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【スカサカ!ライブ】曺監督、高木監督が語る監督論「幽霊のように入って聞きたい」(曺貴裁)

 番組レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く!」の特別篇として、湘南ベルマーレの曺貴裁監督、V・ファーレン長崎の高木琢也監督をスタジオに招き、生対談が行われた。前半部分では2017シーズンを振り返ったが、後半は両監督が“監督論”を語った。

■監督という職業について

岩政大樹(以下、岩政) ここからは監督論を聞きたいんですけど。Jリーグの監督さんって、当然ながら大変なこと、プレッシャーもあったりとか、教えることもあって、総じて言うと楽しいものなのか、苦しいものなのか。

曺貴裁(以下、曺) 先輩から。

高木琢也(以下、高木) 僕は選手から教えられる部分もかなりあるなと思っています。もちろんサッカーの真髄というか、自分が形を持ちながらそれを選手たちに伝えて、ある種の形ができていくわけですけど、でもそれを作るのは最終的には選手なので、選手たちを少し観察しながらということを考えれば、選手たちに教えられる部分も、監督っていう仕事にはかなりあるなと思います。プレッシャーとかは、その人次第ですよね。ちょっとしたことに対して弱い人もいれば、全く動じない人もいるだろうし、その人の性格によるところもあるだろうし。監督っていうのはそういう仕事だと、長くやってきて思っています。

岩政 高木監督の場合は、元々日本のエースストライカーで、監督になられてからはすごく緻密で守備的なところもしっかりと構築されていて、その辺は現役時代からある程度勉強されていたんですか?

高木 今スカパー!に出ているからというわけじゃないですけど、スカパー!でずっと解説をさせていただいて、いろいろな解説者の方がいますんで、現場ではできないいろいろな勉強をさせてもらいました。そこでいろいろなことを、解説をしながら見て、いろいろな方に話を聞いて。特にディフェンスのところは、いろいろな方に話を聞きました。

岩政 そういうことも好きだったということですよね?

高木 自分では分からなかったですけど、今でも映像を見るのが好きだし、ちょっと意外でしたね。

岩政 曺監督はいかがですか? 監督の日々というのは。

曺 高木さんもそうだと思うんですけど、僕もこのチーム長いんで、逆に長いから毎日、流れていくと不安感が増すんですよ。毎日毎日何か考えて、小さいことでもいいからトライしていかないと。もう今日これでいいだろう、という感じで流れていくと、というのがあったんで、そういう日々の積み重ねって、去年やったから今年はいいな、というのは絶対にない。何かやっぱり自分の心がけ次第で学べるものとか、もちろん選手からもそうだし、試合からもそうだし。でも、今年僕が一番学んだというか、開き直ろうと思ったのが5試合ぐらいありました。ダメなところだと思うんですけど、「これ以上考えてもなるようにしかならないな」と。これが逃げて「なるようにしかならない」じゃダメだと思うんですけど、何か不思議と、なるようにしかなんないなという。何となくね。バスの中でとか。もう考えるのやめようとか。あまり大きい声で言ったらダメなんですけど、5試合ぐらいありました。不思議と負けなかったですね。開き直りというか。

岩政 相当ずっと考えた先にあるものということですよね。

曺 そうですね、かっこよく言えば(笑)。

岩政 高木監督はそういうことあります?

高木 表現は違いますけど、僕も選手によく「今年はちょっとイケイケで行くぞ」という話をしたんですよ。好きなことをやれというわけではなく、「とにかくイケイケだから」と。たまに忘れている時があって、「あ、ゴメン、忘れてた」って言って、試合前のミーティングの時に「前も言ったけどイケイケだぞ」って。その時は確かにいいですよ。

岩政 なるほど。今の表現は今年の長崎のサッカーに反映されていたように思うんですけど。

曺 よくイメージで、監督ってホワイトボードに、攻撃のポイントはこれ、守備はこれ、セットプレーはこうだって説明するイメージがあると思うんですけど、だいたい聞いてないんで。聞いてました? 岩政さん。試合前に。

岩政 僕は聞いてますよ!

