9試合ぶりの勝利に喜ぶ北九州の選手たち [写真]=SHOKO
12月20日から22日の3日間にわたり、Fリーグ2024-2025ディビジョン1第19節の6試合が行われた。
ここまで勝ち点1にとどまる最下位のヴォスクオーレ仙台は、ペスカドーラ町田と対戦。開始3分でクレパウジ・ヴィニシウスに先制を許し終始町田にペースを握られると、主力の森村孝志が退場処分を受けるなど劣勢がつづき1-9で大敗した。
11月から指揮を執る中島千博監督に一番苦戦した部分を問うと「パワープレーでいい時間もあったが、それを我慢して続けられなかった。今は相手に対して変えることが難しく、決められたことを決められたとおりにやる状況が多いように感じている。もう少しピッチの中で全員が相手の特徴をつかみながら、状況に応じた判断をできるようになるといいのではないか。守備も攻撃もマネジメントができていなかったので、一試合を通し、総合的にチームを変えるのはそこが必須だと考えていた」と回答。主将の平澤凌は「ここ最近、立ち上がりの失点が多い。流れを崩して相手ペースでの試合運びが多く、自分たちで試合を壊した印象。気持ちでどうこうなるリーグではないが、最下位にいる以上、どのチームよりも気持ちを強く持たなくてはいけないので、自分も含めて改めていきたい」と悔しさをにじませた。

9-1で快勝を収めた町田 [写真]=SHOKO
同会場で行われたフウガドールすみだとボルクバレット北九州の対戦は、3分にフットサル日本代表のクウェート遠征から帰国したばかりの羽生恒平がゴールを決め、すみだが先制に成功する。しかし、18分に北九州のGK川上翼が前線まで上がり同点ゴールを決めると、第2ピリオドで再度リードを奪われるも終盤まで粘り強さを見せ、9試合ぶりに勝利を収めた。
北九州を率いる中嶋孝行監督は「アウェイにもかかわらず、赤いユニフォームを着た方々が大きな声を出してくれた。最後まで分からない展開だったが、そういう思いが後押ししてくれたと思う。すみだのホームの雰囲気も素晴らしかったし、マッチコーディネーションミーティングでも「いい試合をしよう」と話したので、最後まで勝利を目指した。選手たちを誇らしく思ったし、監督としても楽しい試合だった。自分たちなりにフットサルの魅力を出せたと思う」と試合を振り返る。また、今月北九州市で発生した痛ましい事件にも触れ「北九州のみなさんにとって「一緒になってがんばろう」と思ってもらえるような存在になれたら、と思っている」と総括を結んだ。安嶋健至主将に9試合ぶりの勝利を収めた瞬間の気持ちを問うと「うれしいという言葉しか出てこなかった。なかなか勝てない中でも、一勝できたときのエネルギーや盛り上がりはどこのチームにも負けていない。もっと勝利を届けられれば、自分たちの価値が上がると自信を持って言える。だから、もっと感情を出し、いいチームから勝つチームになっていくことが大事だと思っている。まだ三勝しかできていないので、この一勝に満足することなく継続していきたい」と意気込みを語った。
敗れたすみだは、第2PKのキッカーやパワープレーの守備など重要な場面でのベテラン中心の起用が目立つ。岡山孝介監督に若手の成長に対する課題感を問うと「(若手に)どんどん出てきてほしいとは思っている。ただ、チャンスは自分でつかまないといけない。若手に切り替えてとりあえず出すということで伸びるのであればそうしたいが、僕はそうは思わない。オーダーはなるべく明確にしているつもりなので、しっかり戦って勝ち取って応えられるかどうか。それをこなせないと起用は難しいし、勝つために戦っているので可能性が少しでも高い選手が出るのは普通のことだと思う。今までの経験上、若い選手を使うことはやることをやっていれば怖くはないと分かっているので、いつでもチャンスはある。そこをつかみ取ってほしいという思いだ」と、選手への期待を口にした。
立川アスレティックFCは2位の名古屋オーシャンズをホームに迎え、開始わずか1分で先制を許す。一時は3点を追う展開となったが、パワープレーで怒涛の追い上げを見せ、4-4のドローで試合を終えた。
アグレッシブな守備が持ち味の立川だが、寄せが甘くなるシーンも垣間見えた。饗庭健監督にその点を問うと「相手のブロックに対して強くいきすぎてしまうと懐にハマってしまう怖さがあった。ボールに近い選手がそうなると他の選手もつづいてしまうので、気持ち的な面と言うよりはテクニカルな部分での難しさがあったと思う」と回答。完山徹一主将は3点差から追いつき勝ち点1をもぎ取ったことについて「パワープレーを始めてすぐに点が取れたことが大きかった。2-4から3-4になったところで「追いつけるのではないか」と期待感が高くなり、4-4になった場面ではお客さんの喜びも爆発した。今日一番のボルテージだったと思う。パワープレーでピッチに立っていても、2点目が入るまではプレスをかけてきていたが、3点目が入ってからは引いて守るなど、名古屋の守備が少し迷っていることを感じた。想定以上の出来だったが、駆け引きでも僕たちが上回ったと思う」と評価。「その分、もう一度パワープレーを仕掛けて逆転したかった」と話し「特に僕は出たときに目に見える結果を求められる役割。今日はそれを出せたので、まだチームにいてもいいかな」と笑いを誘った。

2得点で勝利に貢献した長坂拓海(浦安) [写真]=SHOKO
首位のバルドラール浦安は、負傷により少ないメンバーで戦うバサジィ大分に苦戦を強いられた。開始6分で先制に成功するも、18分にはこの試合が200試合出場の節目となった高溝黎磨に同点ゴールを許す。第2ピリオドでも大分が粘り強い守備を見せ、1-1の状況がつづくが、36分に大分が退場者を出し数的優位に立った浦安はロドリゴの直接FKで勝ち越すと、終盤にはGKピレス・イゴールのロングフィードを長坂拓海が頭でかすめて追加点。3-1で辛勝を収めた。今節の結果により浦安は勝ち点を47に伸ばしている。
限られた人数で戦いながらもアグレッシブさを失わないスタイルについて、大分を率いる狩野新監督は「戦い方を変えなきゃいけない部分はあるが、チームのコンセプトや目指しているところ、若い選手は日本代表に入っていかなくてはいけないし、上位チームと同じようなアグレッシブな展開をしなくてはいけないと思っている。ハーフから下がるという考えもあると思うが、どれだけ人数が少なくてもデュエルの部分を出したり、アグレッシブにプレッシャーをかけたり、そのスタイルは伊藤さん(伊藤雅範・前監督)のときから築き上げてきた。いろいろな策を準備しながらも、スタイルは崩さないよう選手たちに伝えている。上位に対しても真っ向勝負をしたいと思っているし、ひとつ下げるということは試合の中では出してはいない」とコメント。仁部屋和弘やヒアンといった実力派が復帰し、フルメンバーでアグレッシブな戦いを見せることが期待される。
▼Fリーグ2024-2025 ディビジョン1 第19節 結果
ヴォスクオーレ仙台 1-9 ペスカドーラ町田
フウガドールすみだ 2-3 ボルクバレット北九州
湘南ベルマーレ 3-2 シュライカー大阪
立川アスレティックFC 4-4 名古屋オーシャンズ
バルドラール浦安 3-1 バサジィ大分
Y.S.C.C.横浜 1-4 しながわシティ
By サッカーキング編集部
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