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「選手はプレーで大変だから(笑)」…元日本代表が飲食店を経営する深いワケ

2018.11.30

 鹿島アントラーズ背番号6のゲームキャプテンで、元日本代表。4回のJリーグ制覇をはじめ、数多くのタイトルを獲得した本田泰人といえば、サッカーファンなら誰もが知る往年の名プレーヤーだ。しかし、彼が現在ステーキハウス『US★6』のオーナーであることを知っている人は少ない。それもそのはず。オープンの際は、あえて“本田泰人”という名を表に出すことはしなかったそうだ。そもそも、日本代表にまで上り詰めた男がステーキハウスをオープンするに至った理由は何なのか? 直接本人に聞いたところ、サッカー選手の“セカンドキャリア”に対する独自の思いがあった。

インタビュー=サッカーキング編集部
写真=小林浩一、Jリーグ、US★6

本田泰人さんは帝京高校卒業後、本田技研(現・HONDA FC)に入団。1992年に鹿島アントラーズへ移籍し、2000年には三冠を達成。2006年に現役を引退し、現在はステーキハウス『US★6』を経営している [写真]=Jリーグ

まず最初に、なぜステーキハウスを始めたのでしょうか?
「本当だよね(笑) よく聞かれます。『なんでステーキ?』って。明確な答えはなくて、セカンドキャリを考えたときに、『何かやりたいなぁ』って思って、もちろんサッカーに携わっていくことを第一に考えました。色々と試行錯誤する中で、広告代理店の社長と出会って、僕と同い年で意気投合して、ということがスタートでした。フットサルコートの運営を任されたりして、次の事業を考えました。現役のときは試合前にタンパク質を摂るために肉を食べていたので、『焼肉』ということを考えた。でも、『焼肉店って多いよな…』と思った。今思えば、焼肉の方が簡単なんですよね。切って出すだけだから(笑) 」

調理過程が少ないですからね。
「そう。でも、その時は『焼肉は面白くない』と思っていました。僕が鹿島で現役だったときは、ホームの試合前日に寮のおじさんがステーキを焼いてくれたんですよ。ビュッフェ形式でステーキの量と焼き方を選んで食べていた。で、『そういえば、ステーキよく食べていたな』って。それがきっかけですね」

焼肉を避けてのステーキハウス開業だったんですね。
「そのときは飲食店に関する知識もありませんでしたから。ただ、その広告代理店のグループ会社は焼肉店も経営していた。だから肉の取り引きはできる状況だった。」個人的にはアメリカ牛をよく食べていたので、『ステーキといえばアメリカ』と。その広告代理店の社長が積極的な方なので、『一緒にやろう!』という話になった。トントン拍子に話が進んで、物件や肉の仕入れを行うことになったんです。本当は鹿島か地元の北九州にオープンしたかったけど、あまりにも話が早く進んで東松山にお店を出すことになりました」

本田さんがステーキハウスをオープンするということで、当初は反響も大きかったのではないでしょうか?
「実は自分の名前でPRしたくなったので、オープン当初から『ステーキハウスをオープンします!』って言わなかったんですよ。調べれば分かるんですけど」

私もほとんど知りませんでした(笑)
「でしょ? テレビ関係者との付き合いで何度か番組には出演したけど、『そんなに宣伝してほしくないな…』って。もう1人の経営者や他の社員には『どんどん宣伝して!』って言われるんだけど、名前だけ走ることが嫌だったんですよね。お客さんには『ステーキ屋がオープンしたんだ』って感じで来ていただいて、美味しいステーキを提供して常連になってほしいしなって」

商品を認めてもらいたかったんですね?
「そうです。隠しているわけじゃないから、お客さんと写真撮ったりしてるけど(笑)」

オープンの際には色々とやることが多かったと思います。従業員の雇用もその1つです。
「そうです。お店を出したかった理由の1つが、引退後のサッカー選手のセカンドキャリアです。サッカーを辞めた後で『どうしよう…』という選手が多い。自分のお店が大きくなれば従業員として雇うこともできるなと。選択肢が1つでもあれば選手のためにもなるので、そういうこともオープン時には考えていました。ただ、飲食店がこんなに大変とは思わなかったです(笑)」

トントン拍子でオープンに至ったとのことですが、他にはどのような苦労がありましたか?
「本場のアメリカから肉を仕入れるにも、良い部位はとにかく高い。しかも、為替みたいに値段も変動するし。『国産牛を使った方が安いんじゃ?』って感じでした。お店に出すステーキは一度料金設定したら変えるわけにはいかないので、金額面も苦労しましたね。経営陣とも話し合って、一度はオージービーフを使ったりもしました。でも僕はアメリカ牛にこだわりがあったから。だから『US★6』っていう店名も付けたし、それをコンセプトにしたかったから、アメリカ牛に戻しました」

大変なことだらけですね…
「そうですよ。“人”も大変です。育てることもそうだけど、飲食店はすぐ辞める人が多くて人材不足です。良い人材は他の業界に就職しているようで、やる気がある人材を見つけるのが難しいし、モチベーションを保てるような環境を整えることも大変です。今働いている従業員たちは、よくやってくれていますよ」

サッカー選手を育てることと、どちらが難しいですか?
「こっち(飲食店)の方が難しい! 自分もサッカー選手だったし、そのノウハウはあるから分かりやすいかな。飲食店もサッカーと同じように考えられるんですけど、店長と従業員とアルバイトは全員“チーム”だと考えています。でも、やっぱり難しい…」

本田さんが経営者として、特に心掛けていることは何ですか?
「僕は全然厳しくないですよ(笑) ただ、1つだけ厳しく見ているのはお店の“清潔感”です。『店をとにかくきれいに保ってくれ』と。特に水回りとか、お客さんから見えない場所ですね。僕がお客さんで厨房がチラッと見えたときに汚いと、その店に行く気がしないから。トイレも。女性の方は特にきれいにしてあげないと。清潔感は第一に考えているので、そこだけは厳しく指導しています」

話を聞いていると、苦労の中にも楽しさのようなものもあるのではないでしょうか?
「やりがいはありますよ。セカンドキャリアを考えているサッカー選手がいて、やる気があれば雇ってあげたいとも考えているので、そういう輪も広げていきたいです」

今後、お店をどのように展開していきたいですか?
「今のベースは残しながら、お客さんが飽きないようなメニュー提供をしていきたい。でも、今は漠然としかしていないですね。やることが多すぎて(笑) 1店舗だけだったら色々とやりたいことも出てくると思うんだけど、各店舗が離れているから。あと、やっぱり人。人のことで手一杯。サッカーの仕事で知り合った若い人とかには『飲食業は興味ある?』ってスカウトしてます(笑) サッカー選手のセカンドキャリアとして飲食業が全く確立されていないので、そういう手助けもできるようにしていきたいです。サッカー選手は毎日のプレーで大変だから(笑)」

ステーキハウス『US★6』

第1号店の東松山店を筆頭に、神奈川県の小田原市、厚木市、福岡県の北九州市の4店舗を展開。「本場アメリカの雰囲気の中、おいしいお肉を」というコンセプトで、アメリカ産の上質なステーキを提供している。

US★6

ステーキハウス US★6 東松山店

ステーキハウス US★6 小田原店

ステーキハウス US★6 則松店

ステーキハウス US★6 厚木店

By サッカーキング編集部

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