曺 そんな一個一個。

高木 それはキジェ、ダメだよ(笑)。

曺 (爆笑)。岩政さんレベルは聞いていたかもしれないけど。でも僕はそれが全部(選手の頭に)入るとも思っていないんで。だから今、高木さんが言ったように、「あ、ゴメン、今日はお前らに『攻めるぞ』って言ってなかったけど、攻めるぞ」っていう言葉のほうが、「なるほど」って思ったりもするから。だから監督としての無力も感じました。

岩政 簡単な言葉のほうがパッと伝わることがあると。

曺 一番聞きたいのは、高木さんが試合をしていて、ハーフタイムで何を言うのかなっていうのはその場で聞きたい。映像じゃなくて。幽霊のように一員として入って、本当に何を言うのかなっていうのを聞きたいです。でもそれってパッと見ているだけだと、ただ怒っているとか褒めているだけだけど、空気があるじゃないですか。それはそのチームにいないと分からないですよね。

岩政 そこで感じながら、そこで言葉をチョイスしていくと。

曺 こんなふうに言うのかとか、俺ハーフタイムって意外にすごく大事だと思うんで。

岩政 例えばチームの流れが、その時によるんでしょうけど、あえて演技して叱ることもありますよね?

高木 あります。

曺 結構ありました? 今年。

高木 いや、あんまりなかった。

曺 俺もあんまりなかった。

高木 今年はね。

曺 でもあれ、演技している時って何となく違和感ありますよね。

高木 そうそうそう。

曺 言いながらも。だから選手も何となく分かっているんじゃないかなって。本当にそう思っている時とは何か(違う)。

高木 そういう時は、結構、ここで言うとあれですけど、「自分たちでやるんだろう?」とは言います。「自分たちでやらなきゃダメだろう」ということは良く言います。

■チームマネジメントについて

岩政 監督さんで考えなければいけないのは、チームが負けた後だと思うんです。湘南は今年、連敗がたぶん一度もなくて、長崎も2連敗、3連敗が一度ずつですよね。負けた後はどのようなことをしたり、タイミングとかもあると思うんですけど、気を付けることはありますか?

高木 よく起こるのが、メンバーを入れ替えるというのがだいたいありますので、僕はまずそこを見ますね。本当に負けた状況で、選手を代える時に、その選手がいいプレーができなかったのか、それともチームとしてダメだったのかをしっかり見ていきます。そこを見ないと、変える理由が本当にそこだったのかというのがありますよね。でも実際、ゲームに出ていればもっともっとよくなる可能性もありますし、そこはしっかり見ます。

曺 僕は例えば、前半の途中で代えたのが3回ぐらいあったのかな。ハーフタイムに代えたのも5、6回あったし、あんまりよくないですよね。そういうのって。他の選手への影響も含めて。じゃあその選手を次どうするのかとか、オフ明けでは「その選手は次に出られないな」と思ってくる選手がほとんどなので、それを敢えて使うとかね。「この前良かったけど、今週コイツ満足しているな」っていうやつを敢えて外すとか。本人からしたら「何で?」って思うけど、こっちからしたらそういう狙いがあるとか。そう考えると、監督と選手ってちょっと立場が違うから、選手にとっては納得できないことでも、理解させなければならないな、とは思います。

岩政 選手だけじゃなく、チーム全体を管理しなければならなくて、シーズン全体も含めて管理しなければならない。監督になられて、最初に思い描いてやっていたことで、今になって少し変わってきたなって自己分析されることってあります?

高木 ありました。今年はありました。たぶんキジェ監督も、シーズン中にシステム変えたりというのはあったと思うんですけど、僕もちょっとトレーニングの内容とか、それからいつもやらないような人の配置を取りながら攻撃をするとか。そういういくつかの課題を、僕今シーズン、たぶん2つ与えたんじゃないですかね。シーズン中に、練習の内容を少し変えながら。だから逆に戸惑うことはなくて、それに対して積極的に向かってやってくれた。特に終盤はそうでした。終盤は変えました。

岩政 変えた内容は言えないですよね?

