2018.04.04

スタジアムに来てもらうには?川崎フロンターレがフットサル場を持つ理由(浦野珠里・フロンタウンさぎぬま副支配人)

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神奈川県川崎市宮前区、美しい人工芝のフットサルコートが6面ある、フロンタウンさぎぬま。Jリーグ・川崎フロンターレが手がけるフットサル場である。なぜ、サッカークラブがフットサル場を運営するのか。フロンタウンさぎぬま副支配人、浦野珠里さんにフロンターレの理念をうかがった。(2017年12月7日収録)

写真・文=佐藤功(デジタルピヴォ!)

▼地域のみなさんに楽しんでいただきたい

――浦野さんは、いつからフロンタウンで勤務されているのでしょうか?
浦野 2006年3月にフロンタウンがオープンしたんですけど、同時に入社しました。以前はフットサルなどイベントの運営をする会社にいまして、退社した時にちょうどのフロンタウンのお話をいたただいたのがきっかけですね。
――前職に続き、タイミングよくフットサル場だったということですね。
浦野 次もフットサルとは思っていなかったんですけどね。もう、インスピレーションなんですよ。フロンタウンがまだ工事中の時に見て、すごく気持ちがいいところだなと思って、Jリーグとかは関係なく決めました。6面もありますから、可能性が広がっているとも感じましたね。
――設立当時はいかがだったのでしょうか?
浦野 昔、ここは鷺沼プールだったんですけど、まずは建設にあたって近隣の方のご理解も必要でした。地域の方にご理解をしていただき、今は大きな太鼓を叩いてもみなさん見に来て拍手してくれるような雰囲気になっています。いろんな方が動いてくださいましたし、その恩返しとしても地域密着型は大切です。
――フロンタウンのスタッフは何名でしょうか?
浦野 社員が4人で、アルバイトが6人で10人体制です。
――6面もありますと、メンテナンスという面で大変だとは思いますが。
浦野 大変ですね。2016年の1月に芝を張り替えました。昔の芝は、ラインは白く塗っていたので、古くなるとはがれちゃったりしたんですよね。でも、今は元々白い芝を使っているのではがれる心配はなくなりましたね。

▼川崎フロンターレの理念

――サッカーの川崎フロンターレが、フットサルをやっていることに何か特別な意味があると思いますが。
浦野 川崎フロンターレはプロサッカーチームです。プロサッカーチームだからできる事、それはフロンターレが等々力競技場や、ここフロンタウン、富士通スタジアム川崎を拠点に地域に根付いた活動をたくさんできる事です。その活動の中でみなさんがスポーツにふれあい、喜びを感じる機会をつくることに意味があると思います。
――事業内容ですが、フットサル場運営でしょうか?
浦野 まずは、フットサルのコート貸しですが、他にもいろいろしています。午前中は時間を健康教室ですとか、高齢の方向けのグラウンドゴルフ、お子さまたちのスクール活動もあります。時間によって景色が違うんですね。午前中は静寂した雰囲気でヨガをやったり、昼を過ぎると子供たちがやって来てにぎやかになって、夜になると社会人の方がフットサルをやられている景色になります。お子さまからお年を召した方まで、すべての方が楽しめることを目標にしています。地域のみなさんに楽しんでいただきたい、というところがフロンターレの理念です。フロンタウンもそのひとつですね。
――Jリーグも地域密着の理念を持っていますが、フロンターレ自身が同じ理念に基づいているということですね。
浦野 そうです。フロンターレが川崎に根付いて、地域の方から応援をしていただくということを目指しています。フロンターレのスタッフが、みんなで試合の前にポスターを配布したり、チラシを駅前で配布したり活動をしていますよ。その長い道のりの中でたくさんの方に応援していただき、そのおかげで昨季J1を優勝できたと思いますね。
――フロンターレとはどういった連携をされていますか?
浦野 みなさん勘違いされるんですか、ここは直営の事業部ですので、フロンターレの事業の中でやっています。
――直営ですと、選手も頻繁に来ることもあるのでしょうか?
浦野 ありますよ。後援会と一緒にフットサル大会でプレーすることもありましたし、もちろんサッカー教室に選手が来たりもします。ですが、シーズン中はなかなか難しいですね。
――フロンタウンならではの特徴をお願いします。
浦野 先ほどお話した、健康教室などですね。地域の奥様方や会社帰りの女性だったり、みなさんにとにかくここで健康になっていただきたいということで教室をやっています。また、お子さんのスクール活動だったり、ボールと触れ合っていろんな可能性を引き出したいですね。
一番の特色は、私たちはフロンターレの試合がありますから、競技場でも楽しんでいただけるような道筋を作ることですね。ここに来ているお客さますべてがJリーグに興味があるかと言ったらそうではないんですよね。フットサルや健康教室をやられていても、サッカーには興味ないという方はいらっしゃると思います。ですが、フロンタウンに足を運んでいただくことで、サッカーに関わって競技場で試合を観ていただくことができれば、新しいライフスタイルの可能性をお伝えすることができると考えています。
――その道筋となる方法はどんなことでしょうか?
浦野 アンケートに答えていただいて、チケットを差し上げるなどしていますが、ただ単にチケットが手に入るとかと安いから観るということでもないと思います。金額の問題だけではなく、興味を持っていただける企画が重要だと思います。
具体的な企画としては、宮前区役所と連携協定を組んで、ポールウォーキング&ストレッチ教室を行っています。その中に、この近辺は坂道が多いので、坂道を歩いて健康になろうという企画があるんですね。そこで、競技場までウォーキングして試合を一緒に観戦する、ウォーキングのゴールを競技場にしたことがあります。参加された年配の方や初めて観る方が、最初のファンファーレで感動して泣いちゃったりされるんですよ。一昨年、逆転勝ちしたベガルタ仙台戦がちょうどウォーキングツアーでして、感動してそこからファンになっていただいた方もいらっしゃいます。今回も優勝して、みなさんからご連絡をいただいたりしますよ。少人数でも、そうやって根付いていくことも地道にやっていますね。この川崎の宮前区に住んでいることで、楽しい要素がたくさんあると思うんです。そういった提案をしているという感じですね。

