2015.04.23

『柏から世界へ』三位一体で世界を目指す…快進撃の柏、ACLで飛躍の理由

柏レイソル
全北現代戦後、サポーターとともに勝利を喜ぶ柏の選手たち [写真]=Getty Images

文=鈴木潤

 Jリーグ勢が苦戦を強いられる中、柏レイソルはグループステージ1試合を残してAFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16への進出を決めた。しかも今回下した相手はアジア屈指の強豪・全北現代である。昨年9月からKリーグで無敗を続け、先週末には国内の無敗記録(22試合)を樹立した韓国王者と真っ向勝負を演じての勝利には、柏のACLに対する強い想いが表れていた。

「Jリーグの中でACLへの気持ちが一番強いのはレイソルだと自負している」

 工藤壮人はことあるごとに、その想いを口にしている。ACLがもたらす過密日程は、一部では“罰ゲーム”のような捉え方もされる。そんな問い掛けに対しても、工藤は「過密日程は強いチームの証」とまで言い切る。

 なぜ柏は、これほどまでにACLへ高いモチベーションを抱いているのか。それは2011年に出場したクラブ・ワールドカップ(CWC)の出場が背景にある。サントスやモンテレイといった大陸チャンピオンと同じステージで戦い、世界最高峰の舞台を味わったことで、柏の選手たちは皆、「また、あの大会に出場したい」という共通の認識を持った。ただ、当時は“Jリーグ優勝クラブ”の枠で出場したが、CWCに出場するためには、とにかくアジアチャンピオンにならなければならない。したがって選手がACLへ向けるモチベーションは非常に高い。

 選手だけではない。吉田達磨監督が「大きな世界の大会に出ていくことは、クラブにとって必要なこと」と明言するように、柏はクラブ全体が世界を目指す強い意欲を持つ。それはトップチームだけに限らず、アカデミーもまた然り。中学生年代、高校生年代から積極的に海外遠征を行い、バルセロナやミランなどの海外ビッグクラブのU-18、U-15が出場する国際大会に出場して、若いうちから世界を体感させている。増本伸弘アカデミーダイレクターによれば、柏のアカデミーの選手たちは「バルサやミランは“観るクラブ”ではなく“戦うクラブ”という意識を持っている」と話す。

 世界を目指すクラブならば、ACLを本気で獲りにいってもなんら不思議はない。クラブの本気度は、今季のリーグ戦の日程変更を見てもらえば分かるだろう。柏は2年前のACLで過密日程に苦しめられ、Jリーグ側に日程変更の要望を出したものの、それがシーズン中には認められずに却下された。ベスト4での広州恒大戦での大敗は実力差もあったが、それ以上にチームは疲労困憊、満身創痍の状態で戦わなければならなかった事情もあった。

 そこでクラブは、当時の経験を生かし、今季はJリーグの開幕前から日程変更の要望を提出し、ACLで勝ち進むことを前提にリーグ戦の日程を組んだ。それが今季の柏に木曜日や金曜日のナイトゲームが多い理由であり、実際に今回の全北現代戦は、先週木曜日の鹿島アントラーズ戦から中5日の試合間隔が空き、周到な準備をして臨むことができている。

 さらに選手やクラブ以上に世界を意識しているのがサポーターだ。ACLの試合で歌われる代表的なチャント、『柏から世界へ』というフレーズは、今ではすっかり柏がアジアを戦っていくシンボルワードとして定着したが、そもそもこの言葉はサポーター側から発信され、それが広がっていったものだ。

 選手、クラブ、サポーターが三位一体となって世界を目指す。世界へ出ていくためにアジアの頂点に立つ。そんな3者の共通意識と高いモチベーションは、間違いなく柏のACL快進撃を支える要因になっている。

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