2016.07.01

【対談】矢部浩之×中山雅史…『祝・やべっちF.C.15年目』番組の過去、現在、未来

『やべっちF.C.』のMC矢部浩之さんとレギュラーの中山雅史さん [写真]=野口岳彦
サッカーキング編集部

 2002年4月、日本ではW杯開幕が目前に迫り、サッカー熱が大きなうねりとなっているさなか、テレビ朝日系列にて『やべっちF.C.』の放送が開始された。

 Jリーグや海外サッカーの情報はもちろん、様々な選手が参加してのバラエティー企画や、MCを務める矢部浩之さんが自ら体を張ったチャレンジ企画など、いろいろな方向からサッカーの魅力を伝え続け、2016年で放送15年目を迎えた。

『サッカーキング』では番組の顔である矢部さんと、2013年からスタジオ解説などとして参加している中山雅史さん(アスルクラロ沼津)に、節目の年に合わせて話を聞いた。

インタビュー=小松春生
写真=野口岳彦


今年の4月で『やべっちF.C.』は放送開始から15年が経過しました。どんな15年でしたか?

矢部浩之 あっという間ですね。たまに第1回目の放送とか昔のVTRを、スタッフがいじわるで流すんですよ。それを見ると「あ、15年って、すごい年月が経ったな」と思いますね。自分の茶髪ぶりとか、まだモテようとしている、まだギラついている感じで。番組は僕が30歳、日韓W杯開催の年に始まりました。

中山さんは2013年から番組参加となりましたが、当初は番組をご覧になっていましたか?

中山雅史 見ていましたよ。結構ゲストにも呼んでいただいて。だから立場が違いました。「あの頃は楽だったな」って。何も考えずに言いたいことを言っても、矢部さんが引き取ってくれたし、うまくまとめていただけました。でも、いざメンバーに入って、プレーを解説するとなると、時間も限られた中で話すことが大変だと感じています。あとは、カンペの読む順番を間違えたりして落ち込んで帰ったこともありますね。

矢部浩之 (笑)。

中山雅史 しっかりと皆さんに伝えないといけないなと。ゲストの時は言いたいことを言っていいんですよ。そういう雰囲気を作っていただいていたので、僕も出やすかったし、言いやすかったんです。でもいざ、その立場が変わるとしっかり伝えないといけないし、来てくれたゲストに楽しんでもらいたい。非常に大変だと思いましたね。

矢部浩之 歴代、出演していただいていた解説の方は、本当に大変やなと思います。客観的に見て、他の選手を解説するという、プレーしている時とは真逆のことをしてもらうので。堀池(巧)さんも名波(浩)さんもゴンさんも大変やなと思います。今は中田浩二さんが揉まれていると思いますけど(笑)。

 間違いないと思うのが、プレースタイルが解説にも出るんです。本当に「見事やな」と思って。堀池さんやったらDF目線、名波さんは中盤、ゴンさんはFW。しゃべり方も振る舞いもテンポも、プレースタイルやなと毎回横にいて感じますね。

中山さんが番組に出演するようになってからはいかがですか?

矢部浩之 ゴンさんは本来、カンペを読むこととかが苦手な方なんですよ。自分で考えてしゃべる方なので。ゴンさんの特長だなと感じたのは、決まった時間の中でプレーや選手を解説しないといけない時に、時間が余った時は他の解説者の方は、時間が余っても自分が言うことを終えたら、そこで終えてしまうんです。時間が余ったら僕やアナウンサー陣がいるので、何とかなるんですけど。ゴンさんは与えられた時間をきっちり使うんですよ。余ったと思っても声でごまかすというか。

中山雅史 (笑)。

矢部浩之 勢いがあってFWっぽいなと。力技ですよね。

中山雅史 そうですね。なんか叫んで終わりとかね(笑)。「あ、まだ時間があるんだ」と思うと情報を詰め込みたくなるんですよ。あれもこれも言っておかなければとなって、結構失敗する。途中で諦めて、スパっと切っちゃったりします。どちらかというと、初見のビデオを見て話した方が、うまくいくことが多いかもしれないですね。リハーサルでビデオを見ると、本番までの間に言いたいことがいろいろ浮かぶ。何か一つ話すことが増やせるのでは、と思いながら本番になると入らなかったり。もちろん調整はしています。あとは矢部さんがいるので。何をやっても大丈夫です。