――先ほどおしゃられた、老若男女問わずフロンタウンで楽しんでいただきたいということが前提ということですね。フロンタウンで今まで印象に残っているお仕事、イベントなどはどんなことだったのでしょうか?
浦野 やはり夏のお祭りですね。春と夏と冬やっていますが、夏が一番大きいですね。3000人ぐらいの方にお越しいただいています。コート全部を使って、真ん中にやぐらを建てて盆踊りしていますよ。建物内は、飲食の販売エリアにして調理もしています。かなり大掛かりになります。いろんな告知はしていきますけど、実際に3000人のお客さまを見た時には感動しますよね。春と冬は、サッカーのアトラクションを入れたり輪投げをやったり夏よりも小規模ですが、800人ぐらいの方にお越しいただいています。
――3000人を集めるのは難しいと思います。どうやって集客をしていくか、お祭りだけに限らず集客は大変だと思います。
浦野 クラブが『子供サッカーニュース」というものを作って、学校で配布させていただいています。そこにフロンタウンのことも載せて、お子さんたちに見てもらっています。他にはホームぺーシですね。フロンターレありますし、フロンタウンもありますし、指定管理の富士通スタジアム川崎もあります。また、スポンサーさんでもあるイッツコムさんのご協力で配信していただいたりもします。あとは、地道に近辺のマンションで回覧していただいたりして、広がっています。実際に足を運んでいただいているのは、このエリアの人たちが多いと思いますので、スタッフみんなで地道にお知らせしたことも大きいと思います。

▼クラブとフットサル場がイコールな関係を

――フロンタウンの仕事で大事にしていることはどんなことでしょうか?
浦野 私も忘れがちですけど、お客さまとのコミュニケーションですね。なかなか簡単にできるようでできないんですよね。パソコンに向かう作業も多いですが、できるだけカウンターでお客さまとお話する機会を作ろうと心がけています。小さなことですけど、毎日同じことを繰り返していくと、だんだんお客さまとの会話が厚くなってくるんですよね。熱ではなく、層が広がってくるというか意味です。どんな意見でも、必ず生きてきますので、大切なことですね。そういうコミュニケーションが厚くなったように感じた時は、うれしいですよね。小さいけど大きいと思います。
――具体的に、どんなことに生きているのでしょうか?
浦野 雨天キャンセルの場合、雨量のご説明などどうしても長くなりますので、お客さまにお伝えするのが難しい時もあります。そんな中、私がご説明をする前に、メンバーさんが他の方に「こうなんだよ」って先に言ってくださったことがあったんですね。ご理解をしていただけて、浸透しているんだなとうれしかったですね。
――今後の展開、目標をお願いします。
浦野 フロンタウンは、フロンターレのサポーターしか使っちゃいけないわけではありません。またそういった、サポータじゃないと使いにくい雰囲気も一切なくしています。ここに足を運んでくれた方にフロンターレの魅力を、試合の魅力をこれからも伝えていたいなと思います。フットサルをやる人と、観る人はイコールではないんですね。その2つを極力近づけるようにはしたいなと思っています。そうすることで、いろんな広がりもあるのかなと思いますね。また、試合を観戦することで歓喜だとかパワーを得られたりしますので、よりクラブとフットサル場がイコールな展開ができていければと思います。

『昔、鬼木監督もフロンタウンでコーチを』地域を愛する川崎フロンターレは地域に愛され強くなる(浦野珠里・フロンタウンさぎぬま副支配人)

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