パトゥム戦で先発出場した伊藤 [写真]=兼子愼一郎
ヴィッセル神戸が全北現代に痛恨の逆転負けを喫した直後に行われた22日のAFCチャンピオンズリーグ準々決勝第2戦。日本勢唯一の生き残りとなった浦和レッズは、意地とプライドを懸けて本拠地の埼玉スタジアム2002でBGパトゥム・ユナイテッドに挑んだ。
リオデジャネイロ五輪でのU-23日本代表やJリーグ各クラブを指揮した百戦錬磨の手倉森誠監督率いるタイの強豪相手だけに、試合前から不穏なムードも漂った。それにめげず、浦和は序盤からハイペースで猛然と敵陣に向かっていく。開始早々の松尾佑介のゴールがVAR判定で取り消され、25分の関根貴大の一撃もオフサイドと判定される不運も重なったが、32分にダヴィド・モーベルグの先制弾が重苦しい雰囲気を一気に吹き飛ばす。そして、敵将とともに五輪を戦った岩波拓也がリスタートから2点目をゲット。首尾よく2-0で前半を折り返すことに成功した。
しかしながら、後半は選手交代と布陣変更で打開の糸口を探ってきたパトゥムにやや巻き返されてしまう。その嫌な流れを断ち切ったのが、65分の3点目。相手DFの縦パスをカットしたボランチの伊藤敦樹が勢いよくドリブルで前進。左に開いた小泉佳穂にラストパスを供給し、確実に仕留めたのだ。
「前半から左利きのセンターバック(CB)のところはずっと狙っていました。彼が出した縦パスもわざとスペースを空けて狙っていい形で取れたので、そのまま前に運んで、敵を見ながら佳穂君にいいアシストができました」と伊藤自身してやったりのお膳立てだったことを明かす。手倉森監督も「3点目がポイントだった」と悔しがったが、相手に致命傷を与えるキーマンになったのは確かだ。
72分にも伊藤が起点となって4点目が生まれる。途中出場の江坂任につながり、最後は明本考浩がダメ押しゴールをゲット。大型ボランチの推進力がまたも光った。
「最近は前が空いたら運ぶことを強く意識しています。自分が持ち込むことでDFの陣形が変わるし、チャンスの回数も増える。そこは自信につながっているのかな」と本人も手ごたえをつかんでいる様子だ。
3列目からダイナミックに縦へ飛び出せる選手は敵にとって脅威だ。それが183センチの大型MFであればなおさら。2ゴールに絡み、中盤を力強く支えた背番号3がこの日のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたのはまさに納得と言えるのではないか。
実際、ここ最近の伊藤の輝きは本当に目を見張るものがある。リカルド・ロドリゲス監督がメンバーを固定するようになり、岩尾憲とボランチを組む機会が増えたことで、長所を発揮しやすくなっている部分もあるのだろう。
傑出した存在感と躍動感は、2002年日韓ワールドカップ当時の稲本潤一を彷彿させるものがある。ネット上でも「伊藤は稲本に似ている」という感想が目につく。確かに世界に通じるスケール感が今の彼からは見て取れると言っていい。
当時4歳だった伊藤は「全盛期の稲本さんのプレーはあまり見たことがないので、イメージが湧かない」とは言うものの、「そういう世界で活躍した選手と比較されるのは嬉しいですね。自分もそういうところを目指してやっているので」と目を輝かせる。
ギラギラと高みを追い求める大型ボランチが、偉大な先人のように世界で羽ばたこうと思うなら、クリアしなければいけない課題がいくつかある。
1つは常に高い強度でフル稼働しつづけられるフィジカルを身につけること。パトゥム戦でも足がつって75分で交代を余儀なくされている。そこは早急に克服しなければいけない部分だろう。
「7月にパリ・サンジェルマンと試合をして、強度が全然違うと感じましたし、スピードやフィジカルなど全てにおいて差があった。自分はもっともっと強度を上げていかないとダメだと痛感した。だからこそ、前半の強度で90分間やり続けられるようにならないといけない。そこはチャレンジしているところです」と本人も語っていたが、ACLのような短期決戦は自身を一段階二段階、引き上げる絶好のチャンス。中2日で迎える準決勝の全北現代戦では今回以上の輝きを示さなければならないはずだ。
もう1つは、ズバリ、ACLタイトル獲得だ。浦和アカデミー出身の伊藤は2007年のアジア制覇、2019年の決勝での敗戦を間近で見ている。天国と地獄を知っている人間だけに、頂点に立ちたいという気持ちはひと際強いという。
「やっぱりアジアの舞台でレッズが戦っているのは、ファンやサポーターの方にとって特別だと思いますし、自分にとっても特別。僕は2007年の準決勝、2019年の決勝をスタンドで見ましたけど、満員の埼スタの雰囲気を感じて『レッズのユニフォームを着てあのピッチに立ちたい』と強く思っていました。今の自分にはそのチャンスがあるので、しっかり次に勝って、決勝にコマを進めて優勝したい。本当にそう思います」
今の浦和には関根、松尾ら浦和アカデミー出身者が何人かいる。彼らが持てる力の全てを発揮してアジア制覇を果たしてくれれば、クラブとしても大きな名誉だ。
成長著しい伊藤には。そのけん引役として、ピッチを縦横無尽に駆け回り、強烈なインパクトを示し続けてほしい。
取材・文=元川悦子
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By 元川悦子