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171センチの劇的ヘッド…柏の“伏兵”輪湖直樹「頭が真っ白になった」決勝弾

終了間際に決勝点を決めた輪湖直樹 [写真]=兼子愼一郎

文=青山知雄

 まさに日立台劇場だ。第4の審判員が場内に向けて「4」という数字を掲げた後半アディショナルタイム。身長171センチという小柄なサイドバックのヘディングが日立台を総立ちにし、激戦に終止符を打った。

 ホームに山東魯能(中国)を迎えた柏レイソルは、他のJリーグ勢が苦戦を強いられているAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で、ここまで1勝1分と無敗をキープ。決勝トーナメント進出に向けて本拠地でライバルを叩いておきたい第3戦で、思わぬ“伏兵”が大きな仕事をやってのけた。

 1-1で迎えた90+2分、ピッチ中央で太田徹郎が体を張ってキープしたボールが工藤壮人へ渡り、そこから右サイドへ展開。これを受けたクリスティアーノが狙いを定めて右足で中央に送ると、走り込んできた輪湖直樹が巧みなヘディングでボールネットを揺らした。

 この意外な男の一発にキャプテンの大谷秀和は「うちは右からのクロスに左のサイドバックが合わせるサッカーはしていないので、チームのオーガナイズとしては間違っていると思います(笑)。映像で見てみないと分からないですし、ちゃんとカバーしていれば問題ないですけどね。まあ、背が小さいから相手が見えなかったんじゃないですか?」と報道陣を笑わせた。

 実際のところ、輪湖は何を考え、どう動いてゴールを決めたのだろうか。

 あのシーン、左サイドをオーバーラップしてきた彼は「何で自分があの位置にいたのかは分からないです」と前置きしながら、「自分が走っていけば相手を引っ張ることもできるとは思った。結果的に得点に絡むことができて、自分がゴールを決めることができて良かった。空いているスペースを見つけたので、そのままの流れで行っちゃいました。そこでクリス(クリスティアーノ)と目が合ったので、ボールが来ると思った。あとは単純にスミを狙って見えたコースにシュートするだけでした」と振り返った。そして、不可解な動きの背景には、重要なゲームで自分のすべてを出し切っていないという思いがあった。

「今日は全体を通してそんなに走っていなかったし、体力も余っていたから、チャンスだと考えて行かなきゃと思った。体力が残ったまま試合が終わってしまうのは悔しいし、ああいうプレーで自分の強い気持ちを見せることができたと思う」

 U-12からU-18まで柏のアカデミーで育ち、トップチーム昇格は逃しながらヴァンフォーレ甲府徳島ヴォルティス水戸ホーリーホックで経験を積み、昨シーズンから古巣へ“帰還”。今年はユース時代の恩師でもある吉田達磨監督に導かれ、果敢な攻撃参加を武器に左サイドバックで存在感を発揮し、セットプレーではキッカーも任されるようになった。吉田監督率いる新生レイソルのキーマンの一人として急成長を遂げている。

 試合後、マン・オブ・ザ・マッチのトロフィーが入った箱を片手に記者団の質問に受け応えしていた輪湖。ACLのホーム2連勝を引き寄せた柏での初ゴールに「頭が真っ白になった」と笑顔を浮かべていた。強い決意を抱いて舞い戻ってきた日立台でチームを救った決勝弾は、彼にとって決して忘れることのない一発となったことだろう。

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