ぜひエイバルに来てください!

―――乾選手はスペイン、ドイツでプレーされています。いざ日本を出てみて、必要だと感じたことは何でしょうか?

乾 国によってサッカーがまったく違うので、まずはそこに適応する能力が大事になってくると思います。その中で日本人の良さをプラスで出せれば世界でも十分通用すると思います。

―――高橋先生は頻繁にスペインに行かれています。一言で表現することは難しいと思いますが、その魅力は何でしょう。

高橋 地域によって文化が多少違うので、一括りにはできませんが、自分の街があり、そこにサッカークラブがあって、毎週末はサッカーの試合を見られるという状況がすごい。ヨーロッパ全土に言えることですが、サッカーと文化、生活の結びつきが羨ましく感じます。

 日本も近づいているとは思いますが、もっともっと。生活の中にサッカーが入っていると強く思わされるのは、スペインです。食事もおいしいですし、全ての生活サイクルにおいて、そこに住んでいて「気持ちいい」と感じさせてくれます。

乾 スペインは気持ちいいですよ。バスク地方はオススメです。天気はあまり良くないですけど、すごく人も優しいですし、場所もいいところで、ご飯もおいしいです。バスクにいらっしゃったことは?

高橋 まだないです。

乾 ぜひ来てください!(笑)エイバルの試合もぜひ来ていただければと。他の選手たちも絶対に喜びますから。

■シューズで大切なのはフィット感と軽さ

―――ここからは足元のお話をさせてください。乾選手がボールを蹴る時、大切にしている感覚はありますか?

乾 僕は基本的に軽いシューズが好きで、大切な要素にしています。フィットする感覚と言うか、履いてないくらいの感覚がちょうどいいくらいです。数グラムの差かもしれませんけど、選手にとっては違うと思います。

―――高橋先生にとっても漫画で描かれる際、サッカー漫画の場合は足元が大事になってくると思うので、気を使う部分があるかと思います。

高橋 足元を特に、というわけではありません。ただ、サッカー漫画だとどうしても全身を描かないといけないんです。野球であれば「投げる」「打つ」といったシーンは上半身だけでも成立したりしますが、サッカーはボールを蹴る競技なので、全身を描かないといけないので苦労しますね(笑)。スパイクは年代によって形やソールのポイントも変わるので、流行りを取り入れています。なので、最新モデルはチェックしています。

―――ご自身でプレーする時に選ぶポイントはありますか?

高橋 僕はサッカーよりフットサルをする機会が多く、アシックスさんも履かせてもらっていますが、蹴りやすいですね。フィット感もいいです。

乾 一緒にプレーしたスペイン人選手やドイツ人選手も「アシックスのスパイクはめっちゃいい」と言っていて。ドイツ時代には川辺を散歩しているとき、ランニングをしている人たちとすれ違うと全員がアシックスで。めちゃめちゃ人気やなって。ランニングシューズだけで言えば世界で一番じゃないですか。スパイクはまだまだかもしれませんけど、履いたら良さを実感できると思います。

——アシックスのブランドイメージはありますか?

乾 兄ちゃんが履いていて「かっこいいな」と。それでアシックスを気にするようになりましたし、コーチからも「いいぞ」ということを教えられました。小学6年生くらいから履いています。

―――2018年には、今お持ちいただいている新作の『DS LIGHT®3』が登場します。

乾 軽さは完璧ですね。ステッチが無いのも今までに無い感じで、履いてみたいなって思います。

■乾が『キャプテン翼』に登場!?

―――最後に、乾選手から高橋先生に聞いてみたいことはありますか?

乾 初歩な質問ですけど、なんで翼くんをバルセロナに加入させたんですか?

高橋 最初に加入したサンパウロからヨーロッパへレベルアップをする時、どこのリーグにしようかと考えていたタイミングが、フランス・ワールドカップくらいで。その時、フランスで宿が取れず、バルセロナに宿泊したので、カンプ・ノウへ行く機会があったんです。そこでふと、「ここで毎週プレーができたら翼くんも幸せかな」って思ったんです。

乾 サンチャゴ・ベルナベウよりカンプ・ノウだったんですか?

高橋 先にベルナベウで試合を見ていたら、もしかしたら…。

乾 レアル・マドリードやったかもしれないということですか?

高橋 でも、カンプ・ノウは「ああ、いいな。このスタジアム」と思ったんです。それ以前にもサン・シーロをはじめとした多くのスタジアムを見ましたが、カンプ・ノウが一番良かった。あとは、バルセロナの街自体も海がそばにあり、芸術の街でもあるし、すごく素敵だったので、翼くんがヨーロッパに来るとしたらここかなと。

乾 最後はエイバルでプレーを?

高橋 (笑)。

―――チームメイトとして乾選手も?

乾 俺が出てくるってこと?(笑) 翼くんとプレーするのは夢ですね!

―――高橋先生からも乾選手にエールをお願いします。

高橋 僕はスペインリーグが一番好きで、よく見ていますし、乾選手はこれまでで最もスペインリーグで活躍している日本人だと思います。今後もぜひスペインで活躍してほしいです。

乾 はい! 日本人がどんどんスペインでプレーできるようになるためにも、日本人の評価を上げられるように頑張ります。

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