2017.11.27

コバルトーレ女川とテゲバジャーロ宮崎のJFL昇格が決定…両チームが抱く“想い”とは

優勝を果たしたコバルトーレ女川 [写真]=前田カオリ
関西の社会人リーグを中心に育成年代など取材。

 11月24日から26日、ゼットエーオリプリスタジアムで、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ2017の決勝ラウンドが行われた。

 決勝ラウンドには、2週間前に行われた1次ラウンドを突破したVONDS市原FC(関東1部リーグ/千葉県)、アミティエSC京都(関西1部リーグ/京都府)、テゲバジャーロ宮崎(九州リーグ/宮崎県)、コバルトーレ女川(東北1部リーグ/宮城県)の4チームが出場。総当たり戦の結果、表彰を受けたチームは以下の通り。

優勝:コバルトーレ女川
準優勝:テゲバジャーロ宮崎
3位:VONDS市原FC
フェアプレー賞:VONDS市原FC

 今大会で上位2組となったコバルトーレ女川とテゲバジャーロ宮崎が、来季よりJFLに参入することが内定。12月6日に開催されるJFL理事会での審議をもって、正式にこの2チームのJFL入会が承認される。

「女川町のために」

 昨年の地域CLでは、1次ラウンドで敗退していたコバルトーレ女川。けれども、今年はチームのメンバーを大幅に変えることなく優勝し、昇格を掴んだ。

 昨年からの変化について、阿部裕二監督は「サッカー自体はこれまでと同じように、ショートパスを繋ぐことを主体とし、攻撃は中央を意識してやってきている。変わったのは、メンタルの部分。昨年の1次ラウンドで惨敗した悔しさから、チームに足りなかった『勝ちたい』という気持ちを強く持てるようになったこと」だと話した。加えて、「地元企業や街の人たちの協力や応援があったおかげで、ここまで来られた。地元の人たちと想いを繋げられたことが一番の勝因」だとした。

 コバルトーレは、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町をホームタウンとする。現在の女川町の人口は7,000人に満たず、高齢者も多い。

「選手たちはサッカーをする目的で女川町に移住し、地元企業に正社員として雇用してもらっている。サッカーの能力も大切だが、人間性の部分も重視してチームに加入してもらっているので、選手たちは仕事にも真面目に取り組んでいる。だから、引退しても継続して雇用してもらえるし、女川町に定住して家庭を持った者もいる。若者が増えれば、街も活気づく。それもクラブの狙いの1つ」だという。

 震災があった2011年には東北リーグには1年間参加しない選択をし、地域でのボランティア活動に取り組んだ。「街を活気づけることが使命だと掲げているが、我々は街に生かしてもらっているチームだとも強く感じていて、心には常に『女川のために』という気持ちがある。今回JFLに昇格することができたので、対戦相手も全国のいろんな地域のチームになる。よりたくさんの方がサッカー観戦をきっかけに女川町を訪れ、宿泊したり食事をしたりして観光を楽しんでくれれば」と語った阿部監督。「初年度からJFLでまともに戦えるとは思っていない」と話したが、全国リーグで戦うことで女川をまた活気づけられるかもしれないことに喜びを表した。

地域CLを戦う難しさ

 テゲバジャーロ宮崎の石崎信弘監督は、これまで多くのJクラブで指揮を執ってきたが、地域リーグは今季が初めて。「仕事をしながらでも続けるほどサッカーが好きで、『Jリーガーになりたい』『少しでも上のカテゴリーに行きたい』という向上心を強く持った選手がどこのチームにもたくさんいることを知った。サッカーの裾野が広がっているのを感じた」という。同時に、「アマチュアだから、『もっとうまくなりたい、でもしんどいことはしたくない』という甘さもある」ことも感じていた。

 地域CLのように3日連戦になる大会は、Jリーグにはない。シーズンの始めには横浜FCとツエーゲン金沢を相手に2日続けて練習試合を行い、「2日間のスコア合計が、0得点17失点。どうしたものかと頭を抱えるところから1年が始まった」が、守備を修正し、石崎監督のハードなトレーニングによってフィジカル面を改善してきた。

「中国のユース年代には中1日という試合があって、若い選手でも厳しいと思っていた。それなのに、地域CLは若い選手ばかりではないチームで3連戦。森島(康仁)や宮田(直樹)は出場停止で休むタイミングがあったけど、一番年長の高地(系治)にはフル出場を含む3連戦を強いた。サッカーはスターティングの11人だけでやるものではないし、メンバーの組み合わせによってはチーム力が落ちてしまうので、選手のやりくりには3日間かなり気を遣っている。全員が出られるわけではないが、みんなが諦めずに戦ったからこそ掴めた結果。本当に難しい大会だった」と振り返った。

 現在、宮崎県にJクラブは存在しない。「Jリーグを目指しているけれど、現状は固定された自分たちの練習場もないし、ナイター設備のあるスタジアムもない。ここから先は、自分たちだけの力だけでは実現できない。まずは、お金を払ってスポーツを見る文化がない宮崎の人たちに、お金を払ってでも見たいと思ってもらえるチームにしていく」ことで、地元での認知度を高め、Jクラブライセンスの要件を満たしていくことを目指す。

文=前田カオリ

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