2018.08.28

乾貴士&大迫勇也のドリブルを阻止して日給5万円+α! 「アシックス」×「an 超バイト」のディフェンダーバイトに密着

サッカー総合情報サイト

 アルバイト求人情報サービス「an」は、思わず挑戦したくなる「an 超バイト」で数々の企画を実施している。フットボール界ではこれまで「セルジオ越後氏に1日密着。辛口調査スタッフ」、「遠藤保仁のフリーキック壁バイト」、「選手に新作スパイクをお届け! ホペイロバイト」、そして「中村俊輔のフリーキック壁バイト」と、“非日常”を体験できる数々のバイトを行ってきた。今回、新たに実施するのは「乾・大迫のドリブル阻止バイト」。アシックスのアドバイザリースタッフを務める乾貴士選手、大迫勇也選手と一般応募者が対戦する2 on 2イベントに潜入し、ディフェンダーとして2人と対決する仕事だ。

 募集期間はちょうど2018FIFAワールドカップロシアの開催時期と重なり、乾、大迫両選手の活躍もあって応募が殺到。最終的には1万2410件もの応募があった。6205倍という超高倍率の中から選ばれたのは、鍼灸マッサージ師・スポーツトレーナーの大島光稀さん(22歳)と、大学生の渡辺健織さん(21歳)。“バイト採用”の連絡を受けた時、大島さんは「鳥肌が立った」そうで、友達に報告しても「ガセネタちゃうか?」と信じてもらえなかったらしく、一方の渡辺さんは寝起きで電話を受けたために状況があまり飲み込めず、電話を切ってから「わぁ~!」と動揺してしまったという。

緊張した面持ちで会場入りする大島光稀さん(左)と渡辺健織さん(右)

 ちなみに今回のバイト、日給はなんと5万円で、交通費も全額支給。その上、乾、大迫両選手の攻撃をブロックするたびに1万円のインセンティブが支払われる。2回戦行うので、最大で7万円をゲットするチャンスがあるのだ。

 2人はこの日が初対面だったが、大島さんは徳島県出身で岡山県在住、渡辺さんは兵庫県出身ながら徳島県内の大学に通っている。“徳島”つながりですぐに共通の話題が見つかり意気投合。これならいいコンビネーションが築けそうだ。

 日本代表の一員として世界と戦った2人と対峙するわけだが、実は大島さんはバスケットボール部出身、渡辺さんは大学で野球部に所属している。「サッカーは冬場に遊びでやる程度」(渡辺さん)という、サッカー経験ほぼゼロのペアなのだ。それでも「バスケのディフェンスはサッカーにも応用できるはず」(大島さん)、「部活が週3回あり、それ以外に自主トレーニングもしているので体力には自信があります」(渡辺さん)と、どこか自信に満ちた表情を浮かべている。

 その上、2人には心強い味方がいる。ヴィッセル神戸などでディフェンダーとして活躍し、昨年まで現役でプレーしていた柳川雅樹さんだ。「自分たちでボールを持って2人を抜くのは難しいけど、ディフェンスは頭を使えば大丈夫。可能性は十分にあります」。そう断言した柳川さんから、2人は“ディフェンスの極意”をみっちり伝授される。大島さん、渡辺さんとも柳川さんに積極的に質問して動き方や間合いの取り方、コースの切り方などを学び、また2人でいろいろな作戦を立てて実際に練習も行い、ディフェンダーの技術を吸収していく。柳川さんの熱血指導のおかげで2人がさらに自信を深める中、乾、大迫両選手と対峙する瞬間が近づいてきた。

 この日、イベントが行われた東京都内は35度を超える猛暑日だった。会場となった人工芝グラウンドの温度計は39.6度を示している。立っているだけで汗が噴き出してくる暑さだったが、グラウンドに乾、大迫両選手が登場するとギャラリーからは大歓声が上がり、華やかなムードに一変する。つい2週間ほど前までW杯の舞台で戦っていた2人が目の前にいる。大島さん、渡辺さんもテレビで声援を送っていたそうだが、今からその2人とマッチアップするのだ。

