2019.01.03

星稜の多彩な攻撃をシャットアウト…“情けない内容”でも「流経強し」

セットプレーからの1点にとどまるも、流経大柏は強さを示した [写真]=兼子愼一郎
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取材・文=本田好伸(提供:ストライカーデラックス編集部)

 両チームで最初のCKのチャンスだった。5分、芹田悠真のストレート系のクロスが右コーナーから中央へ送られると、走り込んだ関川郁万がドンピシャで合わせた。ファーサイドから動き始めて、味方のブロックを使いながらフリーになる動きは、「イメージどおり」と本人も振り返る会心の一撃だった。

 本田裕一郎監督も関川も芹田も、このシーンの感想を問われて「昨日は(CKが後半に)8本もあって決められなかった」と前置きした。それは、前年度の決勝でも活躍した関川を中心とするゴール前のセットプレーが彼らの強みの一つであり、絶対の自信を持っているフィニッシュパターンだからだ。2回戦では前半4本、後半8本のCKを得たものの、そこからの得点はゼロ。芹田には「危機感があった」。

 だからこそ、この1点は流経大柏の強さを改めて示すのに十分だった。

 それ以降、前半15分ごろまで流経大柏のペースで試合が進み、攻撃時に3-5-2で中盤に厚みを持たせたはずの星稜がラインを押し上げられない時間が続いていた。流経大柏の、ボールを失っても素早く回収に戻るプレスバックが効果を発揮して、リズムを形成していたのだ。

 しかし、星稜が20分ごろから4-4-2に移して、右サイドハーフの有馬大勢が前線に入って3トップになったり、トップ下で試合をコントロールできるようになってから、流れが変わり始めた。

 星稜のシステムがジワジワと効き始め、22分にはCKの流れからエリア内の岩岸宗志がフリーで打つなど決定的な場面を作った。これは流経大柏のGK松原颯汰のビックセーブに阻まれたが、直後の23分には、中央で相手を左に外した有馬の強烈なミドルがクロスバーをたたくなど、星稜が試合を一気に盛り返した。

 河﨑護監督が「次に何を出そうと思うくらいたくさんある」というセットプレーも、ショートコーナーから有馬と尾﨑佳洋で崩す形がハマってチャンスメーク。しかし勝負の運は、流経大柏に味方した。

 38分、星稜の前線のキーマンであり、精神的支柱でもある岩岸が、右肩と右足の負傷によって担架で運び出されてしまったのだ。星稜は後半から、前日の劇的な勝利を呼び込んだ川本虎太郎を投入して、中央の西部、右の有馬による3トップで活路を見出そうとしたが、これが奏功しなかった。

「インターハイではチームとして3-4-3をしていたのですが、僕はFWをあまりやったことがなくて、動き出しなどがいまいちわからない時間が続いてしまいました。今日は中盤のラインに入ってチャンスを作れていましたし、前に入ったことでピッチ全体を見られなくなっていた感覚がありました」(有馬)

 星稜の攻撃の要である⑨有馬が機能せず、前半のような勢いを出せなくなったことで、流経大柏はセットプレーや、前線でゲームを動かして得点力のある熊澤和希と左部開斗、途中から司令塔の役割を担った木村聖が躍動して、何度もチャンスを演出していく。さらに後半19分には182cmのFW古谷優斗を投入して1トップでシンプルに前に当てる戦い方を選ぶと、彼らの強さは盤石になっていた。

 高さとスピード、球際の強さなど、総合力で流経大柏にかなわない星稜に残された道は、セットプレー以外ではコンビネーションを生かした組織力であり、サイドバックの湯澤拓士が駆け上がる形や、前線の3人が呼吸を合わせて連係する形など、多彩な攻撃パターンで、最後まで対抗しようと試みた。

 しかし──。

「情けない、あれ(CKからの1点)だけでは。よかったのは失点しなかったことと、なんとか勝ち切ったことだけ。もう少しセカンドボールを拾えないと。中盤の拾い方、そこからの攻撃は相手がうまかった」

 本田監督は試合後、相手を認めながら、自分たちの戦いを戒めた。しかし「情けない」と言いつつも、攻撃力のある相手に対して多くの時間で優位に立って、「流経強し」の印象を残したことは間違いない。

「目標は優勝ですが、先を見ていない。1試合1試合、負けないこと。その結果、日本一になれたらいい」(本田監督)と、昨年度準優勝校におごりや慢心はない。流経大柏は5日、どんな戦いを見せるのか。

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