矢部浩之 とんでもないです。

以前、中田さんや進藤潤耶アナウンサー、竹内由恵アナウンサーにお話をうかがった際にも、皆さん「最後は矢部さんにお任せすれば大丈夫」とおっしゃっていました。

矢部浩之 特に何もしていないですけどね。本番で真ん中座って、楽しいプレーを見させてもらっているだけなので。

1人の視聴者として見ているということでもありますね。

矢部浩之 そうですね。

中山さんは矢部さんと共演することになり、印象が変わった点はありますか?

中山雅史 いや、うまくまとめていただいています。あまり矢部さんに負担かけてはいけないと思いますが、結局は助けられていますからね。

矢部浩之 僕は逆に解説の時とか、邪魔したらあかん派なんですよ。相槌で長くなったりするとリズムが崩れるので。決めたことを突っ走ってくれたほうが生放送なのでいいと思います。

スタッフの方をはじめ『やべっちF.C.』ファミリーは熱い方ばかりという印象です。

矢部浩之 そう思っていただけることはありがたいですね。僕が見ても、スタッフはほとんど変態としか思えないんですよね(笑)。サッカーが大好きで。現役の選手が『やべっちF.C.』であるとか、テレビ朝日のスタッフとの距離を縮めてくれて、他では話してないことを話してくれたりすることは人柄というか、本当に選手のことを真面目に追っかけているからだと思います。そういう熱さはすごくいいですよね。

中山雅史 みんな欲張りですね。ミックスゾーンでも、聞きたいことややってもらいたいことをとにかく欲張る。ただ、選手のことはリスペクトして接してくれているので、選手も要望には極力応えてくれようとしてくれます。それだけ現場に足を運んで顔を見せているし、そこで話しかけていろいろなことを聞きながら、うまく共存できるようにしているのかな、と感じます。

『やべっちF.C.』ファミリーに加わる前もそう感じられていましたか?

中山雅史 その時に来ていたスタッフは、僕のことを「恐かった」と言うんですよね。僕は試合後、体のケアを優先していたので、最後にミックスゾーンへ出ていました。取材にはもちろん答えますが、それまでずっと待っていてくれるわけです。それが逆の立場になると、待つのは大変だなと感じるので、申し訳ないことをしていたなと(笑)。僕はそんなに恐いつもりではなかったんですけど、サッカーに関しての質問には真面目に答えますから、どうしてもキツい口調になってしまったり、厳しい表情になっていたのかもしれないです。でも僕自身はそうでもないよ、名波ほどじゃないよ、という感じです(笑)。

矢部浩之 (笑)。

中山雅史 現場にはよく来ているので、そうなるとすごく深い話にもなりますよね。「この人たちなら話しても大丈夫だな」と。毎回、来ている人たちだからという気持ち、取材する側の思いというのも選手には伝わると思います。

矢部浩之 助かることは、名波さんやゴンさんが現役の選手に話を聞きに行くと、普段出ない話が出るんですよね。それはちょっと緊張感があるからで、ありがたいことですね。あとはインタビューが苦手な選手もしゃべってくれることは大きいと思います。ピリっとした緊張感がある。それが番組として、いい方向に出ていると思いますね。

15年目を迎えられた秘訣は何でしょうか?

矢部浩之 なんでしょうね。大きく言ったら、好きやから、愛情じゃないですかね。僕が気をつけていることは、選手に対してのリスペクトです。選手の方とボールを蹴らせてもらう時とかもありがたいですし、楽しいですね。

MCである矢部さんが実際にプレーすることも番組の特長の1つです。

矢部浩之 こだわってきたところですね。最近ちょっと少なくなってきていて、初めて去年の年末、リフティングの宿題がなかったんです。「それで年越ししてええんか」と思いました。

中山雅史 (笑)。

うずうずしてしまいましたか?

矢部浩之 はい。自分の中で大事なものやったんでしょうね。サッカーに対しての愛情と選手へのリスペクトと。選手とボールを蹴れることは大事にしてきたところです。

長寿の番組があるということはサッカー界にとっても大切なことです。『やべっちF.C.』が果たしてきた役割は大きいですか?

中山雅史 今、Jリーグで活躍している選手も、小学生の頃から見ていたりするわけです。現在の小学生に会っても「『やべっちF.C.』見ています」と言ってくれるということは、相当注目されているんですよね。選手たちも『やべっちF.C.』に出演すること、インタビューされることにすごく喜びを感じているみたいで。それはこの番組が作ってきた歴史だと思うし、そこの信頼関係なのかなと。しっかりとゴールシーンや選手の素顔、そういうところを伝えている。その厚みが信頼に繋がっていると感じますね。選手の素顔を見せるところで、面白おかしくやっているところもありますけど、サッカーに対してはすごく真面目です。選手と一緒にプレーする中で矢部さんも本気ですからね。僕も負けたくないし、本気ですし。そういうところが来てくれた選手に対しての、しっかりとした気持ちの表れです。矢部さんなんかずっと酸素を吸いながらやっていますからね(笑)。

矢部浩之 酸欠になりますから(笑)。これからそういうシーンが増えると思います。

中山雅史 でもフットサルを見ていて、素晴らしいプレーが出るんですよ。びっくりするようなプレーが。

矢部浩之 プロの方さまさまですね。いいボールをくれるので。もう『やべっちF.C.』というタイトルをつけていてよかったと思います。こんな番組になると思って始めていないですから。ひょっとしたら『日本サッカー応援宣言』というサッカー番組の可能性もあったわけで、自分で言っておいてよかったと思っています。

番組タイトルはかなり気軽な感じで決められたとうかがいました。

矢部浩之 最初、そうでしたね。サッカーチームでFCをつけて、あとは何となく平仮名かなと。

“やべっち”という愛称も一気に広がりました。

中山雅史 最初は『めちゃめちゃイケてる』のワンコーナーで呼ばれていたところからですよね。「ハーイやべっち」という、矢部さんが流行りの単語の意味を解説する(笑)。

矢部浩之 あそこからなんですよ。アホキャラだったんですけどね。

中山雅史 でも今はこちらの“やべっち”が飛躍して。子ども達はあのキャラクターを知らないですからね。

今は矢部さんイコール“やべっち”です。

矢部浩之 こういう仕事で“やべっち”と呼ばれることはありがたいですよね。

今後、20年、30年と番組を続けるにあたり、どういった番組にしていきたいですか?

矢部浩之 サッカーが好きという気持ちは変わらないので。この先、50代60代と年齢は重ねていきますけど、僕は他のタレントさんにもいない、おじいちゃんになってもボールを蹴っていたいと思います。どこかから、見ている人が面白くなってくると思うんですよ。おじいさんが蹴っているわけですから。ひょっとしたら、杖をついてフットサル場に来るかもしれへんし、3分だけの出場になるかもしれへん。でも、番組が続いている以上、やっていたいですよね。

中山雅史 僕はどうなるかはわからないですけど、矢部さんにはとにかくボールを蹴り続けてもらいたいです。放送内での事故だけは気をつけていただいて(笑)。

矢部浩之 ほんまですね(笑)。

中山雅史 やはり、それでも矢部さんがやることがこの番組の意義、象徴なのかなと思いますからね。もういいんですよ、ゴール前にいるだけでも、5対5ではなくて、6対5の試合でも。矢部さんのプレーエリアは決まっていて、そのエリアは進入不可能とかね。そういうルールを設けてもいいと思うんです。まずはそこにいないとダメなんですよ。『やべっちF.C.』だから。“やべっち”がそこにいなければダメなんです。象徴となって、この番組がさらに飛躍していければ。

 ただ、この番組はJリーグを濃くやっていますし、その流れを崩してほしくはないです。日本代表が強くなっても、Jリーグという日本のリーグがクローズアップされる、みんなに知ってもらうことが僕は重要だと思いますし、そこをブレずにやっていけたらいいと僕は思っています。

『やべっちF.C.』公式HP

やべっちF.C.~日本サッカー応援宣言~
毎週日曜 深夜0時10分からテレビ朝日にて放送中

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