2015.09.30

G大阪、7年ぶりにACL決勝の舞台へ…勝負の鍵はアウェーでの“前半の90分”

ACL準決勝で対戦するG大阪(上)と広州恒大(下)[写真]=Getty Images, /ChinaFotoPress via Getty Images
朝日新聞記者を経てブラジルに移住。南米で600試合を取材し、現在はガンバ大阪を追いかける。

 2008年に一度だけ上り詰めたアジアの頂きに向けて、ガンバ大阪は文字通り山あり谷あり、さながらの道のりを歩んで来た。

「今までもグループリーグから簡単な試合はなかった。どの試合も厳しいばかりだった」。クラブ史上に残る激戦となったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝セカンドレグに勝利し、4強進出を決めた後、MF遠藤保仁はこう言った。

 2敗1分で決勝トーナメント進出に黄信号が点滅してからの、三冠王者の巻き返しは見事の一言だった。引き分けさえ許されなかったアウェーのブリーラム・ユナイテッド戦で劇的な逆転勝利を収めると、グループリーグの最終節も城南FCの粘りに手を焼いたが、勝ち点3を手にしてグループステージを突破。そして準々決勝セカンドレグでは全北現代を相手に劇的な逆転勝利。うっすらではあるが、アジアの頂点が再び見えて来た。

「アジアで4強に入れたのはいいことだけど、ここが目標じゃない」(遠藤)

 確かに頂点に上り詰める資格は得ているG大阪だが、現在はようやく8合目に至った程度。準決勝以降は、これまでとはレベルの異なる強敵が待ち受ける。

 G大阪は、30日に行われるACL準決勝ファーストレグで中国の広州恒大とのアウェー戦に臨む。対戦相手の広州恒大は、ブラジル・ワールドカップでホスト国を率いたルイス・フェリペ・スコラーリ氏が6月に監督就任。「フェリポンがいたのが大きかった」とワールドカップを戦ったセレソンの一員であったMFパウリーニョを獲得し、そのタレント力で群を抜く存在だ。

「ACLの優勝はシーズン前からプライオリティを持ってやってきた」と言い切る遠藤でさえ「広州恒大は間違いなく優勝候補の筆頭」とその力を認めている。準決勝の前日会見で、中国メディアは広州恒大が準決勝でつける点差1つに対して、500万元(約9500万円)、最大で5000万元(約9億5000万円)の勝利ボーナスが支払われると指摘。常識はずれの資金力を持つアジア屈指の金満集団が、下馬評では上回るのは間違いない。

 そんな中国の雄に対して、G大阪は準々決勝セカンドレグで退席処分となった長谷川健太監督が第1戦でベンチに入れず、片野坂知宏ヘッドコーチが監督代行を務めることになる。さらに、日本代表のDF丹羽大輝も累積警告で出場停止。万全とは言えない状況で広州恒大との大一番を迎えることになる。

 長谷川監督の右腕として大一番を託されることになる片野坂ヘッドコーチは、「ファーストレグが本当に大事だし、本当に次のホームにつながる試合をしないといけない」と敵地での第1戦が持つ意味を理解している。

 決勝トーナメントの1回戦から常にアウェーで初戦を戦い、ホームで勝ち上がりを決めて来たG大阪の指揮官と選手たちは異口同音に「180分の戦い」と話す。ただ、対広州恒大において最も避けなければいけない展開は初戦に大差で敗れて、勝ち上がりの行方を決められてしまうことだ。強気な岩下敬輔でさえも、「アウェーだけど勝ち点を持って帰ることができれば一番いい」と話し、敵地で引き分ければ御の字というニュアンスが本音としてにじみ出る。

「フェリペが監督になってからはチームが一丸となって戦っている」と長谷川監督は前日会見で相手チームを評価。南米トリオが攻撃を担い、中国人が守るという攻守分業のスタイルでアジアを初制覇した2013年とは異なり、現在の広州恒大には2年前ほどのスケール感はない。ただ、代表経験を持つブラジルトリオの破壊力はやはり脅威だ。

 広州恒大も守備面で脆さを抱えている上に、G大阪はFWパトリックが異次元のキレを発揮している。「ここまで連れて来てくれた仲間に恩返ししたい」と、出場停止だった準々決勝セカンドレグの鬱憤を晴らすべく燃えるFW宇佐美貴史も徐々に調子を上げており、チャンスは作り出せるはずだ。

 しかし、ファーストレグで試されるのは丹羽不在のDFラインの耐久力である。8月に行われた南米王者リーベル・プレートとのスルガ銀行チャンピオンシップでは、アルゼンチンの名門のプレスの勢いに気後れし、DF金正也が不安定なパフォーマンスに終始したが、広州恒大戦で丹羽の代役を託されるのが金。私生活でも仲がいい岩下との連携に問題はないが、FWエウケソンやFWリカルド・グラルらの個の力をいかにしのげるかが、ファーストレグの鍵となる。

 金自身も「自分のパフォーマンスが鍵になるのは分かっている。準決勝で、相手に不足もない。思い切って戦って、いい状態でセカンドレグを迎えられるようにチームの皆でやりたい」と、意気込む。

 劣勢は必至だが、アウェーでの勝利もしくはアウェーゴールを奪っての引き分けに持ち込んだ場合、一気にアジアの頂点に向けた道が拓けるはず。かつて自慢のパスサッカーでアジアを制した大阪の雄と、その資金力でアジア制覇を果たした広州の雄が雌雄を決すべく、まずは“前半の90分”が始まる。

文=下薗昌記

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