第102回全国高校サッカー選手権大会・準決勝の2試合が東京の『国立競技場』で開催された。
第1試合は3年ぶり24回目の選手権を戦う市立船橋(千葉)と、27年連続29回目の出場で準決勝まで駒を進めた青森山田(青森)の一戦。過去5度の優勝を誇る市立船橋と過去3度の優勝経験を持つ青森山田の“名門対決”は、11分に芝田玲の蹴った左コーナーキックから小泉佳絃の今大会3点目となるヘディングシュートで青森山田が先手を取る。青森山田の1点リードで後半へ折り返すと、序盤の53分には市立船橋の“エース”である郡司璃来が、ペナルティエリア手前から右足を振ったが、シュートは枠の外へ。このまま青森山田が逃げ切るかに思えたが、79分にペナルティエリア右のスペースでスルーパスを引き出した太田隼剛からの折り返しを久保原心優が沈め、市立船橋が終盤に同点弾。試合の決着はPK戦に委ねられた。
PK戦では、先攻の青森山田の1人目を務めた山本虎が見事に成功させると、後攻の市立船橋は太田隼剛のキックがGK鈴木将永に止められる。その後3人目まで両者成功するも、迎えた4人目では青森山田の小林拓斗のシュートを市立船橋のGKギマラエス・ニコラスがセーブ。だが、再びGK鈴木将永が躍動し、市立船橋の4人目の岡部タリクカナイ颯斗のシュートを完璧な読みでストップ。勝負が決する5本目のキッカーには青森山田の“エースストライカー”である米谷壮史が登場し、ゴール左下隅にシュートを流し込む。この結果、青森山田が4-2でPK戦を制した。
第2試合では、ともに初のベスト4進出を果たした近江(滋賀)と堀越(東京A)が相見えた。試合は立ち上がりこそ堀越が前に出たものの、流れを引き寄せた近江が勢いのある攻撃を披露。11分にペナルティエリア右でシュートのこぼれ球を拾った鵜戸瑛士が強烈な一撃を突き刺して先手を取ると、その2分後にはピッチ中央付近でのボール回収から、スピード感溢れる攻撃で一気にゴール前までボールを運ぶ。鵜戸瑛士、西飛勇吾のシュートはブロックされたが、最後は山門立侑が押し込み、序盤で近江が2点をリードする。
止まらない近江はその後も攻撃の手を緩めず、22分には流れるようなパスワークで敵陣へ侵入。ペナルティエリア右で前を向いた小山真尋が切り返しからスイッチし、ボールを引き取った山門立侑が強引に右足を振る。このシュートはブロックされたが、こぼれ球を拾った金山耀太が右足で冷静に流し込み、近江が3点をリードして前半を終えた。
後半に入ると堀越が猛攻をスタート。キャプテンの中村健太を中心にゴールに迫るが、近江もトドメの4点目を目指して前に出る。両チーム悪くないシーンを作り続ける中、スコアはこれ以上動かずに後半アディショナルタイムへ突入したが、堀越は髙谷遼太のポストプレーからペナルティエリアへ侵入した髙木琉世がPKを獲得。中村健太のキックはGK山崎晃輝にコースを読まれながらもゴールに吸い込まれる。1点を返したものの反撃はここまでとなり、最終的には3-1で近江が決勝行きの切符を勝ち獲った。
この結果、決勝は青森山田と近江の一戦に決まった。青森山田は優勝を成し遂げた第100回大会以来、2大会ぶりの決勝進出。高円宮杯JFAU-18サッカープレミアリーグ2023ファイナルを制し、今大会で2冠へ挑む“優勝候補”は、前評判通りの力強さを見せている。4度目の選手権制覇へ王手をかけた。
一方、近江は今大会まで選手権での最高成績が2回戦だったため、初の決勝進出だ。滋賀県勢としては第84回大会の野洲以来18年ぶりの快挙。夏のインターハイ王者の明秀日立(茨城)やタレント軍団の神村学園(鹿児島)などを打ち破ってきた実力は本物で、初の決勝で初の優勝を目指す。
なお、決勝は1月8日に聖地『国立競技場』で開催される。試合は14:05キックオフ予定。試合の模様は日本テレビ系列で生中継されるほか、「民放公式テレビ配信サービスTVer」と「SPORTS BULL」にて無料ライブ配信も予定されている。
■準決勝・試合結果
市立船橋(千葉) 1-1(PK戦:2-4) 青森山田(青森)
近江(滋賀) 3-1 堀越(東京A)
■決勝
開催日時:2024年1月8日(月・祝)
キックオフ時間:14:05(予定)
対戦カード:青森山田(青森) vs 近江(滋賀)
会場:国立競技場
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト