2019.01.01

星稜と関西学院、試合を決めた“経験値の差” 50年ぶりの完敗の意味とは

関西学院戦で2得点の岩岸宗志 [写真]=野口岳彦
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取材・文=本田好伸(提供:ストライカーデラックス編集部)

 星稜は28回目、関西学院は10回目の選手権出場。ともに全国経験校同士の対戦だったが、両者には決定的な違いがあった。平成に入ってから、星稜が全国を“逃した”のはわずか6回だけで、一方の関西学院は、平成どころか今回の出場が実に50年ぶりという、悲願の全国出場だったということだ。

 チームはメンバーも含めて毎年変わっていくため、「何回出場したか」は記録の話だけであり、多くの選手にとって「毎回が初出場」だという見方はもちろんある。しかし、脈々と受け継がれる伝統もまた確実にある。全国の常連と言われるような強豪校はやはり、それだけで大きなアドバンテージがあるのだろう。

「常連校との経験値の差が前半の立ち上がり5分で出てしまいました」

 関西学院の山根誠監督がそう振り返ったように、「試合の入り方」は、特に大会初戦のキモだった。星稜が相手のクリアボールを拾えたことも、岩岸宗志のシュートが枠をとらえたことも、試合全体で見れば小さなことかもしれないが、開始わずか6分で生まれた先制点は、確実に両者の明暗を分けた。

「選手には、落ち着いて、勇気を持って(試合に)入れと話していたので、そのミーティングの中身をよく理解してくれて、先制の後も積極的にやることを変えずに守備からいくことを意識してくれました。緊張する前に、緊張していると気づく前の時間帯にほぐれたと思いますし、先制点の意味は大きかったです」

 本田圭佑など数々のトップ選手を育成してきた名将・河﨑護監督のその言葉には重みがある。スピードやプレッシングの強度、連係、空中戦など、あらゆる局面で相手を上回った星稜だったが、たとえ戦力や技術的に上回っているとされていても、“大会初戦の難しさ”の前に敗れ去ったチームは数え切れない。

 前半で相手に与えたシュートはゼロで、後半もわずかに1本の守備面と、中盤で主導権を握って攻撃面でも常に優位に進めた星稜は、自分たちの力を、この大舞台で存分に発揮しているようだった。

 2点目の左CKからのゴールは、監督も選手も「練習でやってきたもの」と口をそろえる。エリア内に2カ所の密集地帯を作って、その間を縫うように中央へ抜けてきた岩岸は完全にフリーだった。彼自身「あれは僕が決める形になりましたけど、チームの得点だったと思います」と念を押した。

 こうした“練習どおり”を実戦で見せた星稜はやはり、強かった。

「(勝って)年を越せる安堵はあります。初戦の難しさを嫌というほど見てきましたからね。緊張したり浮き足立ったり、普通に起こります。どうやってその緊張感をとって、普段どおりにできるかが課題でした」

 河﨑監督はそう笑みを浮かべたが、指揮官を含めた「強豪校の経験値」が今回は勝ったのだ。と同時に、こうした経験の積み重ねこそが、97回の歴史を誇る今大会を盛り上げてきた大きな要因だとも言える。

「ずっと県大会で終わっていたので、うちが“県大会のサッカー”のままで50年間、停滞していたんだと思います。もっと外に出てレベルの高いところとやらないと。うちの関西学院大のレベルも高いですし、その胸を借りて、もっと厳しいサッカーをしていかないと、今日の負けがつながっていかないと思います」

 山根監督はそんな言葉を残して大会を去った。関西学院が手にした経験が、また次の世代の経験となって今大会を盛り上げていくのだろう。そんな“敗者の未来”に期待したくなる一戦だった。

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