2016.12.28

シュライカー大阪・木暮監督「何が何でも僕はリーグ1位になりたい」

Fリーグのプレーオフ進出一番乗りを果たしたシュライカー大阪 [写真]=F.LEAGUE
サッカー総合情報サイト

 SuperSports XEBIO Fリーグ2016/2017 第25節で、シュライカー大阪のプレーオフ進出が確定した。プレーオフ方式が取り入れられてから6シーズン目。過去5シーズンはすべて、名古屋オーシャンズがリーグ戦1位でプレーオフに進出し、プレーオフでも優勝を収めている。

 名古屋以外のチームで初めて、一番手でプレーオフ進出を決めた大阪。チームは19戦無敗。昨シーズン優勝した名古屋の33試合143得点に対し、ここまで25試合で143得点と驚異の得点力を誇っている。

 完成度が高いと評される大阪を率いて3年目の木暮賢一郎監督に、大阪の強さの秘訣やチームが目指す道、今後の日本フットサル界の展望について、お話を伺った。

――プレーオフ進出確定おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。

木暮監督 「自分自身3シーズン目で、もちろん(3年間で)メンバーは変わりますが、3年計画の中で戦っています。過去2回ともプレーオフには行っていますが、肌感覚を含めて今年の位置づけは“プレーオフに行く”ということよりも、“リーグ戦を1位で終えること”をより具体的な目標として狙っています。過去2シーズン、まずはプレーオフに行かないといけない、という認識の元やってきました。ですが、今年狙っているのはリーグ戦1位です。ですので、うれしいことはうれしいですが、そこは通過点でしかないと思っています。あくまで(リーグ戦が)終わったときにリーグ1位になる、そういう位置に居続ける、ということがまず最初のミッションです。リーグ1位でプレーオフに進み、プレーオフでも優勝する、という目標を達成する意味では、早い段階でプレーオフ進出が決まったことは、昨シーズンまでと比べてよかったところだと思っています。ただ、繰り返しになりますが、通過点だとは思っていません。目標を達成するために覚悟を決めて取り組んでいますので、1位でリーグ戦を終えることしか考えていません。僕がいつも選手に言っている『歴史を変えよう』というクラブの合言葉のようなものを、僕は大阪に来て最初のミーティングで話しました。それは今でも思い続けています。おそらく今までに名古屋より先にプレーオフを決めたチームはいないので、(先に進出を決めたことは)意味のあることだとは思いますが、最終的な順位がひっくり返ることは十分にありえます。なので、満足しているということはまったくありません。歴史を変えるということは、何かを一瞬で変えられるということではありません。ただ、歴史を変えるために積み重ねてきたことの証のひとつとして、名古屋より先にプレーオフを決める、そういう位置に自分たちがいられる、ということは自信を持つべき素晴らしいことだと思います。ひっくり返されては何も残らないですから、この先も維持できるようにしないといけないと思っています」

――就任1年目にプレーオフ進出圏内最下位の5位でプレーオフに進出。決勝戦で名古屋に敗れました。2年目は4位で進出し、2nd Roundで敗退しています。3年目の今年は現状リーグ戦1位、名古屋より先にプレーオフを決めましたが、プレーオフでも優勝する自信はありますか。

木暮監督 「そのために3年計画で積み上げています。就任した時に思い描いていたこと、その中で理想と現実見ながら自分の中で変化をさせ、3年かけて歴史を変えたい、と思っていました。実際1年目のプレーオフでは負けていないと思っています。1勝1分でしたから。今回、Jリーグの鹿島アントラーズがチャンピオンシップ1勝1敗でACL出場を決めましたよね。当然リーグが違うので、それがいい、悪いではないのですが、うちが1年目に5位で行ったプレーオフに関しては延長以外では1勝1分だったので、今の鹿島と同じくらいのことをした、という自信はあります。ただ、そこにはルールがあって、そのルールに則った結果負けていますし、今のFリーグのプレーオフのシステムではおそらく、優勝してもAFC(アジアフットサルクラブ選手権)には行けないと聞いています。AFCに行くのはリーグで1位になったチーム。サッカー同様、リーグの1位とプレーオフの1位、どちらがリスペクトされるかなどの価値観は人によってそれぞれだと思います。ただ、就任1年目にプレーオフに行った自分の経験から選手に対して要求しているのは、“プレーオフで優勝すること”ではなく“リーグで1位にならないと、歴史を変えることはできない”ということです。Fリーグの背景、唯一のプロは名古屋オーシャンズで、他のクラブはアマチュア。ずっと名古屋が優勝し続けているということ。そして、その9年間があり、10年目に僕らが歴史を変える。大阪というチームがリスペクトに値する取り組みをしてきた、ということを仮に証明できるとしたら、それはやはりリーグ1位になることだと思っていますから、そこにたどり着くまでのあと8試合。その1試合、1試合を大切にして、1位で終えたいなと思っています」