 主役の2人が登場し、いよいよ2 on 2イベントがスタート。オープニングセレモニーでは、MCのALEEさんが「お二人の攻撃を止めるバイトに来た2人です」と大島さん、渡辺さんを招き入れる。突然、現れた対戦相手に戸惑いを隠せない乾選手と大迫選手。その上、大島さんがバスケ部出身、渡辺さんが野球部所属だと伝えられると、乾選手は「サッカー未経験者ですか!?」と、さらに事態が飲み込めない様子。乾選手、大迫選手がすぐ隣にいるにもかかわらず、大島さん、渡辺さんは堂々としている。柳川さんの特訓の成果か、緊張もしていないようだ。

 そして、ついに彼らの“勤務”がスタートする。制限時間は1回15秒。キックオフは乾選手が担当するようで、大島さん、渡辺さんの2人はボールが動くまで、ゴールエリアに足をかけていなければならない。ホイッスルと同時に2人は間合いを詰めようとするが、乾選手はすぐにはボールに触れず、気持ちがはやる2人を牽制する。どうやら、サッカー未経験者だからと言って手加減する気はさらさらないようだ。

 乾選手から大迫選手にボールが渡る。大島さんが間合いを詰めようとするが、大迫選手はいきなりシュートを放つ。しかしこれはコースがやや甘かったためGKがセーブし、弾いたボールが大島さんの前に転がってきた。クリアするビッグチャンス到来。しかし大島さんが思い切り蹴ったボールは、なんと渡辺さんに当たり、大迫選手に渡ってしまう。大島さんが必死に間合いを詰めてボールをかき出そうとするが、今度は乾選手がそれを拾い、ドリブルを仕掛けていく。これに食らいついていったのは渡辺さんだった。

 実は対戦前、2人はそれぞれがマークする相手を決めていた。大島さんは大迫選手、渡辺さんは乾選手を担当する。いわゆるマンマーク戦術で、柳川さんとのトレーニングではこの動きを入念に体に叩き込ませていた。その真価を発揮できるシチュエーションが到来したわけだ。

 渡辺さんは乾選手との間合いを詰めてスライディングを仕掛けたが、あっさりかわされてしまう。それでもすぐに立ち上がってさらに追走。その動きを見ながら、左右に切り返してチャンスをうかがう乾選手。徐々に時間が無くなっていく中、残り2秒で乾選手がシュートを放つ。渡辺さんは最後まで粘り強く追いかけ、シュートの瞬間にもスライディング。そして、この奮闘が奇跡を起こした。

「ちょっとだけ(ボールが)足にかすったんです。そのぶんシュートの威力が弱まりました」。渡辺さんが振り返ったように、乾選手のシュートは渡辺さんの足をかすめ、GKの守備範囲内に。GKがこれをしっかりキャッチし、見事、攻撃阻止に成功したのである。「大迫選手はビクともしませんでした」と相手の凄みを体感した大島さんも、日本代表ストライカーに対して果敢にデュエルを仕掛け、乾選手がボールを持ってからは渡辺選手をフォローする動きを見せていた。柳川さんとのトレーニングで学んだこと、自分たちで話し合ったことが発揮された1本目だった。

 続く2本目はしかし、乾選手、大迫選手が日本代表の意地を見せた。大迫選手からボールを受けた乾選手は、シュートフェイントを入れて渡辺さんをのけぞらせる。その隙を逃さず右足でゴール左隅に流し込み、貫禄を見せつけた。1勝1敗に終わったが、日本代表の2人をほんの少しだけ真剣にさせたという意味では、かなり優秀なバイトだったと言えるのではないだろうか。

 夢のような時間はこれで終わりではなかった。イベント終了後、乾、大迫両選手の控室に招かれ、この日、自分たちが着用していたスパイクにサインをしてもらったのだ。握手を交わし、記念撮影も行った後、渡辺さんが「お二人に聞いてみたいことがあるのですが……」と切り出す。

「僕は小学校の先生を目指していて、子供たちの将来の夢をサポートできるような教師になりたいという目標を持っているんですが、お二人は自分の夢や目標をかなえるために心掛けてきたこと、気を付けていたことがありますか?」

