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【インタビュー】sumika(高校選手権応援歌)~高校生に伝えたい『本音』~ 意外?なJリーグとの関係も

第99回高校選手権の応援歌を担当するsumikaの黒田隼之介、荒井智之、片岡健太、小川貴之(左から) [写真]=後藤壮太郎

 第99回全国高校サッカー選手権大会の応援歌は、確かな実力で若い世代を中心に魅了し、日本武道館をはじめとした大会場でもライブも成功させているsumikaの『本音』に決まった。

 今、最も目が離せないバンドであるsumikaの4人に、コロナ禍における2020年の活動、自身の学生時代などを聞くと、まさか、あのJクラブのサポーターだったというメンバーの『本音』も。楽曲制作に込めた想いを聞いた。

インタビュー=小松春生
写真=後藤壮太郎

■「僕たちでいいのか?」と驚き

片岡健太(Vo./Gt.)

―――最初に、応援歌のオファーが来たときの気持ちから聞かせてください。

片岡(Vo./Gt.) 「僕たちでいいのか?」と、率直に驚きました。そこからいろいろな方と話し合いをすることで、「これは本当だ」と。そこから「いい曲を作らないと」と、焦り出しましたね(笑)。

―――これまで多くのアーティストが応援歌を担当しました。印象はありますか?

黒田(Gt./Cho.) (第94回大会担当の)BLUE ENCOUNTさんは面識があるんですが、「うわ、すごいな」と思いながら見ていたので、「自分たちの番が来たんだ」という感じで、少しずつ実感が湧いてきています。

片岡(Vo./Gt.) 俺は(第90回大会担当の)ナオト・インティライミさんが印象深くて。ナオトさん、サッカーめちゃめちゃうまいですし、「それはそうだよな」って思いました。僕たちも「とりあえずヒールリフトの練習をしなきゃ」って、謎の使命感にかられています(笑)。ヒールリフトはできましたよ。『蒼き伝説 シュート!』で育ちましたから(笑)。

―――楽曲制作が始まり、一番大切にしたポイントは何でしょう。

片岡(Vo./Gt.) 今年はコロナがあって、体育系であっても文化系であっても、学生の大会が多く中止になってしまった中で、2020年の最後、卒業直前というところで、少しずつ開催される大会もあり、サッカーもできる。選手や支えるスタッフさん、マネージャーさん、監督やご家族もそうですし、大きく言えば、学生全体の希望を背負っていると言いますか、いろいろな人の気持ちが例年以上に多く詰まっている大会になるね、とみんなで話して。なるべく広い視野を持って自分たちも伝えていかなければいけないと考えながら作りました。

■会えないからこそ、言葉を交えるのはすごく大事なこと

黒田隼之介(Gt./Cho.)

―――コロナ禍において、個人の行動も制限され、sumikaさんを始め、多くのアーティストもライブが延期・中止になりました。いろいろなことに思いをめぐらせる時間になったと思います。

小川(Key./Cho.) コロナがなかったとしても、しっかり辛抱するときはして、苦難を乗り越え、楽しむことは楽しむ、というものが活動の中でもありました。音楽ができない状況から再開できた瞬間、みんなで音を鳴らした瞬間のことは今でも忘れないです。久々にみんなと音楽ができたときの感覚はおそらく一生味わうことのない体験ですね。つらかったですけど、改めて音楽の楽しさや素晴らしさに気づけた期間でした。

―――何か1つものをみんなで作り上げていく点は音楽とスポーツで共通している部分だと思います。物理的に会えない難しさはいかがでしたか?

片岡(Vo./Gt.) 『Dress farm 2020』という、自分たちで楽曲を制作して、皆さんに自由に価値の設定をしてもらう企画を5月に発表しました。各々の家で曲を作って、レコーディングを進めていったんですが、連日オンライン会議をしていたりしたので、物理的に離れてはいましたけど、本当に離れていた気はあまりしていません。その期間も音楽を作れていたからですね。「この逆境に負けずに作り続けるぞ」という“音楽欲”のようなもので2020年は動けたので、その活動があったのは大きかったです。

―――成人であれば経験もあるので、ある程度対処できると思いますが、スポーツや音楽、勉強を頑張っている学生も同じ状況になりました。自分の学生時代に降りかかっていたら、どう考えますか?

