2017.01.07

【コラム】歴史を塗り替えた十文字…残酷とも言えるPK戦で見せた勇敢なキック

村上真帆
1人目のキッカーを務めた十文字の村上真帆 [写真]=吉田孝光
10年以上にわたり女子サッカーを追いかける気鋭のライター

 第25回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は6日、ノエビアスタジアム神戸で準決勝の2試合が行われた。

 どちらが勝っても初の決勝進出となる、第1試合の十文字高校(関東第3代表/東京)と修徳高校(関東第5代表/東京)の東京対決は、1-1で前後半が終了したためPK方式で勝敗を決することになり、PK9-8で十文字が制した。

 ここまで無失点で勝ち進んできた十文字は、8分にMF松本茉奈加の今大会3得点目で先制に成功するが、その2分後に修徳のMF杉下夏菜に同点弾を許し、今大会初失点となった。十文字は30分にもビッグチャンスを迎え、MF蔵田あかりのクロスをMF鈴木紗理がシュートしたが、これは修徳GK斉藤未菜の好セーブでゴールならず。

 十文字は後半もやや優勢に試合を進めたが、なかなかゴールに近づけず、セットプレーでも好機はあったが、人数をかけて守る修徳を再び崩すことはできず、PK戦へともつれ込んだ。

 そして、この試合のハイライトはPK戦にあった。先にPKを蹴る十文字は、主将のFW村上真帆を含む9人が連続で成功。対する修徳も、GK斉藤を含む8人目までPKを連続成功させていたが、9人目のDF岡田真波がゴール上にシュートを外すと、その瞬間に修徳の敗退と、十文字の決勝進出が決定した。

 特筆すべきは、十文字のキッカーほとんどが、ゴール左上や右上のGKが触れない絶妙なコースに強烈なスピードでシュートをどんどん決めていったことだった。

 十文字は、クラブチーム『FC十文字 VENTUS』として臨んだ、昨年11月のプレナスチャレンジリーグ入替戦予選大会2試合でPK戦になり、その2回のPK戦のどちらも制した。十文字の石山隆之監督は「その2試合ではGK川端涼朱が活躍してくれたんだけど、今日はPKを1本も止められなかった。いつも我慢するんだけど、動きすぎだね。まぁ勝ったから言えるんだけど」と、川端を慰めるように少し笑う。

 打点の高い得意のヘディングで先制点を決めるだけでなく、4人目のPKを任されてゴール左上に見事成功させた松本は「その入替戦2試合でPK戦に自信を持つことができて、その後も自主トレの時間でPKの練習を重ねてきた」と白い歯を見せる。これまで全国ではベスト4止まりだった十文字だが、準備万端で歴史を塗り替える日を迎えたことを明かした。

 この一蹴りで失敗したら高校3年生は即引退という、そんな残酷とも言える状況でも、思い切って難しいコースに次々とPKを成功させていった十文字は勇敢で、紛れもなく決勝進出にふさわしいチームだった。

文=馬見新拓郎

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