 これに対して、大迫は「僕はサッカーが楽しくて毎日やっていた延長線上でプロになれたので、昔から幸せでした」と少年時代を回顧。自分の好きなことを見つけ、楽しく、真剣に打ち込んだ結果、夢をかなえることができたと明かしてくれた。

 また、大迫選手は「熱い先生がいてくれたからここまで来られた」、乾選手は「基本、先生の話は聞いていなかった(笑)。でも、先生は大目に見てくれていたし、うるさく言わない先生の方が好きだった」とコメント。渡辺さん対して、子供たちから慕われる教師になってほしいというエールを送ってくれた。

 すると、「僕も質問いいですか?」と大島さん。「僕は鍼灸マッサージ師、スポーツトレーナーの仕事をしています。選手から見て、ケアする立場の人間には何を求めるのでしょうか?」

 乾選手はW杯前にケガを抱えていたが、「普段あまりケガしないので、たぶんサコ(大迫)のほうが良く分かると思う」と隣の大迫選手に話を振る。大迫選手は自身の経験を交えながらこう答えてくれた。

「僕は(トレーナーの方に)個人的についてもらっています。大事なのは、僕が求めることもちゃんと感じてほしい。お互いにすり合わせて、感覚的な部分で治療をしてほしい、ということ。なかなか伝わらない人が多いので、近くにいる人がすべて理解してくれると助かりますね。選手は基本、トレーナーに対してはワガママですからね(笑)。僕も『ここが痛い、ここを治してくれ』と言います。サッカーに関しては本気になるし、本気でぶつかるから、そこを理解してもらえないと大変だと思います」

 最後に大迫選手から「迷ったら思い切った判断をすることが一番。進むしかないから」という言葉をもらい、「an 超バイト」 2人の濃密な勤務時間は終了となった。

「止めることができたのは誰か1人の力ではなく、僕たち2人と、一緒にやってくれたGK、3人の気持ちが一致したからだと思います。僕の職業も1人でやるより仲間と協力することが多いので、改めて協力することの大事さを感じました」(大島さん)

「やるからには絶対に止めてやるという強い気持ちで臨んだので、そういう気持ちによって最後、足が一歩出て、たまたまボールがかすって威力が弱まって、GKが止めてくれた。最後まで諦めない姿勢は、スポーツの場面だけではなく、これからの生活にすごく生かせるんじゃないかなと思いました」(渡辺さん)

 イベント終了後、そのように感想を語った大島さんと渡辺さん。「いろいろな人が、希望に満ち溢れた企画に挑戦できるチャンス。『どうせ当選しないだろう』なんて思わず、どんどんチャレンジしてほしい」(大島さん)、「夢や目標に向かう中で悩んでいる人にとっても、それをかなえた人と関わり、活力を得ることができます。人生のターニングポイントになると思います」(渡辺さん)と今回の企画に対する印象を語ってくれたが、彼ら自身にとっても今回の「an 超バイト」は人生のターニングポイントになったはずだ。

 私服に着替えた後、2人には本日の報酬が支払われた。日給5万円にインセンティブ1万円を加算し、それぞれに6万円を支給。さて、その使い道は? 渡辺さんは「後輩にめっちゃたかられそうです」と苦笑いを浮かべていたが、「でも、そこで今日のことを話して、いろいろなことを伝えてあげたいです」と語ってくれた。

 大島さんは岡山県倉敷市在住で、隣町が西日本豪雨の被害に遭ったため、イベント翌日にはボランティア活動に行く予定だという。「ボランティアのために使おうと思っています、そして被害に遭われた方に今日の経験を話して、元気を分けてあげたいですね」

 不安げな表情で会場入りした大島さんと渡辺さんだったが、帰る時は晴れやかな笑顔を浮かべていた。乾選手、大迫選手を止めたという紛れもない事実と、2人の直筆サインが入ったスパイク、6万円の報酬。そして、それらのものより遥かに価値のあるものを得て、彼らの「an 超バイト」は幕を下ろした。

写真=鷹羽康博
文=池田敏明

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