――4年前、木暮監督が引退した直後にインタビューをしました。その際、下位チームを残留させる監督、常勝チームを勝たせ続ける監督、監督には色々な種類があり、自分はどんなチームにも対応できる監督になりたい、というお話を伺いました。現在、自分自身をどのような監督だと認識していますか。

木暮監督 「どうですかね。勝つことに飢えているというか。選手としての経験、海外での経験を含めて、勝利を目指して100%やる、勝つためにすべてを注ぐ、その結果、何かが生まれる、というスタンスは自分自身が選手のときから変わっていません。選手のときも、勝つことで注目され次の道に進めたので、監督になっても思いは一緒です。選手にもよく言いますけど、名古屋にある程度近いところにいたクラブは各時期にあったと思うんですよね。最初のころであれば浦安に迫られたこともありましたし、町田や大阪もそのうちのひとつだと思います。リーグの中盤くらいまでは“もしかしたら”という期待があったクラブは自分が選手のころにもありましたけど、少なくとも名古屋を上回った時期が長かったチームはなかったと思うんですよね。どこかでつまずいたり、他のチームに負けてしまったりを見てきて、僕は秘訣っていうのは“名古屋以外のチームに絶対に負けないこと”だと思っています。名古屋に3敗しても、他の試合で全勝すればタイトルは穫れると思っていますので。そういう意味で、監督である自分がとにかく勝ちに貪欲に。すべてのトレーニングに情熱を注ぐことで選手の考え方が変わることもあります。若い選手も多いですから、全員が勝者の経験、勝負強さや優勝を知っているわけではありません。ただ、自分は選手としてそういう経験を非常に多く積むことができている、そういう血が僕には流れている、と思っていますので、そういったものを若い選手やクラブにもう一度植えつける。そういうクラブにしたい。もちろん、お客さんが観ていて楽しいフットサル、タレントもいる、フェアプレー、色々な項目の中で優れたチームになるのはみんなの理想だと思います。人によっては極論ですが、負けてもおもしろいフットサルをしている、と讃える方もいるかもしれません。でも、僕は日本代表にいて、日本のフットサルを高いところに引き上げるにはアジアで優勝しないとダメだ、と思っていました。W杯に出ないとダメだ、と思っていました。そういったものをすぐに達成したわけではなく、色々な人の努力があって『初めてW杯に出た日』、『初めてイランを倒した日』、『初めてアジアで優勝した日』、『クラブとしてアジアで優勝した日』、そういった大きな結果を出すことで、日本のフットサルはステップアップしてきたと思っています。Fリーグが今後ステップアップしていくには、9連覇している名古屋に対し、他のチームがどうやって大きな結果を出して、注目されたり話題になったりするか。アマチュアのチームが一発勝負、カップ戦で優勝したことはあります。ただ、この33試合に加えてプレーオフがあるリーグ戦で名古屋を上回るチームが出てきたときに日本のフットサルは次のステップにいく、と。選手として名古屋にいた時からそれは感じていたし、おそらく色々な人が「いつも名古屋だけが優勝するのではなくて」と、感じているのではないでしょうか。ファンの皆さんやフットサルを好きな人に興味を与え続けるには、ライバルチームが必要だ、とずっと思っていました。各クラブ、そういうチームを作れるように努力している中で、僕も大阪をそこまで引き上げるために来たので。自分のスタイルは“勝つための監督”。チームを勝たせる、そういう意識を植えつける、ということが根底にはあると思います。見てもらっていて分かるように、若い選手を1年目から引き上げてきた自負もあります。表面的なところで『外国人の選手がいるから』とか、『少ないローテーションでやっている』と言われることもありますが、それぞれ意見があっていいと思うし、逆にそういうところを取り上げていただけるのもいいと思ってはいます。ただ、自分としては、『3年かけてしっかりプロジェクトを組んで、ステップアップをしていく。そして結果を出したとしてもそこで終わるチームではなく、もっと長く結果を出し続けられるようなアイデンティティ、哲学を作りたい』と就任した時に話していたので。広い意味ではそういうクラブに近づいているのは間違いありません。ただ、もう一度言うように、結果を出さないと評価はされない。惜しい、で終わってしまう。ですから『リーグで優勝させる、する、したい』。そういうマインドを持った監督であり、そういうチームを作る監督なんじゃないかな、と、今は思います」

――少し先のことになりますが、仮にリーグ1位でAFCに出場したとします。AFCとFリーグでは、外国籍選手の登録が異なりますが、それでも勝ち続ける自信は?

木暮監督 「確かに最近、そういうことを聞かれる機会が増えてきました。ただ、歴史を変えるにはまずはそこに立たないと。リーグ優勝も狙う、その後のAFCも考える、ということは、今の状況では僕の頭にはありません。もし両方を取りに行ったらリーグでつまずく、と思っています。まずはリーグで勝って歴史を変える。そうすることによってスポンサーが増えたり、大阪に行きたいと思う選手が増えたり、選手を取り巻く環境がよくなったりしてクラブが変わることが大事だと思います。『リーグでは外国人選手が主要メンバーだからAFCは厳しいんじゃないか』というのは今の時点ではナンセンスだと僕は思うし、まずは目の前の結果を出し、次のステップに進めたらまた、次のプランを考えればいい。今はプレーオフよりも何よりも、このアドバンテージがある中でしっかりリーグ優勝する。名古屋以外のチームが1位を取ったとなったら、サッカー同様にリーグとプレーオフ、どちらの優勝に価値があるか、といったような議論にもなると思います。それも非常に大事なことだとも思います。ただ、AFCという外に出られる権利があるのはリーグ1位。なので、何が何でも僕はリーグ1位になりたい。」

――今シーズンも既に、リーグや日本代表での経験が豊富なベテラン選手が引退を表明しています。その一方で、大阪であれば村上哲哉選手に憧れてFリーガーを目指した仁井貴仁選手のような、若い選手も増えてきています。こういった状況で、これからFリーグ、日本のフットサル界はどう変わっていくと思いますか。

木暮監督 「そうですね。フットサルは世界的に見ても新しいスポーツ。日本ではもっと新しいスポーツだと思います。Fリーグが今年ちょうど10年目ですが、僕が始めた頃に遡った17、8年前と比べれば、格段に環境は変わってきています。僕は先に引退している身なので、その頃からいる選手で今もプレーをしていたり、ここ数年で引退した選手が「淋しい」とか「もっとできるんじゃないか」と言われることも理解できます。日本のフットサルが進化する意味では、今よりもっと何もなかった時代に日の丸をつけて世界に出た選手、海外でプレーをした選手、色々な誇りを持って戦ってきた選手が長くプレーすることもひとつ、大切なことだと思います。ただ、いつか終わりは来るので。今度はそういう選手が指導者やクラブのスタッフなど、自分たちの経験や思いを若い選手に伝える側になって、ただ伝えるだけじゃなく、経験プラス指導の勉強や経験を積んで還元していく。そういうサイクルがやっと始まってきて、それはすごく大事なことだと思います。いつも言うんですが、いい選手だったからいい監督になるとも思わないし、選手経験がなくてもいい監督になると言うのはありえることです。ただ、自分の唯一の強みは選手だった経験だと思っています。トレーニング方法は勉強すれば分かる、監督の経験というのは僕も失敗しながら積んでいるところです。ただ、プロとして勝つためにどういう準備が必要か、選手として歩んできた経験がアドバンテージになるのは間違いないと思っています。そこに満足していてはいい監督にはなれないですが、引退する選手には彼らにしかない、選手として、人間としての経験、それぞれのスタイルや唯一無二のパーソナリティがあると思っています。そういう方が指導者になって素晴らしい結果を出したり、育成に関わったりしていくとやっと、自力で学んできた色々なものが還元されて、明るい未来になるのかな、と。今回のW杯のアルゼンチン代表監督は、僕が初めて出た2004年のW杯に選手として出ていましたし、キャプテンとして戦ったこともあります。年齢も大して変わりません。そういう選手が引退して代表の監督になって結果を出した。パラグアイ代表スタッフのチラベルトも2004年にW杯に出ていましたし、アジアで何度も対戦したウズベキスタンの選手も、今度は代表にスタッフとして関わっています。国内だけでなく世界的に見ても、2000年前後に代表として戦っていたような選手たちがキャリアを終え、指導者として新しい道を歩んでクラブや代表で結果を出している。そういうサイクルだと思うんですよね。日本でもこれからどんどん増えていくと思います。今までどちらかと言うと、Fリーグの監督は選手経験が豊富な方より、早くにリタイアをして、指導を熱心に勉強して、情熱を持って早くからスタートしていた方が多いと思います。そこに少しずつ、選手として素晴らしいキャリアを持つ人が参入して、お互いに切磋琢磨をして、モチベーションを高め合い、新しい日本のフットサルのスタイルを作っていくこと。それが日本のフットサルを強くしていく大事なことのひとつだと思います。人それぞれセカンドキャリアはありますが、一人でも多く監督としての道に入ってきて、未来のために前向きな話ができ、刺激をもらえるようになったらまた、少し世界に近づいている証になるんじゃないかと思います」

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