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【鹿島学園】飛躍の1年となった2年生MF櫻井稜 常に持つ“悔しさ”を力に変えて<第100回高校選手権>

2021.12.30

鹿島学園MF櫻井稜 [写真]=松尾祐希

 大宮アルディージャU15時代は目立った活躍をしていない。代表歴もなく、U18チームへの昇格も果たせなかった。高校入学後も1年次の主戦場はセカンドチームや1年生チーム。しかし、2年となった今年、レギュラーに定着すると、6月のインターハイ予選で存在感を発揮する。直後には自身初の世代別代表となるU-16日本代表に選出され、わずか3カ月で誰もが予想しない飛躍を果たした。

 そんなシンデレラストーリーを実現させたのが、鹿島学園MF櫻井稜だ。最大の武器は50メートル6秒0の“脚”。夏までは右SB、現在は2列目で起用されているが、後方からトップスピードで攻め上がり、グングン加速していく。自分より前にいる相手を追い越して決定機を作る場面も増えており、そのオーバーラップはチームの武器になっている。

 では、何故彼は短期間で一気に飛躍を遂げられたのか。それは何度も味わった挫折を自らの力に変えてきたからだ。

 最初の挫折は大宮U15の時。U18への昇格が見送られた時の気持ちは「相当悔しかった」と今でも忘れていない。そこから地道に積み上げ、鹿島学園に入ってからもその取り組みは変わらない。1年生の時はトップチームに加われなかったが、その悔しさをバネにより一層練習に励んだ。そうした努力が今年に入って身を結び、代表入りにも繋がった。

 もちろん、悔しいと思うことは誰にでもある。ただ、その気持ちを持ち続けるのは簡単ではなく、実際に行動に移すことができる人間はほんのひと握りだ。そうした悔しさを常に持ち続け、上だけを見てサッカーに打ち込む。そして、上のレベルに入っても謙虚に学ぶ姿勢を崩さない。代表合宿では30メートル走でチームトップの数字を叩き出したが、その記録に慢心せずに貪欲に吸収するスタンスを貫いた。

 だからこそ、今も自身にも満足していない。特に課題と感じているのは守備面。「中に絞ることや体の向きは毎回、鈴木雅人監督から言われている」と本人が振り返る通り、ポジショニングなどは修正すべきポイントだ。ただ、そうした課題に向き合えるのが櫻井の良さ。代表合宿同様、トップレベルの選手が集まる選手権での経験がさらなる成長の礎になる。

 初めて挑む冬の大舞台。きっかけを掴めれば、再び代表に招集される可能性は少なくない。「代表で自信がつきました。選手権で活躍して、もう1度選ばれるようにアピールしたい」。無限大の可能性を持つ快速アタッカーにとって、この選手権が自身を変えるターニングポイントになったとしても不思議ではない。

取材・文=松尾祐希



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