小川(Key./Cho.) もともと3年間という高校生活の有限な時間の中で、さらにその時間が削がれてしまい、仲間とともに過ごす生活の時間がなくなり、一つひとつの判断も難しいですし、思い出も作ることも、打ち込むことすらできない状況にも置かれてしまって。自分は、人がいるから頑張れるところが少なからずあるので。先日、選手たちがリモートでミーティングしている姿などを映像で見させていただいて、今の時代は距離が離れていても顔を見ることができたり、言葉を通わせることができることは大きいなって感じました。会えないからこそ、言葉を交えるのはすごく大事なことだと改めて思いましたし、僕も不安になりつつも意思疎通は絶対に忘れないようにしているところです。

■辞めたくなるくらいのことじゃなければ、本質に気付けない

(左から)黒田隼之介、荒井智之、片岡健太、小川貴之

―――高校サッカーのこれまでの映像などをご覧になって感じたことはありますか?

片岡(Vo./Gt.) 率直に感動しました。僕たちにおいては音楽ですが、取り組んでいる姿を客観的に見る機会はなかなかないので、誰かが一つのことに打ち込む姿、一生懸命やっている姿を客観的に見たときに感動しましたし、自分たちはできているのかと、鏡を見て見直す機会にもなりました。限られた時間だからこそ、やれることもあると思います。3年間という限りの中で、大きい花をしっかり咲かせるためにどうしたらいいか、もがいている様は、刹那的ですし、すごい一瞬を見せてもらっていますね。

―――そういった姿を見たり、考えを巡らせて『本音』が完成しました。

片岡(Vo./Gt.) 『本音』というものが、2020年はいろいろな理由で沈んでいってしまったものだと思います。「本当はこうしたかった」、「本当はこう伝えたかった」というものを、全部すくい取って未来につなげていく。何度考えてもこれがベストだなと思います。伝え残しはないですし、この曲と一緒に走れたら、2020年としては一番正しい答えなんじゃないかなと自分たちとしては思います。

―――『本音』の歌詞の中に「君と後悔より先へ」というフレーズがあります。学生時代の後悔はありますか? さらに言うと、その後悔も含めて今の自分につながっている感覚ですか?

片岡(Vo./Gt.) 高校時代に一生分の後悔をして、その後悔の回収を長い時間かけてやり続けている感じがしています。たくさんの失敗もしましたし、「あの時、こうしておけば」もあります。突っ走ることで周りが見えず、いろいろな人を傷つけたこともあると思います。それがあったからこそ、それを回収したいと思える、自分の中の黒歴史のようなものを肯定していくことを、長い時間かけてやっている感覚ですね。

―――「ああ辞めちまおうかな」という歌詞で曲が始まるなど、マイナスなところもさらけ出しながら、進んでいこうというメッセージも感じました。

片岡(Vo./Gt.) 本当に好きなことを見つける過程で、どうしようもないくらい嫌いになるものが生まれることは大事な過程だと思っています。辞めたくなるくらいのことじゃなければ、本質に気付けない。それは、ネガティブとなるものだけではなく、今後カウンターのように楽しいこと、すごくいい関係性を生むことにつながることもあります。僕たちもまだまだ道半ばですけど、学生の方とお話できる機会があるとしたら、「マイナスな感情はいつか大切になるもの。マイナスを知ることによって、0からプラス10になるよりも、マイナス10からプラス100になる方が楽しい」ということを伝えたいですね。ヘコんでいる時も含め、大事だったと思える日が来ると言えるはずです。

■高校時代は「人生を変えてくれた時間」

荒井智之(Dr./Cho.)

―――皆さんはどんな高校生でしたか?

黒田(Gt./Cho.) 僕はすでにバンドを組んでいて、バンドで生きていけたらいいなと考えていました。それはどうやれば実現できるかを考えたとき、他の人たちと違うことをしないといけないと思って、「他の人と違う」の意味を履き違えて、あまりパッとしない感じになっていましたね。誰も知らない音楽を聞いていたらカッコいいって思っていました(笑)。今考えたらかわいいものですね。でも、そのときに考えていたことは、今も生きていると思います。

荒井(Dr./Cho.) 僕は高校時代、ラグビー部でした。友達に付き合わされて部活見学した流れで入部しました。でも、真面目に頑張っていましたよ。弱小高校だったので、弱小なりに頑張っているくらい、ですけどね。当時はチームプレーよりも自分のやりたいこと優先してばっかりいました。ポジションは先輩から「お前は体が小さいから」と言われて、スクラムハーフでした。フォワードがボールを確保して、それを受けた僕がバックス陣にパスを回さないといけないのに、自分がトライすることばかりを狙ったり、エゴで動いていたので、チームメイトからの評判はよくなかったと思います(笑)。でも、そこでチームワークの大切さ、チームを作る上で大事なこと、人間関係の構築の仕方を学びました。苦い思い出は多いですけど、自分の糧になった高校生活でした。

