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【インハイプレビュー】「関大北陽」と言われるように…還ってきた伝統校が目指す“初勝利”(関大北陽)

2018.08.01

2度の全国制覇を達成している「北陽」が新校名「関大北陽」として全国大会に初出場する [写真]=吉田太郎

 17年ぶりに「北陽」の名が全国に戻ってきた。選手権出場10回、インターハイ出場は大阪府勢最多の22回。73年度の選手権と78年度のインターハイで全国制覇も成し遂げている伝統校が、10年前に変わった新校名「関大北陽」の名で初の全国大会に出場する。

 近年は大阪桐蔭や阪南大高、履正社といった新興の私学勢の先行を許していた。選手権では94年度を最後に全国舞台から遠ざかり、最近10年間の選手権予選成績はベスト8が2度あるだけ。苦しい戦いを強いられてきた。だが、4年前に人工芝グラウンドが完成し、Jクラブアカデミー出身の選手も交えて競争力は向上中。地道に、コツコツと変化してきた古豪は、「自分たちの年代で歴史を変えてやるという気持ちで、新チームがスタートした時から取り組んできた」(CB井口将吾主将)という今年、久々に大阪の壁を破った。

 17年ぶりにインターハイ出場を果たしたとは言え、まだまだ「北陽」の知名度には及ばないだろう。それでも、身長190cmの超大型ストライカー、FW片岡慎太郎が「北陽高校ではなく、関大北陽と言われるように」と意気込むように、選手たちは「関大北陽」の名を全国で広めるつもりでいる。

 インターハイ予選では、2人がJクラブ入り内定している興國や、いずれもプリンスリーグ関西勢の大阪桐蔭、履正社を完封。大混戦となった決勝リーグも1勝2分(2PK勝利)と無敗を守り、大阪王者として全国大会に臨む。特に守備の堅さは大分(大分)との初戦から始まる全国大会でも大きな武器となりそうだ。

 矢田竜之監督が「チームのバランスを取ってくれる」と評する井口、CB竹下佳之介の両DFがチームの肝。井口が鋭い出足で相手の起点を潰すなど身体を張り、竹下は186cmの高さを活かして相手のロングボールを弾き返す。市立船橋(千葉)や関東一(東京)といった全国区の強豪との練習試合を経験して迎えた大阪府予選では「大阪のチームとやるとまだ対応できる」(井口)と余裕を持ってプレーできたことが結果に繋がった。加えて、大阪府予選で4試合あったPK戦で抜群の勝負強さを披露したGK原口龍馬の成長も大きい。

 攻撃面では正確なキックを武器とするMF西川修大を起点に、10番MF今井泰祐や1年生MF衣川智裕がサイドの深い位置までえぐってチャンスを作り出す。そして、大阪府予選の決勝リーグで2得点を挙げた片岡へ集めるロングボールは相手にとって間違いなく脅威になるはずだ。まずは全国大会で17年ぶり、新校名では初となる1勝を挙げ、そこから我慢強い戦いで一つ一つ勝ち上がっていく。

文=吉田太郎

By 吉田太郎

サッカー専門媒体を中心に、主に育成年代の取材活動を展開。

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