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3大会ぶりの8強入りを果たした神村学園…中心にいるのは“ピッチ上の監督” 菊池まりあ

2020.01.05

神村学園のキャプテンを務める菊池まりあ [写真]=浅尾心祐

 第28回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は4日、兵庫県三木市で2回戦の8試合が行われた。

 前回大会の1回戦の再現となった、神村学園高等部(九州1/鹿児島)と帝京長岡高校(北信越2/新潟)の対戦は、愛川陽菜が60分に決めたミドルシュートによって神村が1-0で勝利し、0-2で敗れた1年前のリベンジを果たした。

「去年は引いて押し込まれたが、最初の7分間の肉弾戦で引かなかった。ちょっとずつシュートも(ゴールから)近くなっていき、自分たちが思っている以上にできるんだなと、僕も感じたし選手も感じたはず」と、3大会ぶりのベスト8進出に、神村の寺師勇太監督はチームの成長を感じた様子だった。

 神村は2004年と2005年に大会史上初の連覇を達成して以降、14大会も優勝から遠ざかっている。今季はスター選手こそ不在だが、個性的な選手各々が自らの役割を理解する自立したチームだ。

 その中心にキャプテンの菊池まりあ(INAC神戸レオネッサ加入内定)がいる。ボランチの位置でチームのバランスを見ながら、味方の長所を生かす菊池は、決して派手な選手ではない。キッカーを任されたCKでは単純なキックミスもあった。それでも指揮官が菊池に信頼を置くのは、選手の自主性を促すまとめ役を買って出ているからだろう。

「『ピッチ上の監督』ってめっちゃ言われます。そんなに言ってるかな?」と菊池は不思議そうな顔をしたが、寺師監督は「(菊池は)さっきも『早くダウンして次の準備ね』って選手たちに言っていたので、監督はやることがないですよ」と証言する。

 神村の準々決勝の相手は、寺師監督が「練習試合でも公式戦でも勝ったことがない」と言う大商学園高校(関西2/大阪)に決まった。

「自分たちは九州の田舎のチームだけど、ちょっと面白いサッカーするねって言われるように、結果と内容にこだわっていく。泥臭く田舎っぽさを前面に出していければ」と、自虐っぽく言う寺師監督は、「調子に乗ったプレーをすると、菊池がすぐに『調子に乗るな』ってクギを刺すと思います。僕に話を聞くよりも、そこにいる菊池に話を聞いた方がいいですよ」と笑いながら記者に促した。

 クールダウンを終えた菊池は、「(大商は)たぶん自分たちより技術が勝っているので、これからも相手以上に走ることをベースにして戦う」と、もう歴史を塗り替える準備はできている様子だった。

文=馬見新拓郎

By 馬見新拓郎

10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

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