小川(Key./Cho.) 僕は「音楽で生きていきたい」とは思っていましたが、特に人に見せられるようなことはしていなかったんです。でも、よくわからないんですけど、根拠のない自信がめちゃくちゃあって(笑)。根拠のない自信をガソリンにして、夢をどんどん膨らませていた3年間でした。そのおかげで今の人生、音楽の歩みがあると思っています。周囲に「俺には夢がある」とずっと言い続けていたので、逃げられなくなった部分もありますね(笑)。音楽を続けていたから、卒業も寂しくなくて。音楽をやっていれば、また会えると思っていたし、今でもそれは変わらないです。でも、根拠のない自信だけは完全に打砕けたので、しっかりしてないといけないよという部分はしっかりと(笑)。

片岡(Vo./Gt.) 僕は中学時代が日陰中の日陰で生活していたので、その反動で高校は軽音楽部に入ったんです。高校3年間は人生で一番寝ていなかった期間ですね。寝ないでギターをずっと弾いて、学校に行ってちょっと寝るみたいな(笑)。自分たちのライブもしましたし、いろいろなライブも観に行って。10-FEETとELLEGARDENの対バンライブで荒井くんと出会いましたし、そういう友達と一緒に楽器を鳴らしたり、音楽の話をしたり。おかげで、会話の共通点も生まれました。“会話のタネ”を初めて持てたのが高校時代ですね。人と本音で話すことが楽しいと思えるのは、自分が何かに打ち込んでいるからなんだと知れました。高校の3年間がなかったら、間違いなくsumikaをやってないと思いますし、音楽で生活をしていく人生を選んでいなかった。人生を変えてくれた時間でしたね。

■実はベガルタ仙台のゴール裏で…

小川貴之(Key./Cho.)

―――サッカーのイメージはありますか? 3人は学生時代から音楽、荒井さんはラグビー部の体育会系でしたが、サッカー部を見ていての印象などあれば。

片岡(Vo./Gt.) 地元が川崎なんですが、川崎フロンターレの試合の招待状が学校に届いて、よく観戦に行ったりしていて、楽しかった思い出ですね。

小川(Key./Cho.) 実は、僕は高校卒業くらいのタイミングで、ベガルタ仙台のファンになりました。当時はJ2だったんですけど、ちょっとしたきっかけから観に行くようになり、友達と一緒に北海道とか福岡まで遠征するようになって。応援を続けていると、サポーターの方とも仲良くなって、グループに入れてもらいましたね。その人たちと一緒に旅をして、スタジアムでは一緒に旗を振っていました。チームのユニフォームではなく、黄色いオリジナルのTシャツを着ていましたから(笑)。12番目の選手として12番の背番号をつけて応援していた時期はありましたけど、音楽が忙しくなるにつれ、なかなか試合には行けないようになってしまい。昇降格がかかった試合を現地で応援して、その時の選手の表情は今でも記憶に残っています。今はなかなか行けませんが、またあの感じは味わいたいですね。他のスポーツともまたちょっと違う空気感というか、サッカーならではの空気感が応援にもあると思っていて。声出しの感じもだいぶ違いますからね。

黒田(Gt./Cho.) サッカー部は仲がいいイメージがあります。大人になってからもサッカーの話になったら、「俺もサッカー部だった」というところから仲良くなって、気付いたら一緒に飲みに行っている(笑)。そういう競技愛を感じます。学生時代からサッカー好きなんだなって思っていました。

荒井(Dr./Cho.) ラグビー部の僕から見ると、“ヒーロー”だっていうのと、おしゃれ、カッコいい、スマート(笑)。羨ましいわけではないですけど、自分とは違う世界の人だなと。僕らはどちらかというと泥にまみれる、“THE 男”という感じだったので、「おしゃれだなー」と(笑)。

小川(Key./Cho.) 部活終わりも爽やかでしたし、「どのワックス使えば、そんなに髪型崩れないんだ?」といつも思っていました(笑)。

―――2021年はどういった活動をしてきたいですか?

