2016.11.09

【独占】ソロ30周年…TUBEギタリスト春畑道哉が語る Jリーグテーマ『J’S THEME』作曲秘話

サッカーキング編集部

 TUBEのギタリスト・春畑道哉。アーティストとして名を馳せているが、サッカーファンにはJリーグのテーマである『J’S THEME』の作曲者として、その存在を知っている人もいるだろう。

 1993年5月15日、国立競技場で華々しく開幕したJリーグのセレモニーで『J’S THEME』を演奏する姿を今でも当時の映像を見るたびに思い出す人も少なくない。

 その春畑道哉は2016年、TUBEとしての活動と並行して行ってきたソロアーティストとしての活動30周年を迎えた。11月9日には9枚目のソロアルバム『Play the Life』をリリースし、その新譜を引っ提げてのソロツアーも控える。

 大きな節目を迎えるに際し、『サッカーキング』では春畑さんにインタビュー。当時のエピソードやスポーツをテーマにした楽曲を制作する際の秘訣などを聞いた。

インタビュー=小松春生

ソロ活動、30周年おめでとうございます。早速となりますが、春畑さんと言えばTUBEのギタリストとしてはもちろん、Jリーグのテーマ『J’S THEME』を作曲されたことでも知られています。実は1993年のJリーグ開幕戦を国立競技場で観戦していたので、春畑さんの演奏を生で聴いていました!

春畑道哉(以下、春畑) 雰囲気がすごかったですよね。『J’S THEME』の初披露の場でした。開幕戦ではメンバーの前田(亘輝)が『君が代』を歌いましたが、当時のチェアマンである川淵三郎さんのたっての希望でした。その以前はたくさんの観衆の前で『君が代』を歌うということは、あまりなかったことだと思います。川淵さんには「Jリーグは国を挙げてやっていくもの」という強い意識があったんでしょう。あの方の熱量にみんなが動かされて。とにかくすごいスケールでしたね。

『J’S THEME』の制作経緯をおうかがいします。まず、きっかけは何だったのでしょうか?

春畑 Jリーグ開幕の何年か前に川淵さんにお会いしまして、Jリーグに懸ける熱い思いをうかがいました。まず、その熱量にすごく感動しました。当時、サッカーについて経験がなかったですし、詳しくなかったんですが、レコード会社の担当者から「これはすごいことだ」という話を聞きました。わかりやすく言えば、プロ野球があるようにサッカーがこれから始まるんだと。

なので、ビデオでたくさん研究をしました。ゴールシーンや華麗なプレーだけをひたすら見るだけではなく、いろいろなチームが頑張って勝つためにどれだけ練習しているかというピッチ外のビデオも見せていただいて。派手なプレーもカッコいいと思いますけど、選手にパワーを与えているサポーター、普段目にすることができないような地道な練習やつらいところも『J’S THEME』で表現できたらと思い、大きなメロディになりました。

制作過程で難しい部分はありましたか?

春畑 スポーツにおいては、スピード感を見たときに感じてしまうものなので、最初は曲もスピーディだったんです。メロディは同じでしたが、もっとドラムが速い感じだったんです。でも、そのスケール感を大事にして、勢いだけではないものを作るという部分でかなりチャレンジしました。

Jリーグの開幕戦で『J’S THEME』を披露されましたが、国立競技場での演奏というのは、当時かなりのレアケースでした。

春畑 TUBEとして3万人の前で演奏することもありますが、やはり国立競技場で5万人以上の方々の前となると歓声と熱気がすごかったです。また、Jリーグ開幕での演奏だったので、今でも当時の映像が流れたりすると、やはり嬉しいですね。Jリーグの選手から「生まれる前だったので、誰が作曲したかわからない」と言われると、時間の流れを感じることもありますが(笑)。『J’S THEME』は自分の代表曲の1つになりましたし、この楽曲で僕のことを知っていただいて、スポーツをテーマにした楽曲制作のお話をいただけるようになったのかもしれません。

1993年のJリーグを制したヴェルディ川崎(当時) [写真]=Getty Images

1993年のJリーグを制したヴェルディ川崎(当時) [写真]=Getty Images

11月9日にリリースされる春畑さんの新アルバム『Play the Life』にも収録されている『WE ARE ONE』はヴィッセル神戸のオフィシャルテーマソングとなっています。制作の経緯をお聞かせください。

