2015.01.10

決勝の舞台を前に散った日大藤沢が手にした「経験値」という財産

栗林大地
準決勝で敗れ涙を流すMF栗林大地(左)[写真]=瀬藤尚美

 高校サッカー選手権は、準々決勝までの各試合を中1日や連戦で試合を消化してきている。それゆえに「中4日」の空白ができる準々決勝と準決勝の間のインターバルをどう過ごすかは大きな問題となる。

 また、ほとんどの学校で冬休みが終わって、通常の学校生活が始まるタイミングでもある。選手権という非日常空間から離れて、突然始まる日常生活。生活のリズムという意味でも難しいわけだが、さらに言うと彼らは学校で「ヒーロー」にもなる。注目を集める中で、平常心を保っていく難しさもある。

 初の4強進出となった日大藤沢の田場ディエゴは、「チーム全体として浮ついてしまった部分はあったと思います」と正直に認めた。敏感にそれを察した佐藤輝勝監督からは厳しい一喝が入ったそうだが、練習の雰囲気はともかく、普段の生活にまで及んでいるモノを指揮官がコントロールするのは難しいものがある。

 星稜は始業式に出た後、すぐさま御殿場での合宿生活に移り、この一戦に向けて心身のコンディションを整えた。「何も変わらない。普段通りに練習して、普段通りに準備することを徹底した」(DF鈴木大誠)。それが勝敗を分けたなどと安直に言うつもりはないが、4強進出自体が初めてだった日大藤沢は、やはり経験不足の一面があったのは否めないだろう。学校生活に戻るなら戻るで、相応の心構えが必要だった。

 埼玉スタジアムでの準決勝そのものを観ても、3年連続の4強進出だった星稜がスムーズに試合へ入っていったのに対し、日大藤沢は「前半はみんな緊張して、ビビってしまっていた」(田場)。その背景に経験不足があったのは、同様に否めまい。

 それだけに、期待がかかるのは「経験値」を積み上げて臨む来季のこと。この日の先発には、GK鈴木孔明、DF小野寺健也、福屋凌平、MF大野樹、西尾隼秀の5名が名を連ね、ベンチにもMF佐藤拓、FW石井雄大といった選手がいた。主将のDF吉野敬は「試合後、小野寺や西尾が本気で泣いていて、『ああ、こいつらも3年と同じ気持ちで戦ってくれていたんだ』と思って嬉しかった。来年はあいつらがやってくれると思います」と力強く語ってくれた。

 桜色の旋風劇は準決勝で幕を閉じた。ただ、チームとして積み上げた確かな「経験値」は、きっと来季以降の財産となって生きてくるはずだ。

文=川端暁彦

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