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大復活、優良サッカークラブ…サンフレッチェ広島の健全経営を探る

2季連続でJ1を制している広島の中心選手、青山(左)と佐藤(右) [写真]=Getty Images

 サンフレッチェ広島は、2012年の「99%減資及び第三者割当増資」という厳しい時期を経て、J1リーグ2年連続優勝、当期純利益2年連続黒字と、チームの成績が良くなり、かつ、経営の数字もチームの成績に連動して健全なものとなっています。

サンフレッチェ広島は健全経営

 広島の第22期(2013年2月1日~2014年1月31日)決算報告によると、売上高はJ1優勝特需を反映して過去最高の31億9700万円(第21期は31億7600万円)となり、営業利益は1億2600万円(同2億2700万円)、当期純利益は1億3000万円(同2億2200万円)でした。

 従来の当期純利益見通しは8~9000万円でしたが、放映権料収入や移籍金収入、グッズ売上収入が見通しよりも増加したことなどから、利益の上方修正となりました。J1の18チーム中、2013年の純利益で、広島は1位横浜F・マリノスの10億円(ただし、親会社日産からの補てん10億円が、特別利益10億円と計上され、そのまま当期純利益へ)、2位大分トリニータの2億2100万円(2013シーズン終了後J2降格)に次いで3位となっていますので、黒字収支であり、健全経営に見えます。

サンフレッチェ広島の健全経営を分析

 上記の通り、広島の経営は健全に見えるのですが、2年連続の大幅な黒字収支となった一方で、J1優勝特需を除いて考えると、単年度収支は依然として黒字と赤字の均衡状態であることがわかります。また、最近の2年間だけの収支だけを見ると健全経営に見えますが、それまでは、非常に厳しい経営が続きました。

 広島の当期純利益は、2005年(▲165)、2006年(▲500)、2007年(53)、2008年(▲219)、2009年(12)、2010年(▲265)、2011年(▲7)、2012年(223)、2013年(130)(単位:百万円)と、2011年までは赤字決算の方が多かったのです。

 また、繰越利益剰余金は、2006年(▲1609)、 2007年(▲1556)、 2008年(▲1776)、 2009年(▲1764)、2010年(▲2029)、2011年▲2037)、2012年(223)、2013年(353)(単位:百万円)と、2011年には20億円を超えました。広島は、2012年3月開催の臨時株主総会において「減資及び第三者割当増資」を決議、99%の減資および、2億円程度の第三者割当増資を実施しました。減資及び増資による資本金額、発行済株式数及び株主数の推移は以下のとおりです。

▼資本金の額(変更前/減資後/増資後(現在))
21億1005万円/2110万500円/2億2030万500円

▼発行済株式数(変更前/減資後/増資後(現在))
4万6800株/4万6800株/8万株

▼株主数(変更前/減資後/増資後(現在))
58/58/64

▼増資後の株主一覧(※主要株主のみ記載)
【株主名-持株比率】
株式会社エディオン 46.96%
マツダ株式会社 16.67%
中国電力株式会社 3.42%
株式会社広島銀行 2.99%
広島県 2.50%
広島市 2.50%
株式会社中電工 1.70%

 2013年からJリーグクラブライセンス制度が実施され、財務基準年次財務諸表(監査済み)を提出し、Jリーグの審査を受けること(A基準)、その際、3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと(2012年度-2014年度の3年間以降で算定)および債務超過でないこと(2014年度から算定)が必須条件となりました。このため広島は、20億円を超える累積債務を解消するため、資本金21億円を99%取り崩した上で債務償還に充て、新たに第三者割当増資により2億円増資する措置を行ったのです。

 以上のとおり、最近の2年間だけの経営成績だけをみると評価を誤ることになるのですが、少なくとも最近の2年間は、健全な経営状況です。しかしながら、2期連続の優勝による選手年俸の高騰などを考慮すると、将来の黒字収支維持のためには、さらなる売上拡大が必要となると見られます。

サンフレッチェ広島の成績

 広島のJリーグでの成績は、2009年J1昇格後、2009年4位、2010年7位、2011年7位、2012年1位、2013年1位となっており、現在2年連続で優勝しています。2012年は、第33節のセレッソ大阪戦に勝利し、1試合を残してクラブ史上初となるJ1年間総合優勝を決めました。2013年、J1リーグ戦では不調が続き、夏のFIFAコンフェデレーションズカップ開催によるリーグ戦中断時点では、首位大宮アルディージャと勝点差8、3位の横浜FMとは勝点差3の5位。しかし、第33節湘南ベルマーレ戦の勝利で2位に浮上すると、優勝するには勝利が絶対条件となる最終節では、本拠地カシマスタジアムでのJ1シーズンホーム最終戦で1998年から15シーズン負けなし(14勝1分)と「難攻不落」だった鹿島アントラーズに2-0で勝ち、前節まで首位にいた横浜FMが川崎フロンターレに0-1と敗れたため、劇的な逆転で2年連続優勝を飾りました。

サンフレッチェ広島の健全経営と好成績との関係の仮説

 チームが強いと、チケット売上高、広告料収入、グッズ売上高が伸び、優勝賞金なども見込め、健全経営につながるという仮説を持つことができます。広島は2014年も、財務体質のさらなる強化を引き続き、最優先課題としつつも、J1リーグを2連覇したことで向上したチーム価値を活かし、観客動員増やスポンサー収入の増加を中心に、収入拡大と利益確保につながっていくと思われます。チームが強いと、一般に、シーズンパスのチケット売上が増えます。広告収入も増えます。景気回復による経済成長により、企業の広告予算が今後増えていくことも期待されます。また、強いチームにはファンが増え、グッズ販売が伸びていきます。

■まとめ
 広島による現在の営業戦略は、(1)これまでディスカウントに応じていた既存顧客との価格交渉による対価の適正化、(2)一度離れた顧客の再訪、(3)伸び盛りの若手経営者のいる会社への新規外交、(4)備後地域での営業強化としています。優勝するチームは経営指標も良くなると期待されますが、広島は成績や天候に左右されない健全な経営を目指しているようです。したがって、損益分岐点が低い経営に取り組んでいるということであり、チームの好成績により、利益の上振れが期待できます。

(記事/ZUU Online)

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