高木 内容は言えないです。でも、そこに何か夢中になったから、いろいろなことを考えずによかったのかなと(笑)。

岩政 それをやらせることで、少し頭をそちらに向けさせて。

高木 結果論ですけどね。

岩政 曺監督はありますか?

曺 例えば、守備のアプローチが悪かったら、週明けに守備的のアプローチの練習をするとするじゃないですか。3回やって2回は成功したけど1回外されたら、選手はダメージ大きいですよ。だったら何もやらないで、攻撃のことを言う時にちょっとだけそういうことを入れたほうがいいとか、その塩梅は、正解はないけど「はいお前、ダメだからこれやりますよ」だけじゃダメだと思う。たぶん選手って。分かっているし、3回やって1回ぐらいやられるじゃんって思っていればいいけど、やろうとしたのにやられちゃった、失敗体験を敢えてさせる必要があるのか。「監督は選手を騙さなきゃいけない」と言う人がいますけど、何となくその意味は分かります。夢中にさせる中で、実は別の部分が鍛えられていたとかね。

■J1での戦いについて

岩政 来シーズン両チームともついにJ1に挑戦していくわけですけど、両監督とも以前J1で戦われていたことがあって、新たに来シーズンに向けてという部分と、少しずつ描き始めている頃だと思うんですけど、こういうことにチャレンジしてみたいと、今の時点で描いていることがあれば教えていただけますか。

高木 まだ今はメンバーも全員決まったわけでもないので、柔軟にやらないと難しいんだろうな、そういうリーグなんだろうなとは思います。例えば、システムを含めてなのか、選手の大きな変化で、DFの選手をトップで使ったりとか。もちろんそういうことはないですけど、そのぐらいの大きな変化は必要なのかなと思います。

曺 今、ヨーロッパのサッカーをいろいろ見ても、このチームだけ突出してこれがすごいというのがなくなっていると思います。守備も攻撃も、ボールを持っている時も持っていない時も、ある程度のことをやらないと勝てないサッカーなんで、それは間違いなくそうだと思います。こっちは良かったけど、こっちはまるっきりダメだった、では、今のJ2、J3でもたぶん勝っていけない。3回やって1回しか勝てなかったら結局残留争いだし、そう考えると、総合力を高めながらもそこに宿る色みたいなものを出していきたいなと思っています。

■今後の日本サッカーについて

岩政 それを踏まえて、これからの日本サッカーについて最後に伺いたいんですけど、これから5年度、10年後、もっと日本サッカーは伸びていかなければならない。もちろん育成からいろいろやっていかなければならないんですけど、今Jリーグの監督をやる中で、Jリーグをどのようなリーグにしたいというのはありますか?

高木 アグレッシブさ、点を取る、そういう部分の激しさや戦術、人のプレーはもっともっと上げていきたい、上げなくちゃいけないなというのは思います。もっともっと変化に富んだチームがあってもいいと思いますし、そこが今後必要なんじゃないかなと。

曺 僕もそれは、インテンシティーと呼ばれるけど、「スタートからそんなに力出したら持たないじゃん」じゃなくて、やっぱりそれを持たせるように工夫していくというか、気持ちの面のインテンシティーもプレーもそうだけど、ゲームコントロールなんていう時間がだんだんなくなってくると思うんでこれからは。そういうことをする選手はどんどん淘汰されていくようなイメージを僕は持っているんで、ピッて(ホイッスルが)鳴ったらパッて入って、やっていくというふうにしていかないといけないんじゃないかと。そこはリーグの中でも高めていかなければならないと思います。

 12月15日(金)21時から放送の『スカサカ!ライブ』では、EAFF E-1サッカー選手権2017の日本代表の試合を振り返る。また、高円宮杯プレミアリーグチャンピオンシップ・参入戦特集や、JPFA合同トライアウトに密着した様子も放送される予定となっている。

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