片岡(Vo./Gt.) 2020年は春に予定していたツアーが開催中止になりましたし、やるはずだったことはもちろんやりたい気持ちですね。でも、それだけではなく、そこからアップデートして、何倍にもしてお届けできる1年になると確信しています。そのための準備もしてきていますし、それを見せる機会がたくさん出てくると思います。期待を裏切らない活動になるはずですし、すごい1年になるはずなので、絶対に幸せな気持ちにさせる約束をしたいですね。

―――今年溜め込んだものをすべて出すと。

片岡(Vo./Gt.) 最初は2年分を1年でやろうという気持ちでいたんですけど、5年分、10年分を出すくらいの気持ちです。

小川(Key./Cho.) 今年、活動が止まっている中でも、発信を続けられました。来年もこの発信の波は止めてはいけないと思うし、僕たちの音楽を愛してくれる方々への距離感をもっと近くしていけたらいいですね。そして、よりよい音楽を僕たちsumikaが日本に残せたらいいなと思っています。

■選手の気持ちを後押しできるような曲に

―――最後に、メンバーの皆さんから出場する選手、家族はもちろん、たくさんの高校生たちにメッセージをお願いします。

片岡(Vo./Gt.) 今回、全国高校サッカー選手権大会のために書き下しました。こういう状況の中で練習をして、変わらずに試合をやるということは、例年以上にすごく大変なことだと思います。その気持ちをまずバックアップしたい、もっと大会で頑張るためにも、同じ気持ちで一緒に走りたいという思いで僕たちも曲を作りました。選手の気持ちを後押しできるような曲になってくれたら嬉しいです。あとは、曲ができてから少し時間を空けて、客観的に聞いた時に、年齢は関係ないと思う部分があって。学生だけではなく、それを支える方、ご家族やスタッフ、チーム、さらに言うとサラリーマンの方や主婦の方…、日常で何かを少しでも“頑張っている”と思っている人にとって、力になる曲だと思います。同じ人間としての応援歌という側面もあるんじゃないかなと思います。

小川(Key./Cho.) 高校生、ご家族、チームの皆さんの背中を少しでも音楽で押せるように、と思いを込めて作っていたんですが、選手たちがサッカーを久々にやった時に「楽しいです」という言葉を発しているシーンを見て、僕たち自身もかなり救われたところがありました。選手やサッカーに携わる全ての人たちに、感謝の気持ちを持ちながら作曲して、僕にとってもかけがえのない曲になりました。時間が限られている中、皆さんがひたむきに向き合っていると思うので、僕たちの曲がともに寄り添い、皆さんのかけがえのない時間、大会になることを願っています。

黒田(Gt./Cho.) 小川からも話がありましたが、選手が自粛期間を経て、久しぶりに部活をしたときに「サッカーが楽しい」と言っていたことがすごく印象的で、それを応援したいって強く思いました。音楽で誰かを応援できることはすごく嬉しいことです。きっと同じ気持ちで応援している人もいっぱいいると思うので、そういった方たちと一緒に応援できたらいいなと思っています。

荒井(Dr./Cho.) 選手たちからは、どんな状況でも今できることを頑張ろうという気持ちがすごく伝わってきて、僕もそこから勉強させてもらったこともあります。ご両親や関係者の方も、いろいろな不安がある中でも今できることを頑張ろうと思ってやっているんだなと。そういう人たちにも響いてほしいです。「頑張っている」と言っても、今やっていること、今やろうとしていることに対して、疑問符がついてしまうような場面も増えたと思います。「これはやっていいのかな」、「このまま続けていいのかな」と立ち止まってしまった時に聞いてほしいです。迷ったり、悩んだりすることもあるかもしれないけど、人に言いにくい本音や、「なんでこう思ってしまったんだろう」という本音だったとしても、きっとその本音は、それだけですごく大事なことだと思います。それを誰かに伝えるのか、それとも誰にも伝えられないのか、わからないですけど、そう思ってしまうこと自体は間違いではない。自分に素直に、やりたいことに向かって頑張る、という思いで聞いてもらえたら、嬉しいです。

■INFORMATION

sumika
2021年1月6日 (水)『本音 / Late Show』Release
【初回生産限定盤】
CD+特典CD / SRCL-11506~7 / ¥2,000+tax
【通常盤】
CD のみ / SRCL-11508 / ¥1,000+tax
■CD(初回生産限定盤 / 通常盤 共通)
01. 本音
02. Late Show
03. 本音 (Instrumental)
04. Late Show (Instrumental)
■初回生産限定盤 特典CD
01. トワイライト (Dress farm 2020)
02. 晩春風花 (Dress farm 2020)
03. VOICE (Dress farm 2020)
04. 憧憬 (Dress farm 2020)
05. Lovers / Live ver. (Dress farm 2020)
06. 1.2.3..4.5.6 / Live ver. (Dress farm 2020)
07. リグレット / Live ver. (Dress farm 2020)
08.「伝言歌」 / Live ver. (Dress farm 2020)


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