春畑 ヴィッセル神戸さんから直接お話をもらいました。この楽曲にはいろいろな要素を詰め込みました。トリッキーな個人技、華麗なパス回し、練習で努力をしている風景をメロディに落とし込んだので、構成はコロコロ変わっています。トリッキーなプレーはギターもトリッキーに、チームプレーはハーモニーで表現したり。パーツごとに録りました。あとは試合後、選手たちが一列になり、サポーターが歌を歌っているシーンがすごく印象的で、ありきたりですけど「いいチームだ」と感じました。そういった気持ちをすべて曲に入れようと、ヴィッセルサポーターの声援も楽曲に入れています。

『Play the Life』にはフジテレビ系の野球中継テーマ曲の『JAGUAR’13』も収録されています。サッカーに限らず、スポーツをテーマ、想起させる楽曲を制作する際に意識されていることはなんでしょうか?

春畑 例えば『JAGUER’13』であれば、僕自身に野球経験がありますし、子どもたちがやっている様子を見ています。そこで感じるトレーニングでのパワー感や実際のプレーでのスピード感、テクニカルな部分を曲調で表現しました。疾走感であるとか、そういった感覚の部分をインストゥルメンタルだと表現しやすいですし、歌詞でイメージを限定しないので、使っていただきやすいのかもしれません。音楽とスポーツを一緒に楽しんでもらえることは、嬉しいことですね。

ここからは春畑さんのアーティスト活動についておうかがいします。ソロデビュー30周年の節目の年となりますが、これまでの活動を振り返って、どのような30年でしたか?

春畑 TUBEと並行してソロ活動をしてきました。バンドをしながらソロ、というのは珍しいことだと思いますが、僕は幸運にもデビュー2年目からプロデューサーから「ソロアルバムを出さないか」というお話をいただきました。僕個人としてはインストの曲も好きで、よく聴きますし、最初は喜んで始めました。今作で9枚目のアルバムになりましたが、だんだんと最初のテンションの高さも落ち着き、バランスが少しずつ取れるようになり、今はバンドとは違う表現の場が持てていることをよかったなと思っています。

春畑さんの色が少しずつ定まってきたということでしょうか?

春畑 そうですね。最初は自分でもよくわからず、模索している部分があって、ただ興味のあることをやってみる、実験的な制作が続きました。ようやくまともになってきましたね(笑)。実験したくてしょうがない時は、ドラムを全部口で鳴らしてサンプリングしたりしました(笑)。

ソロ活動はチャレンジングに自分の色を出す一方、TUBEとしてはチームプレーを意識されて?

春畑 そうですね。どちらも大好きです。TUBEとして活動する時は、何かを成し遂げた時の喜びが何倍にも感じます。特にライブでは実感します。TUBEのライブは大きい会場がなんか好きですね(笑)。野外スタジアムでは花火や噴水といった派手な特効があり、ダンサーと一緒に踊ったりして楽しんでいます。大きい会場であればお客さんにも楽しんでもらえる、エンターテインメントの要素がたくさんできる反面、細やかなプレイ等の伝わり方などは少し大味になってしまいます。ソロでは逆に自分のプレーが伝わりやすい、ライブハウスがいいですね。

その春畑さんのプレーを伝えるツアーが11月16日からスタートします。

春畑 30年という節目の年のツアーですし、うまく皆さんに活力を与えられるような、いい時間を一緒に過ごせる空間にしようと考えています。11月は誕生日もあり、50歳になります。50歳なりのいい演奏をできたらいいなと思っています。

ツアーが始まる直前の9日には30周年の節目にリリースする9枚目のアルバム『Play the Life』が発売となります。

春畑 ギターをプレーする方ではなくても楽しんでいただけるアルバムを作れたかなと思っています。歌詞がないので、いろいろな解釈をしていただける。スポーツをしている時、部屋の掃除をしている時、車を運転している時など、いろいろなシーンで、いろいろな人の生活に一緒に置いてもらえたら嬉しいです。『Play the Life』を聴いて、癒されたり、パワーをもらって頂けたら嬉しいですね。

■Information■

【新譜情報】
春畑道哉 9thFull Album『Play the Life』
2016年11月9日(水)Release!

『Play the Life』特設サイト(PC版)
『Play the Life』特設サイト(携帯・スマホ版)

春畑道哉HPへ

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