ゴールを喜ぶDF関川郁万 [写真]=平野貴也
驚異的なV字ハンマーヘッドがさく裂した。
平成29年度全国高校総合体育大会(インターハイ)サッカー競技大会の男子は3日に準決勝を行い、昨年準優勝の流通経済大学付属柏高校は1-0で前橋育英高校(群馬)を破って、2年連続の決勝進出を果たした。
得点は、左サイドのコーナーキックから生まれた。センタリングが上がると、味方のポジショニングによってフリーとなったU-17日本代表DF関川郁万が高く跳び上がり、地面に叩きつける強烈なヘディングシュートを決めた。バウンドしたボールがV字に跳ね上がり、ゴールの天面のネットを突き上げる強力な一撃だった。関川は「相手はセットプレーが得意なチーム。だから、相手の心を折るような得点がほしかった」と手ごたえを語った。
関川の活躍は、得点だけではなかった。流経大柏は、技巧派揃いの前橋育英に対して、トリプルマンマークを敢行。関川は、同学年で得点ランク首位のFW榎本樹を徹底マークで封じ込めた。空中戦は、完勝。前線のターゲットを失った前橋育英は、試合のペースをつかめなかった。さらに、試合終盤に前橋育英が最もパワーのあるFW宮崎鴻を投入すると、関川は自ら提案してマークをチェンジ。今度は宮崎の持ち味を半減させた。
前日の準々決勝を終えた際に「相手の4番が得点取っているんですか? じゃあ、その選手を抑えて点を決めます」と豪語していたが、有言実行のパフォーマンスを見せた。180センチと大柄で空中戦の強さには以前から定評があったが、今大会では、3回戦でミドルシュートやPKを含めてハットトリックを決めており、通算4点目。5点で得点ランクの首位に立つ榎本を抑えて勝利したため、決勝で連続ゴールを奪えば得点王の可能性も広がる状況となった。
流経大柏の本田裕一郎監督は「すごかったね。ディフェンダーで得点王っていうのは、なかなかないから、狙いなさいって言ってある。本人も少し、その気になって来たんじゃないかな」と笑顔で教え子の活躍を称えた。試合は、後半に前橋育英がPKのチャンスを得たが、流経大柏のGK薄井覇斗がファインセーブ。昨季の全国高校選手権を2年生主体で準優勝したことで今大会の優勝候補に挙がっていた前橋育英に完封勝利を収めた。
大活躍を見せた関川は、1年生だった昨季も主力で出場していたが、大会の途中で負傷したためにパフォーマンスが上がらず、持ち味を発揮し切れなかった。昨年度の悔しさを晴らすチャンスとばかりに、今大会の勢いはすさまじい。「今日は、美味しいところを覇斗君に持って行かれた。明日(の決勝)は、全部1人で守って、自分で点を取って勝つ、全部持って行くつもりで戦いたい」と悲願達成に向けた意気込みを語った。翌4日に行われる決勝戦では、市立船橋高校(千葉)を準決勝で破って全国大会のファイナルに初めて進出した日大藤沢高校(神奈川)と対戦する。
文=平野貴也
By 平野貴也